従業員の能力や成果を客観的かつ公正に評価するためには、評価者自身が制度の意義を正しく理解し、評価スキルを高めることが重要です。
そこで今回は、評価者の能力向上に役立つ評価者研修について、目的や内容、人事評価に活用するポイントなどを詳しく解説します。
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評価者研修とは?
評価者研修とは、評価者自身が人事評価制度や評価方法、評価基準などに対する理解を深め、評価スキルを向上させるために行うトレーニング・演習のことです。評価における課題を解決して納得性の高い評価を行うために、近年多くの企業が導入しています。
評価者研修の導入状況
近年、テレワークやジョブ型雇用の普及により、人事評価制度の見直しが進んでいます。日本能率協会の調査(2023年)では、約7割の企業が「人事・評価・処遇制度の見直しを実施済み、または予定している」と回答しており、評価の透明性と公平性がますます求められています。
こうした背景から、評価者のスキル向上を目的とした研修の導入が広がっており、多くの企業で評価者研修が人材マネジメントの重要な柱となっています。
出典:)「当面する企業経営課題に関する調査 -組織・人事編2023-調査結果発表(人事制度)|日本能率協会」
評価者研修の目的は?
評価者研修の目的は、組織内で公正かつ効果的な人事評価を実施できるよう、評価者(主に上司やマネージャー)に必要な知識・スキル・意識を身につけさせることにあります。
具体的には、次のような目的があります。
それぞれについて詳しく説明します。
評価制度の理解
自社の人事評価制度の仕組み、目的、運用方法を正しく理解することで、評価基準や手続きに対する共通認識を持つ。
公平・公正な評価の実現
評価における主観的な偏り(評価エラー)を防止し、客観的かつ納得性の高い評価を行う力を養う。
フィードバック能力の向上
評価結果を部下に対して適切に伝え、成長につなげるためのフィードバックの技術を習得する。
部下育成との連携
評価を通じて部下の成長・キャリア開発を支援し、組織全体のパフォーマンス向上に貢献する意識を醸成する。
コンプライアンスと透明性の確保
ハラスメントや不適切な対応を防ぎ、透明性のある評価運営を行うための知識と倫理観を高める。
評価者研修のプログラム内容例は?
ここでは、評価者研修におけるプログラムの一例をご紹介します。
1. オリエンテーション
- 研修の目的と全体の流れの説明
- 評価者の役割と期待される責任の理解
2. 人事評価制度の基本理解
- 自社の評価制度の概要(目的・評価項目・等級制度など)
- 評価と処遇(昇格・昇給・異動など)の関係
- 評価時期・手続き・評価フローの確認
3. 評価の原則と評価エラーの理解
- 公平・公正な評価の原則
- よくある評価エラー(ハロー効果、論理誤差、寛大化・厳格化傾向など)
- 客観的な評価のポイントと留意点
4. 評価実践ワーク
- ケーススタディによる評価演習
- 評価コメントの書き方・表現力向上
- 他者との評価比較・意見交換
5. 面談・フィードバック技法
- 面談の進め方と事前準備
- フィードバックの基本(SBIモデルなど)
- 実践ロールプレイと講師フィードバック
6. 部下育成と評価のつなげ方
- 評価を活用した目標設定と能力開発
- キャリア支援・成長支援としての評価活用
- 動機づけにつながる評価の伝え方
7. 質疑応答・まとめ
- 研修内容の振り返りと今後の実践ポイント整理
- 質疑応答・意見交換
- 今後のフォローアップ案内
人を評価するポイントは?
