人事評価・人事考課コメントの書き方や職種別の例文を徹底解説します。

人事評価・人事考課コメントの書き方や職種別の例文を徹底解説します。

|人事評価において、フィードバック内容は評価の客観性を裏付けるものとして非常に重要です。評価者のコメントによっては、社員が上司や会社に対する不平不満を募らせ、最悪の場合優秀な人材を失うことにもなりかねないため慎重に記載しなければなりません。

人事評価フィードバックを行う担当者様の、
・フィードバックのコメントの書き方がわからない
・ネガティブなことの伝え方を知りたい
・職種別のコメント例を知りたい
といったさまざまな疑問にお答えすべく、本記事では人事評価フィードバックについて、具体的な例文とともに詳しく解説します。

監修者情報

監修者用
プロジェクトHRソリューションズ代表取締役
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月プロジェクトHRソリューションズを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

そもそも人事評価フィードバックとは?

人事評価フィードバックは、上司と部下の間で、目標の達成度や改善の余地などについて話し合い、部下の成長と課題解決を促すものです。

具体的なスキルや業務態度に関する評価結果を上司から部下に伝えることで、部下は自身の能力や課題を正しく把握できます。このプロセスによって、部下はスキルアップや課題解決のための行動を明確にし、モチベーション向上や業務効率化、そして業績向上につなげることができます。

人事評価フィードバック4つの目的

人事評価フィードバックの目的は、主に以下の4つです:
・部下を育成するため
・業務の効率性を高めるため
・人事評価の信頼性を高めるため
・社員のモチベーションを高めるため

|部下を育成するため

単に人事評価を通知するだけでなく、個別に上司からフィードバックをすることで、部下は自身のパフォーマンスを適切に振り返ることができます。

自身の強みや改善点を客観的視点から知ることで、今後のキャリアパスや目標設定をより効果的に考えることができるでしょう。

また、上司から建設的なフィードバックをもらえることで、上司と部下の信頼関係も高まり、仕事に対する熱意を高めることもできるでしょう。

|業務の効率性を高めるため

定期的な人事評価フィードバックは、PDCAサイクルを促進させ、業務効率を上げることに繋がります。

PDCAサイクルとは、「Plan(実行)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を繰り返して、業務内容を改善し続ける手法のことです。

人事評価フィードバックは、「Check(評価)」のプロセスの効果をより高め、より効果的な改善を促すことができるでしょう。

|人事評価の信頼性を高めるため

従来は、社員全員に共通のランクを使用して人事評価を行う「ランク付け評価」という評価制度のみが用いられていました。

しかしその方法のみであると、さまざまなバイアスが影響した人事評価エラーが発生し、信頼性と妥当性のある人事評価が行えないことが多いです。
そうしたエラーを防ぐため、人事評価フィードバックを行うことで、普段の仕事ぶりを適切に評価することができます。

人事評価エラーについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
7つの人事評価エラーとその対策方法を徹底解説!

|社員のモチベーションを高めるため

人事評価フィードバックによって社員の不安を取り除くことで、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるようになります。業務の成果だけでなく、プロセスに対するフィードバックも提供することで、社員は自信を持って業務に取り組むことができます。

業務に対するやりがいを感じることで、社員のモチベーションや集中力が高まり、結果的に業績向上につながります。このようなポジティブなサイクルが形成され、成果を生み出しやすくなります。

人事評価フィードバック5つのポイント

人事評価でフィードバックのコメントを書く際、評価者はどのようなポイントに気をつけるべきなのでしょうか。ここでは、人事評価でのコメントの書き方や注意点を紹介します。

以下の5点を意識するのが重要です:
・コメントに具体性を持たせる
・プラス評価とマイナス評価をバランスよく
・部下の立場に立ってコメントする
・論理的に話す
・目標と結びつくことを伝える

