【中途採用成功のポイントは時期】季節や業界に合わせた戦略を徹底解説!

【中途採用成功のポイントは時期】季節や業界に合わせた戦略を徹底解説!

転職が当たり前になり、中途採用市場は拡大を続けています。中途採用強化を視野に入れている企業のかたも増えているのではないでしょうか?

また、企業における人材採用は、市場の変化を見極めることが重要な成功要因となります。中途採用市場には、企業側の採用ニーズと求職者の転職活動が集中する特定の時期が存在するため、このような時期ごとの特性を理解しておくことは、中途採用を成功させる上で非常に重要になります。

そこで本記事では、年間を通じた時期ごとの中途採用市場の動向を詳しく解説します

監修者情報

監修者用
株式会社uloqo
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月株式会社uloqoを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

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中途採用とは

中途採用とは、すでに就業経験のある人材を企業が採用することです。
新卒採用以外での人材採用は、職務経歴の有無や年齢層に関わらず、すべて中途採用に当てはまります。そのため、ターゲットも幅広いですが、中途採用のターゲットとなる層は主に以下の3つに分類されます。

  • 若手人材 :第二新卒(大学卒業後3年以内)、社会人経験3~5年
  • 即戦力人材:社会人経験5~10年
  • 管理職人材:社会人経験10年以上

新卒採用の際はポテンシャルが重視されるのに対し、中途採用では採用ニーズに合った経験やスキルを所有しているかが重視されます。中途採用はそれまでの社会経験から、即戦力を期待できる点が大きな特徴です。

しかし、卒業して就職し入社3年以内に就職活動をしている「第二新卒」と呼ばれる若手求職者に関しては、新卒とほぼ同じ目的・基準での採用が多いことから、企業によっては新卒採用に分類して採用計画を進めることもあります。

何を目的に中途採用を行うかによって、どの層をターゲットにするか変わってくるでしょう。

中途採用の現状

中途採用の現状を見ていきましょう。

2023年の中途採用人数と退職者数グラフ
引用元:マイナビ「中途使用状況調査2024年版(2023年実績)」

株式会社マイナビの調査によると、2023年に中途採用活動を行った企業の年間平均採用人数は、21.8人となっており、調査開始以来の過去最高を記録しています。

また、2023年の退職者数の平均人数は15.6人で、退職者数に対する採用人数の割合である欠員充足率は、139.2%となり、中途採用による欠員の充足ができていることが伺えます。

また、リクルートワークス研究所が公表した「中途採用実態調査」から、以下の結果がわかりました。

〈2024年度の中途採用見通し〉
「増える」と回答した企業 22.4%
「減る」と回答した企業  4.0%
「増える」と回答した企業数は「減る」と回答した企業を大きく上回る結果となりました。また、従業員規模別に見ると、「増える」の回答率がもっとも高かったのは5000人以上の企業で、34.1%でした。
〈2023年度上半期の中途採用における人員確保の状況〉
「人員を確保できた」と回答した企業 39.2%
「確保できなかった」と回答した企業 58.5%
中途採用のニーズは高まっているものの、予定採用数を満たせない企業も多いことが分かります。

これまでは、売り手市場となっている新卒採用で充足できなかった人員を中途採用で確保する企業も多くありました。
しかし、直近の傾向からは、中途採用においても採用難が加速していることが予想されます。人事担当者には、より戦略的な採用活動が求められているといえるでしょう。

参考:リクルートワークス研究所
中途採用実態調査(2023年度上半期実績、2024年度見通し 正規社員)

キャリア採用との違い

キャリア採用とは、既にスキルを持った経験者を即戦力として採用することです。

〈特徴〉
・職務経験や知識・実績を踏まえて即戦力となる人材を採用
・専門性の高い職種で求められることが多い

転職市場が活性化したことで以前より転職が一般的になり、企業が求める特定の職種や職務経験のある人材も転職するようになりました。スキルを持つ経験者を雇うことで、企業は育成コストを抑えながらすぐに活躍できる人材を確保できます。