人を評価する際には、主観や感情に左右されず、公平・公正に行うことが求められます。信頼される評価を行うためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
それぞれについて詳しく説明します。
事実に基づく評価を行う
評価は「印象」ではなく、「行動」や「成果」といった客観的な事実に基づいて行うことが基本です。記録や実績、具体的なエピソードをもとに判断しましょう。
評価基準を正しく理解し、統一する
評価基準や定義を正確に理解し、他の評価者との間でも解釈のブレがないようにすることが重要です。基準に沿って判断することで、公平性が保たれます。
成果だけでなくプロセスも見る
目に見える成果だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫、周囲への貢献度など、プロセス面も評価対象とすることで、より総合的で納得感のある評価になります。
能力・行動・姿勢のバランスを見る
評価は、業績や成果だけでなく、業務遂行能力(スキル)、行動(チームワーク・主体性など)、仕事への姿勢(責任感・意欲など)といった多面的な視点で行うことが重要です。
評価バイアスを意識して避ける
人にはさまざまな評価バイアス(例:ハロー効果、近接誤差、寛大化傾向など)があるため、それらを意識し、できるだけ客観性を保つように心がけましょう。
評価者制度の注意点は?
評価者制度を適切に機能させるためには、制度設計や運用においていくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。以下の点に注意し、制度の信頼性と実効性を高めましょう。
- 評価基準を明確にする
- 評価者のスキルを底上げする
- フィードバックを必ず行う
- 評価結果を人材育成に活用する
それぞれについて詳しく説明します。
評価基準を明確にする
誰が見ても同じように判断できるように、評価項目や評価レベルを具体的・定量的に設定し、評価者間の認識を統一することが重要です。
評価者のスキルを底上げする
評価制度を正しく運用するには、評価者自身のスキルと意識を高める研修や指導を継続的に行うことが必要です。スキルに差があると制度の公平性が損なわれます。
フィードバックを必ず行う
評価を伝えるだけでなく、評価結果に基づく建設的なフィードバックや今後の目標設定を実施し、部下の成長とモチベーション向上につなげましょう。
評価結果を人材育成に活用する
評価を処遇だけに使うのではなく、育成・配置・キャリア支援など人材マネジメント全体に活かすことで、制度の意義をより大きくできます。
【5選】評価者研修やセミナーを行っている会社
最後に、実際に評価者研修やセミナーを行っている会社を5社紹介していきます。ここでは概要の紹介に留まりますので、興味のある会社があれば直接お問い合わせいただければと思います。
株式会社インソース

株式会社インソースは、評価者研修において豊富な実績を持ち、管理職向けの基礎研修から評価基準の見直し、フィードバックスキルの強化まで幅広いプログラムを提供しています。研修形式も、公開講座・講師派遣・eラーニングなど柔軟に対応可能です。
■ 特徴
- 人事評価制度に対応した評価者研修を多数提供
- 初級者向けから上級者向けまで幅広く対応(基本編/ブラッシュアップ編/面談力強化など)
- 公開講座・講師派遣・eラーニングなど柔軟な研修形式を用意
■ 研修プログラム例
- 評価者研修 ~基本編~
- 評価者研修 ~評価基準ブラッシュアップ編~
- 評価と指導力強化研修(面談力向上など)
■ 実績と評価(2023年度)
- 受講者の内容理解度:99.0%
- 講師満足度:95.4%
- 参加者の声:「評価の客観性を意識できるようになった」「面談を実践したい」
■ 導入企業の効果例
- 製造業企業での導入により、面談実施率が60% → 95%に向上
- 「評価のブレが起きにくくなった」「基準整備で評価がしやすくなった」との報告あり
■ アフターフォロー体制
- 研修後1〜3ヶ月に「呼び覚まし調査」を実施