それぞれについて詳しく説明します。

コメントに具体性を持たせる

人事評価におけるコメントは、具体性を持たせることが重要です。「全体的に素晴らしかった」「もう少し進歩が欲しい」などといった抽象的な表現は、社員に不満を残します。

「どこが素晴らしかったのか」「どの点が不足なのか」などが曖昧で、今後伸ばしたり改善したりすべき点が分からないためです。

評価コメントを記す際は、「次につながる提案」が含まれているのがベターです。社員から説明を求められたときも、根拠を示して説明できるようにしておきましょう。

プラス評価とマイナス評価をバランスよく

人事考課において、「プラス評価だけ」「マイナス評価だけ」のコメントは適切ではありません。

書き方としては、初めにプラス評価について言及した後、マイナス評価について指摘し、最後に「しかし〇〇は大変よかった」などとプラス評価で締めくくるのがベターです。

この順番を逆にすると、マイナスコメントで終わってしまうため、指摘されたマイナス評価ばかりが強烈に残り、社員のモチベーション低下を招く恐れもあります。

部下の立場に立ってコメントする

たとえ人事評価の結果が芳しくなかったとしても、社員の気持ちを害するような書き方は絶対に避けましょう。「社員のモチベーションを上げる」という目的が損なわれますし、評価された側との信頼関係も崩れます。

コメントを記入するときは、次の点に留意してください。

・社員の人格を否定するような言葉は使わない
・他の社員と比較しない

社員に問題行動が見られるとしても、個人の人格を否定したり傷つけたりする評価は不要です。評価者の質が疑われますし、大きなトラブルにもなりかねません。

また、同じ部署に優秀な社員などいた場合、比較したくなることもあるでしょう。しかし、人事評価はあくまでもパーソナルなもので、他の社員を引き合いにだすのも不適切です。

論理的に話す

フィードバック時は、客観的な事実に基づいて、論理的に自身の考えや感情を述べることが大切です。

そのためには、事前に部下の取り組みや行動、結果を注意深く観察し、部下がより成果を上げるためには何を伝え、どのように考えさせるべきかを慎重に検討します。

上司は、決して主観的な見解や意見を押し付けることなく、自身の観察結果や客観的な評価をもとに、丁寧に認識を共有していきます。

目標と結びつくことを伝える

人事考課におけるフィードバックは、目標と密接に結び付けられます。

具体的な方法としては、「OKR(Objective and Key Results)と連動させて、目標達成まで定期的にPDCAサイクルを回すこと」や、「フィードバックを基に目標設定を行い、達成に向けた取り組みを奨励すること」が挙げられます。

いずれの場合も、部下が納得し理解することができるため、自発的に業務に取り組んでくれるよう促し、上司や企業が期待する成果を具体的にイメージさせることができます。これにより、効果的な目標設定や業務遂行が促進され、組織全体の成果に貢献することが期待されます。

フィードバックの3つの型

フィードバックをする際、用いることのできるフィードバックの型には、以下のようなものがあります。

・SBI型
・サンドイッチ型
・ペンドルトン型

それぞれについて解説します。

SBI型

SBI型は、フィードバックを与える際に使われる手法の一つで、「状況(Situation)」、「行動(Behavior)」、「結果(Impact)」の頭文字を取ります。
このフィードバックでは以下のように、3つのステップを行います。

ステップ1:状況(Situation)
まず、特定の状況や背景を明確に説明します。その状況がどのような状態で、何が起こっていたのかを示します。

ステップ2:行動(Behavior)
次に、被評価者がその状況下でどのような行動や発言をとったかを具体的に示します。被評価者の具体的な行動や振る舞いにフォーカスします。

ステップ3:結果(Impact)
最後に、その行動や発言の結果としてどのような影響が生じたかを述べます。その行動や発言が他者や状況にどのような影響を与えたのかを示し、その結果について評価者と被評価者が共有します。

そして、最後に、「どう思う?」という問いかけを通じて、被評価者の意見や考えを尊重し、コミュニケーションを円滑にすることが重要です。

このフィードバック手法を用いることで、被評価者は自身の行動や発言に対する他者の意見を理解し、成長の機会を得ることができます。また、この手法は評価者と被評価者の間に信頼関係を築くことにも役立ちます。

サンドイッチ型

サンドイッチ型は、肯定的な意見や優れた点を指摘する部分で、課題や改善点を挟む方法です。まずは肯定的な話題から入り、その後に改善点を提起し、最後に再度肯定的な言葉で結ぶ形式を取ります。

この手法は、特別なトレーニングなどを必要とせず、すぐにフィードバックに取り入れることが可能です。また、ポジティブな話題から始めるため、被評価者である部下も否定的な意見を受け入れやすくなるでしょう。