そのため、おおまかな傾向としては、高い専門性が問われる業種や部門でキャリア採用が用いられるケースが多いです。

一方、中途採用は未経験者も対象とする点に大きな違いがあります。傾向としては専門性の低い職種が中途採用枠となることが多いです。ただ、人材不足に陥りやすい企業においては、専門分野であっても育成を見込んでの中途採用は十分に有力な選択肢となります。

中途採用時期に関する基本知識

中途採用は企業の急な人員補充や事業拡大に対応するために行われることが多いため、年間を通じて様々な時期に実施されますが、特定のタイミングに集中する傾向があります。

そこでまずは時期に応じた戦略を立てる上で重要となる、基本知識について解説していきます。

年末年始や年度末は市場が活性化される傾向がある

年末年始や年度末(12月~3月)は、中途採用市場に大きな動きがある時期です。企業は、年度末までに計画を完了させる必要があるため、新年度に向けた人員補充を進めることが一般的です。一方で、求職者にとっても年始は一つの節目となるため、転職を検討しやすいタイミングです。

ただし、年度末は多くの企業が業務に集中する時期でもあるため、採用活動自体は慎重に進められることもあります。そのため、年明け1月や2月は中途採用において特に重要な時期とされています。

業界別の採用ピークの違い

業界によっては、採用のピーク時期が異なることも特徴です。例えば、IT業界やスタートアップは、成長スピードが速いため、年間を通じて採用活動が活発です。一方で、製造業や建設業などは、プロジェクトのスタートや年度末の需要に合わせて採用の波が見られます。こうした業界特有のタイミングを理解しておくことが、中途採用の成功に繋がる要素です。

また、サービス業では、特に年末年始や観光シーズンに向けて短期的な人員補充が必要となることが多く、この時期には即戦力としての中途採用が重要視されることが多いです。

中途採用の時期別特徴

中途採用市場の特徴は時期ごとに異なります。あくまで傾向にはなりますが、1年を3分割し、それぞれの動向について詳しく説明します。

  • 新年度前後(1月〜5月)
  • 夏(6月〜8月)
  • 秋〜年末(9月〜12月)

中途採用 時期による変遷
引用元:Indeed「求職者の「仕事探しの時期」に関する調査」

新年度前後(1月〜4月)

1月から5月は、企業にとって中途採用のピークシーズンです。特に新年度に向けた人材補強が必要となるため、多くの企業が積極的に採用活動を展開します。IT業界や製造業では、新年度のプロジェクトや生産計画に合わせて人材を増強する傾向が強いです。

新年度に向けた採用活動

新年度は新しいプロジェクトや予算が始まる時期です。このため、企業は事前に人員体制を整えておきたいと考えるため、この時期に採用活動が活発化します。特にマネジメント層やリーダー職、プロジェクトの中核を担う即戦力が求められます。

IT・製造業における新年度前の採用事情

IT業界では、プロジェクトが年度をまたぐことが多く、1月から3月にかけてはプロジェクトマネージャーやエンジニアの採用が急増します。一方、製造業では新製品の立ち上げや生産ラインの強化が必要な時期であり、設計技術者や品質管理のポジションに対するニーズが高まります。

夏(5月〜9月)

夏場の採用活動は、他の時期に比べてやや落ち着く傾向があります。企業側も採用活動を一時的に縮小し、求職者の動きも少なくなります。

夏場は採用活動が減少

6月から8月にかけては、多くの企業で夏季休暇が取られ、採用活動が落ち着きます。また、プロジェクトの立ち上げや予算調整が行われる時期ではないため、特に急いで人材を確保する必要がないことが背景にあります。

夏の採用に強い業界・職種の傾向

夏でも採用活動が盛んな業界としては、小売業やサービス業があります。特に観光業やホスピタリティ業界は、夏の繁忙期に合わせて人員を増強する必要があるため、6月から8月にかけての採用が活発です。また、IT業界でも、特定のプロジェクトに合わせた採用が進むことがあります。

秋〜年末(10月〜12月)

9月から12月にかけては、企業の業務量が増加し、年末までに成果を出すために採用活動が再び活発になる一方で、年末に向けた調整業務などが増え採用活動にリソースを割くことができない傾向があります。特に財務部門や営業部門では、業績報告や決算作業が優先されるため、新たな人員を迎えるための準備が不十分になりがちです。