- 定着度・実践状況の確認と分析を通じて、継続的なスキル定着を支援
株式会社日本コンサルタントグループ

株式会社日本コンサルタントグループは、組織開発や人材育成の分野で長年の実績を持つコンサルティング会社です。評価制度の構築支援とあわせて、評価者向けに目標設定・評価スキル・面談力を体系的に学べる研修を提供しており、公開セミナーや講師派遣にも対応しています。
■ 特徴
- 1956年創業の老舗コンサルティング会社
- 組織開発・人材育成に強みを持ち、評価者・考課者研修を多数実施
- 評価制度構築の支援も行っており、制度設計から研修まで一貫対応可能
■ 研修プログラム例
- 人事評価・目標管理の基本理解
- 適切な目標設定と明確化の技法
- 評価エラーの理解と対応方法
- デイリーマネジメントと部下指導
- フィードバック面談の実践演習
■ 実績と評価
- 多くの大手企業・自治体で導入実績あり
- 受講者からは「評価の考え方が明確になった」「部下との関係が改善された」といった声が多数
- 評価結果を業績や人材育成に活用する意識改革につながっている
■ 導入企業の効果例
- 評価基準のバラつきが解消し、部門間の評価格差が減少
- 目標設定が定量・定性両面で明確になり、目標達成率が向上
- フィードバック面談の実施率向上により、部下の納得度・満足度が改善
■ 研修形態
- 公開セミナー形式(2日間コースが中心)
- コンサルタント派遣型のカスタマイズ研修も対応可能
■ アフターフォロー体制
- 要望に応じて制度運用の改善コンサルティングも提供
- 研修後の運用定着支援や、評価制度見直しの提案も可能
学校法人 産業能率大学 総合研究所

産業能率大学 総合研究所は、教育機関としての信頼性を活かし、実務に直結する評価者研修を幅広く展開しています。通信研修やeラーニング、集合研修まで多様な形式に対応し、評価の基本から目標設定、面談スキルまで段階的に学べる構成が特徴です。
■ 特徴
- 大学機関が運営する研究所として、理論と実践を融合した人材育成プログラムを提供
- 企業の階層別教育に強みを持ち、評価者・考課者向け研修も豊富に実績あり
- 通信教育、eラーニング、集合研修など多様な受講スタイルに対応
■ 研修プログラム例
- NEW人事考課者研修(基本編)
- 映像で学ぶ人事考課者研修(eラーニング対応)
- ケーススタディで学ぶ人事考課の実践
- 目標ベース成果評価研修
- 面談アセスメント(ロールプレイを通じた面談力強化)
■ 実績と評価
- 多くの上場企業や地方自治体で採用実績あり
- 映像教材とテキストを活用した「通信+集合」のハイブリッド学習が好評
- 「理論だけでなく現場で活かせる内容だった」との受講者の声多数
■ 導入企業の効果例
- 評価基準の明確化と目標設定の質が改善
- 若手管理職の評価・フィードバックに対する苦手意識が軽減
- 面談アセスメント後に、部下の満足度・信頼度が向上
■ 研修形態
- 通信研修(教材ベース)
- モバイルトレイン(eラーニング)
- 集合研修/講師派遣型(現在一部休止中)
- 公開セミナー(不定期開催)
■ アフターフォロー体制
- 継続学習を前提とした段階的なカリキュラム設計
- 自社内で繰り返し活用できる教材・映像パッケージあり
一般社団法人日本能率協会(JMA)

日本能率協会は、経営や人材開発支援に長年携わる機関で、評価者向けの実践型セミナーを各地で開催しています。評価制度の理解促進だけでなく、面談スキルや部下指導力の強化にも重点を置いており、講師派遣による企業ごとのカスタマイズ研修にも対応可能です。
■ 特徴
- 日本を代表する経営支援機関として、企業の人材育成・組織開発に長年携わる
- 管理職・評価者向けセミナーを多数開催し、評価スキルの強化を支援
- 全国主要都市(東京・大阪・名古屋など)で公開セミナーを実施(※一部現在休止中)
■ 研修プログラム例
- 人事考課・面談スキル向上セミナー
- 管理者のための評価制度の原則と面談対策セミナー
- 公正な評価と育成を両立する考課者研修
- 組織活性化を促進する目標管理(MBO)研修
■ 実績と評価