改善点の指摘は、伝え方によっては厳しくなりすぎてしまったり、説教じみてハラスメントのようになってしまったりなど、難しいですが、サンドイッチ型のフィードバックを行うことで、あくまでも明るい雰囲気で伝えることができます。

ペンドルトン型

ペンドルトン型は、心理学者のペンドルトン氏が開発したフィードバックの手法です。この手法では、言葉のやり取りを重視し、以下のステップに沿ってフィードバックを行います。

ステップ1:何を話すのかを確認する
フィードバックのテーマや議題を明確にし、評価者と被評価者が認識を合わせます。

ステップ2:良かった点を伝える
被評価者の良い点や成功について肯定的に指摘します。

ステップ3:改善点を伝える
被評価者が改善すべき点や課題について指摘し、具体的なフィードバックを行います。

ステップ4:今後どうするのか(行動計画)を示す
被評価者が今後どのような行動を取るべきか、具体的な行動計画を立てます。

ステップ5:まとめ
フィードバックの内容をまとめ、共通の理解を確認します。

ペンドルトン型の特徴は、評価者と被評価者が共に話し合い、被評価者が自ら考えて答えを出すことに重点が置かれている点です。このため、被評価者に内省を促すことができ、自己成長やモチベーションの向上につながります。また、被評価者が自ら答えを出すことで、モチベーションが向上しやすいというメリットもあります。

ただし、ペンドルトン型を採用する場合は、議論に時間がかかることがあるため、フィードバックの時間を十分に確保する必要があります。

【職種別】人事評価におけるフィードバックのコメント例


職種別に、人事評価フィードバックのコメント例を紹介します。

営業職の場合

営業職は、結果や成績を数値化できるため、比較的評価しやすいと言われます。

ただし、数字だけでの評価は公正性に欠けるため、その成績に至った外的要因や状況の変化などを適切に把握した上で評価することが重要になります。

営業職の人事評価でコメントする際着目したいのは、以下のような点です。

・営業成績
・目標達成のために取った具体的な行動内容
・外的要因や状況の変化
・チームへの貢献度
・営業担当としての成長具合

営業職の人事評価コメント例売上目標の達成率が110%であったことは評価に値する。日頃から努力を怠らなかった結果であろうと考えられる。この調子でモチベーションを維持し、より高い目標を目指してほしい。

ただし一方で、個人業務に注力しすぎな印象も見受けられる。チーム内でのコミュニケーションを重視し、チーム全体の士気向上と営業成績達成に貢献してほしい。

持ち前の情熱と能力の高さを生かし、チーム全体によい影響を与えることを期待する。

技術職の場合

技術職やエンジニアは、工数やコストの削減、システムの改善などの達成度を測って数値化できます。

また、企画や開発段階で社員が果たした具体的な成果があれば、そちらにも触れておきましょう。ポイントは以下のとおりです。

・プロジェクトの工程・進捗管理
・目標達成のために行った具体的な取り組みや内容
・チーム内での役割
・技術者としての成長具合

技術職の人事評価コメント例進捗工程の見直しによって20%のコストダウンを実現できたことは、大きな成果といえる。

ただし一方で、工程管理の甘さが納期の遅れを招いたことは否めない。チーム内でよく話し合い、原因の特定と改善に努めてほしい。

等級以上の技術力はあるため、皆を引っ張るリーダーとなることを期待する。

事務職の場合

事務職は、業務がほぼルーティン化しています。成果や進捗など見えやすい評価ポイントがなく、数値での評価は困難です。

人事考課でのコメントは、仕事の精度や問題や課題が起きたときの対処法、解決能力に注目しましょう。

・業務における自主的な取り組み
・作業ペース、正確性
・業務への責任感

事務職の人事評価コメント例問題が生じたときに早急にミーティングを開き改善計画を立てるなど、迅速にに対応できる点は素晴らしい。周囲への情報伝達も早く、マネジメント能力の高さが見てとれる。

ただし一方で、事務作業では入力ミスなどの小さなミスが頻発している。ミスの原因を特定し、改善を図ってもらいたい。

周囲からの信頼が篤いのは、大きな魅力である。周囲を巻き込んでの業務改善や業務効率アップに貢献できると期待している。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、人事評価フィードバックのポイントや型、コメント例などについて解説しました。

人事考課が適切に行われれば、社員のモチベーション向上や企業全体の生産性の向上が期待できます。是非、本記事を参考にして人事評価のコメント作成に積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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