年末に向けた人材補充

年末は、企業が年度末に向けて業績を確定させる重要な時期です。そのため、年内にチーム体制を整え、来年に向けてスタートダッシュを切る準備が行われます。また、年末に退職者が発生することも多いため、欠員補充のために中途採用が行われることが一般的です。

求人数自体は落ち込む傾向がある

採用側も求職者側もこの時期は通常業務が繁忙期であることが多く、転職活動を活発に行えないことが一般的です。そのため、年度末や期末に焦って採用を行うよりも、年度初めや期初めに計画的に採用活動を行うことが望ましいです。

業界・職種別に見る最適な中途採用時期

大まかな時期ごとの中途採用市場の傾向について解説してきましたが、業界や職種によってその傾向は異なります。中でも特徴的な上記の三つの業界・職種について、その傾向を詳しく解説していきます。

  • IT業界
  • 製造業/サービス業
  • 管理職/専門職

IT業界の採用時期と特徴

IT業界では、年間を通じて採用活動が活発ですが、特に年度初めや年末年始に採用が集中する傾向があります。これは、プロジェクトの開始や予算の確保に合わせて新規人材が必要になるためです。IT業界では、技術の進化が速いため、常に即戦力のエンジニアやデザイナーを求める企業が多く、競争が激しい市場です。

また、テクノロジー分野では、スタートアップ企業が急成長するため、人材確保が重要な要素となります。そのため、採用のタイミングを見極めて、競合企業に先駆けて優秀な人材を確保することが成功の鍵となります。

製造業・サービス業の中途採用の傾向

製造業では、年度末に向けての需要増加やプロジェクトの進行に伴い、年末年始や秋口に採用活動が活発化します。また、サービス業では、観光シーズンや大型イベントに合わせた人員補充が必要になるため、特に夏季や冬季休暇前に中途採用が行われることが多いです。

製造業では即戦力となる技術者が重宝され、サービス業では顧客対応が優れたスタッフが求められるため、これらの業界ではそれぞれ異なるタイミングで採用が行われます。

管理職や専門職に最適な採用タイミング

管理職や専門職の採用は、通常の中途採用よりもさらに慎重な計画が必要です。これらのポジションは、企業の方向性を左右する重要な役割を担うため、採用時期も戦略的に選定されます。特に、年度初めや新規事業の立ち上げ時期は、管理職や専門職の採用に適しています。

これらのポジションでは、即戦力が求められるため、採用プロセスも慎重に進められます。企業は、候補者が十分に評価されるよう、面接や選考のプロセスを細かく設定し、適切なタイミングでの採用を目指します。

効果的な中途採用の時期戦略

中途採用市場は、時期ごとに特性があるためそれぞれ合わせた戦略立案が不可欠です。そこで、採用活動を行う上での戦略例を繁忙期と閑散期に分け、詳しく紹介していきます。

市場繁忙期を狙った採用活動の効果

年始や年度初めに採用活動を行うメリットは、優秀な人材が転職を検討しやすい時期であることです。多くの企業が新年度に向けた人員計画を立てるため、1月から3月は中途採用のピークとなります。この時期に採用を行うことで、即戦力として期待される人材を効率的に確保できる可能性が高くなります。

さらに、年度末に退職を決意する人も多いため、年度初めは多様な人材が市場に流入しやすい時期でもあります。企業としては、優秀な人材を他社に取られる前に積極的にアプローチすることが効果的です。

市場閑散期を狙った採用活動の効果

一方で、閑散期を狙った採用活動も一つの戦略です。閑散期は求職者の数が減少する一方で、競合する企業の採用活動も低調なことが多いため、このタイミングで採用活動を進めると、他社と差別化しやすくなります。

特に、夏季休暇後の9月から11月にかけては、多くの企業が採用活動を再開する時期となりますが、この直前の時期に採用を行うことで、優秀な人材を早期に確保することが可能です。また、閑散期は採用コストを抑えながら、計画的に採用を進められる点でもメリットがあります。

急な人員補充が必要な場合の対策

急な人員補充が必要な場合、企業は迅速に対応するための仕組みを持つことが重要です。

例えば、短期間での採用活動が必要な場合には、採用代行(RPO)サービスを活用することも一つの方法です。採用代行を活用することで、短期間で必要な人材を効率的に確保し、企業の事業活動に支障をきたすことなく運営を続けることができます。