- さまざまな業界・業種の管理職層が受講し、現場ですぐに活かせる実践的内容が好評
- 「評価と面談の本質が理解できた」「すぐに1on1に取り入れられる内容だった」との声が多数
- 特に面談力やフィードバック技法の強化に対する評価が高い
■ 導入企業の効果例
- 面談スキル向上により、部下との信頼関係が改善
- 人事評価に対する納得感が社内アンケートで向上
- 「評価制度が形骸化していたが、目的を再確認できた」とのフィードバックあり
■ 研修形態
- 公開セミナー型(東京・大阪・名古屋などで開催)
- 講師派遣型によるカスタマイズ研修(企業ごとの制度や階層に応じた対応可)
■ アフターフォロー体制
- 経験豊富な講師陣が受講後の実践アドバイスも提供
- 評価制度全体の見直しや人材開発プランとの連動支援も可能
株式会社バリューイノベーション

株式会社バリューイノベーションは、人事制度設計や組織開発を専門とするコンサルティング会社で、評価制度と育成施策を連動させた考課者研修を実施しています。単なるスキル習得ではなく、制度そのものの改善を見据えた実践的な内容が特徴です。
■ 特徴
- 組織改革・人事制度設計の専門コンサルティング会社
- 特に「評価制度と人材育成の連動」を重視した考課者研修を提供
- 単なる評価スキル習得にとどまらず、評価制度の本質的な改善支援が可能
■ 研修プログラム例
- 考課者研修(評価の基本と公正な判断力の強化)
- 人事制度設計に基づく評価制度運用支援研修
- 評価と目標設定の整合性を取るマネジメント研修
- 組織の理念・ビジョンと連動させた人材評価ワークショップ
■ 実績と評価
- 中堅〜大手企業での人事制度刷新プロジェクトに多数関与
- 「評価制度の導入から運用まで一貫支援してくれる」と高評価
- 特に経営層・管理職から「評価が経営戦略と結びついた」との声が多い
■ 導入企業の効果例
- 評価制度が機能せず属人的になっていた企業で、公平性と透明性が向上
- 考課者の目線がそろい、部下の納得感と育成意識が改善
- 制度を通じて組織文化をアップデートする成果を実現
■ 研修形態
- 講師派遣型の集合研修(対面・オンライン両対応)
- 公開型研修(定期開催)
- 人事制度コンサルティングとの組み合わせも可能
■ アフターフォロー体制
- 評価制度そのものの再設計・アップデートも併せて支援
- 研修後の実践状況に応じてカスタマイズサポートを実施
評価者研修についてよくある質問(FAQ)
最後に、評価者研修についてよくある質問をまとめました。
評価者に必要なスキルは?
客観的に評価するための観察力、基準に基づいた判断力、部下との信頼関係を築くコミュニケーション力が求められます。
人事評価の4原則は?
「公平性」「透明性」「納得性」「継続性」の4つが基本原則とされ、評価制度の信頼性を高めるために重要です。
評価者研修の導入タイミングはいつが最適ですか?
評価期間の直前や、新任管理職の就任タイミングが最適です。制度改定時にも有効です。
評価者研修の頻度はどのくらいですか?
最低でも年1回が推奨されますが、制度改定時や管理職昇格時などに合わせて適宜実施すると効果的です。
評価のバラつきをなくすにはどうしたらいいですか?
評価基準の共有と解釈のすり合わせ、ロールプレイを含めた研修の実施により、評価の軸を統一することが重要です。
まとめ
評価者研修は、公正で納得感のある人事評価を実現し、組織全体の信頼性や生産性を高めるために欠かせない取り組みです。
この記事では、研修の目的や内容、導入のポイント、実施企業の事例などをご紹介しました。評価制度に課題を感じている場合は、制度そのものの見直しとあわせて、評価者のスキル向上を図ることが効果的です。
自社の状況に合った研修を選び、評価の質を高めることで、社員のモチベーションや育成にも良い循環が生まれます。まずは小さな一歩から、取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
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