こんにちは。digireka!HR編集部です。今回は日増しに重要性が高まっている「リファラル採用」のメリットデメリットおよび、国内外サービスの比較を行いました。本記事を参考に、これからの採用の在り方について考えてみてください。
リファラル採用が注目される背景は?
なぜ、今リファラル採用が広がってきているのか、その背景を見ていきましょう。日本企業は、人材不足と雇用のミスマッチによる離職率の高騰という大きな問題に直面しています。
人材不足
参照及び引用:厚生労働省「人手不足の現状把握について」
平成30年に厚生労働省によって出された「人手不足の現状把握について」によると産業別にみてもかなりの産業で人手不足が本格化していきます。
参照:)『マイナビ転職 中途採用サポネット』中途採用状況調査
そのため、企業の採用にかける採用予算やコストは年々大きくなり、だれでもいいから人を集めていくという広告求人から、よりマッチング率の高い人材紹介会社への予算の分配がなされてきています。
それでも、「年々採用コストが高騰している」「お金をかけて採用したのに、半年でやめてしまった。」など、企業は採用において様々な課題に直面しています。
雇用のミスマッチの増加
参照及び引用:厚生労働省「雇用動向調査」https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/pdf/g0210.pdf
求職者側と求人側の意見や能力把握の不一致によって、早期退職者や失業者が増加しています。平均すると、1年で1企業あたり15%従業員が離職しているという現状があります。新卒であっても3年以内での離職率は3割を超えていました。(https://news.mynavi.jp/article/20181024-712660/)
トヨタ自動車の豊田社長が「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。」と発言し、終身雇用、年功序列、新卒一括採用の崩壊が徐々に現実味を帯びていきています。大手企業に入ったら一生安泰という日本特有の考えも徐々に説得力を伴わなくなっています。
リファラル採用のメリット
採用手法において、リファラル採用をするメリットは大きく2つあります。
マッチング率の担保
実際に雰囲気や評価制度など内部を知っている社員から能力や性格を知っている人を紹介してもらうため、紹介時点である程度のマッチングが保証されています。また、求職者側も知り合いに本音の話を聞くことができるので、入社時のギャップが最小限になります。
採用コストの削減
社員が直接紹介するため、メディアやエージェントの仲介料がかかりません。そのため、転職エージェントを使うと平均で100万かかると言われているコストを削減し、人材を獲得できることになります。
リファラル採用のデメリット
採用手法において、リファラル採用をするデメリットは大きく2つあります。
紹介者への依存
リファラル採用の注意点として、マッチング率やボンド構築(社内の関係構築)に関しても、紹介者に依存します。
友人や身内とはいっても、一緒に仕事をしたことがなかったり、他者へのコミュニケーションに問題があったりとミスマッチにつながる可能性があります。また、リファラルの誘い方や会社への認識も属人的になってしまいます。
他社員の理解
会社や社員によっては、いわゆる「コネ入社」のようなものであるリファラル採用をよく思ってない人が出てくる可能性があります。
社員の理解がないままに人事がリファラル採用を推し進めることで、社員のエンゲージメントが落ちる恐れがあることを忘れてはいけません。
リファラル採用を成功させるため3つのポイント
紹介しやすい環境を整える
ファラル採用は採用コストの削減が可能ですが、社員の知り合いや友人を紹介された分、慎重にことを進めなくてはなりません。もし不採用になってしまった場合は社員と求職者の関係は気まずくなってしまうからです。社員からしたらそのような理由で友人を会社へ紹介する気になれないことは十分考えられます。
具体的な対策としては紹介時に発生するインセンティブなどの設定によって社員にとってもリファラル紹介がプラスに働くようにしましょう。
社員への徹底周知を心がける
リファラル採用を取り入れる際はそのメリットや理由などを社員に明確に理解してもらう必要があります。社員への周知が徹底していないと周知が徹底していないと採用成果にもつながりにくくなってしまいます。
従業員にとって居心地の良い職場を作る
リファラル採用サービス選定の4つのポイント
機能・サービスの充実度
多くのリファラル採用ツールでは採用業務を一括して効率化できるような設計にされています。そこに加えて検討するべきことは自社の採用体制や課題に対して強みを持つサービスが備わっているかと言うことです。
例えば他の求人広告媒体などの経路も含めて応募管理をしたいのであれば、他サービスと連携できるツールが好ましいでしょう。また候補者に対して長期的な管理をしたいのであれば、タレントプール機能やコミュニケーションツールが豊富なものが好ましいです。