また、急な人員補充に対応するためには、社内のリソースを活用して早期に採用計画を立てることも重要です。社内の採用担当者と現場部門が密に連携し、緊急の採用ニーズに対応できる体制を整えておくことが、急な人員不足を防ぐ鍵となります。

中途採用における時期別注意点

中途採用戦略を立てる上では、時期ごとの戦略立案は必要不可欠であることはおわかりいただけたと思います。一方で、いくつか注意が必要な時期も存在します。

  • 大型連休前後
  • 年度末/期末
  • 夏季休暇/冬季休暇

ここでは、特に重要な上記の3つの時期ついてその注意点を詳しく解説していきます。

大型連休前後

中途採用において、避けるべき時期の一つは大型連休前後です。ゴールデンウィークやお盆休み、年末年始のような時期は、多くの企業や求職者が休暇を取るため、採用活動が停滞しやすくなります。このタイミングで求人を出しても、応募者の数が減少することが多く、採用プロセスが遅延する可能性があります。

特に連休前後は、応募者の中でも転職意欲が一時的に低下することが多く、良い人材が他のタイミングに流れてしまうリスクもあります。企業にとっては、採用活動の効果を最大化するために、こうした時期は避け、連休後の7月や9月に採用活動をシフトする方が効率的です。

年度末・期末

年度末や期末も中途採用には注意が必要な時期です。企業はこの時期に多忙を極めることが多く、採用活動に十分なリソースを割けないケースが多発します。特に財務部門や営業部門では、業績報告や決算作業が優先されるため、新たな人員を迎えるための準備が不十分になりがちです。

また、求職者側もこの時期は現職の業務が繁忙期であることが多く、転職活動を活発に行えないことが一般的です。したがって、年度末や期末に焦って採用を行うよりも、年度初めや期初めに計画的に採用活動を行うことが望ましいです。

夏季休暇・冬季休暇

夏季休暇(8月)や冬季休暇(12月)の時期も、採用活動を避けるべき期間です。これらの時期は、企業側だけでなく、求職者も休暇モードに入っていることが多く、応募者数が少なくなる傾向があります。さらに、求職者が休暇を利用してリフレッシュし、転職の決断を後回しにする場合もあります。

そのため、企業が採用活動を行う際には、これらの休暇シーズンを避け、休暇明けに向けて求人を準備し、より多くの応募者にアプローチできるよう戦略を立てることが大切です。

中途採用の時期に関する今後のトレンド

労働市場は大きな転換期を迎えており、中途採用の時期的特徴にも変化が現れています。ここでは、その主因と影響について解説していきます。

テレワークやリモートワークの普及

近年、テレワークやリモートワークの普及に伴い、中途採用の時期に関するトレンドにも変化が見られます。

従来のようなオフィスに縛られた働き方から、柔軟な働き方へのシフトが進んでおり、採用の時期も固定的なものから流動的なものへと移行しつつあります。

特に、遠隔での採用面接やオンボーディングプロセスが普及したことにより、求職者が物理的な移動を伴わずに転職活動を行うことができるようになりました。これにより、採用活動が年間を通じて行いやすくなり、企業も柔軟なタイミングでの採用が可能になっています。

新しい働き方改革

働き方改革の影響も、中途採用の時期に大きな影響を与えています。

企業が従業員の働き方に柔軟性を持たせることで、求職者も転職活動を行うタイミングに自由度が増しています。これにより、特定の時期に採用活動が集中するのではなく、より分散した形での採用が進むようになっています。

さらに、企業が従業員のワークライフバランスを重視するようになったことで、働きやすい環境を提供する企業が求職者から選ばれやすくなっています。このような新しいトレンドに対応するため、採用のタイミングもフレキシブルに設定することが必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?中途採用を成功させるには「時期」が一つのキーワードとなることがおわかりいただけたと思います。

本記事を参考に、時期の特性を活かした採用計画を立てることで、より効果的な人材確保が見込めることでしょう。自社の採用ニーズと市場動向を照らし合わせ、最適なタイミングでの採用活動を展開していきましょう。

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