<h3導入実績
機能やサポート体制などの差異が明確でない場合は導入実績も参考にしましょう。各サービスのホームページを除けば、どんなツールが強かったり、どんな業界で導入されているのかと言うことがデータなどで詳しく記載されています。また導入実績を参照すればそれらのツールを使った採用方法がイメージしやすくなります。
利用料金
多くのリファラル採用ツールでは初期費用や月間料金が発生しますが、その料金や契約期間はツールによって大きく異なることもあります。費用対効果に見合ったツールを選ぶことがおすすめです。
サポート体制
リファラル採用は他の採用手法に比べてシステム運用で困ることは少ないです。しかし、社員の理解がある上で成り立つことや、社員の紹介した人材が不採用であった時のサポートが必要であることが他のツールとは異なる点です。ツールの使いやすさ以外にも、社員のメンタルサポートができるようなツールを選びましょう。
リファラル採用の海外事例
紹介ボーナス
アメリカでは8割が紹介ボーナスの仕組みを取り入れています(CXR調査より出典:CareerXroads ,Brown Bag Lunch Webinar REFERRAL Practices,2012年1月)。
ボーナス対象者を社員だけではなく、社風を十分に理解している社外人材にまで適用範囲を拡大している企業もあります。ボーナスを支払うタイミングは、新規採用者の入社30日~4か月と企業によってばらつきがあり、最高で$25,000(およそ270万円)ものボーナスを出している企業もあるそうです。
LinkedInは、2010年に「Referral Engine」を発表しました。マッチングテクノロジーによって自身が登録した人脈の中から求人に合う最高候補者3人がトップページに来るようになっています。
また、定期的に社員にリファラルについて配信を行っていくため、社員にリファラルの候補者について考える機会を提供しています。
リファラル採用の国内事例
メルカリ
メルカリでは、リファラル採用で社員の約6割が採用されており、会食の費用などを全額会社負担するなど、社員がリファラル採用しやすいような環境づくりができています。
また、自社メディアである「mercan(メルカン)」を立ち上げ、社員にバリューを浸透させるという働きかけもしています。社員へのバリュー浸透によってエンゲージメントが上がり、リファラル採用に意欲的な社員が増えるなどの効果が出ているとの事です。
LINE
LINE株式会社では、2019年7月1日より、リファラル採用を強化していく方針を発表しました。「LINE STYLE」に共感する優秀な人材を社員とともに作り上げていきたいとしています。人材紹介と比べて、応募から就社までのパーセンテージが約10倍と精度の高いものになってる現状から、この決断に踏み切りました。
ビズリーチ
ビズリーチは創業当初からリファラル採用を行ってきました。リファラルで入社した社員が最も多く、「事業作りは仲間探し」というキャッチフレーズでリファラル採用を推し進めています。チーム制を置いており、チームで協力しながらリファラルの母数を増やしています。優秀者には、豪華ディナーをプレゼントするというインセンティブを設けています。
日本企業でリファラル採用は成功するのか?
これからはリファラル採用が主流になっていく
アメリカでは最も主流な採用方法であるリファラル採用がなぜ日本では遅れているか?それは日本企業の従業員には自社愛がないため、他人や知り合いに自社を勧めたいと思わないという理由が考えられます。
この図で分かるように、日本の熱意溢れる社員の割合は6%とかなり低く、会社をよりよくするために動いている社員が少なく、ましてや友人や身内を自社で働かせようという気は起きません。これがリファラル採用が普及してこなかった一番の原因ではないかと考えられます。
少子高齢化、離職率増加により人材不足に苦しむ企業は、社員のエンゲージメントを高め、社員が会社を好きに、愛を持ってもらえるような働きかけをしていく必要性が高まっています。現在のエンゲージメント6%から、自社愛を持った人が増えれば増えるほど、リファラル採用の可能性は広がっていきます。
リファラル採用成功のカギは、従業員の企業に対するエンゲージメントをいかに高めていけるかになっていくのではないでしょうか。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?日本企業が抱えている2つの大きな問題に対して、採用という方法からアプローチしていく時代がもう来ています。日本企業も続々とリファラル採用を本格的に取り入れ始めています。これからリファラルに関してもたくさんのサービスや方法が出てくると思います。
エンゲージメントを高め、社員の協力を得ることができるかどうかがリファラル採用の肝になってきそうです。これからの採用戦線に目が離せません。
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