面接の評価基準・項目の作り方とは?評価方法やシート活用を解説!

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👉この記事のポイント

  • 評価基準・評価項目の定義

    評価基準は理想人物像や必要能力を示す指標で、評価項目はその基準に沿って具体的に採点する尺度です。行動例や段階基準を整備することで評価のばらつきが減り、公平で一貫した合否判断が可能になります。

  • 評価基準作成の5ステップ

    採用したい人物像の明確化から始め、評価項目の選定、各項目の基準設定、社内すり合わせ、優先順位付けの順で整備します。具体性と共有を徹底することで運用しやすい評価設計になります。

  • 段階別の評価基準

    一次はマナーや人柄・志望動機、二次は実践力や行動特性、最終は入社意欲とカルチャーフィットを重視します。段階ごとに着目点を分けることで一貫性のある選考が実施できます。

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監修者
株式会社uloqo 代表取締役

アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月株式会社uloqoを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。

面接評価基準・項目の基本

採用面接において、候補者をどのような基準で判断するかは、企業にとって非常に重要なテーマです。感覚や印象だけに頼った評価では、選考の公平性が損なわれたり、入社後のミスマッチにつながる恐れがあります。

そのため、多くの企業では「評価基準」や「評価項目」を明確に設定し、面接官全員が共通のものさしを持って判断できる体制を整えています。
本章では、こうした面接評価基準と評価項目の基本的な考え方を整理し、効果的な選考を実現するための基盤を解説します。

面接評価基準

面接評価基準とは、企業が採用で求める理想の人物像や必要な能力・スキルを明文化した判断指標のことです。評価者が主観的に判断してしまうリスクを減らし、候補者を公平かつ一貫して評価するために設けられます。
たとえば、「コミュニケーション能力」「課題解決力」「チームワーク」「リーダーシップ」「成長意欲」などの項目を設定し、それぞれに具体的な行動例や評価基準を定めることで、定性的な印象ではなく、定量的に近い形で評価を行うことが可能になります。

また、面接評価基準は企業文化や職種によってカスタマイズされることが多く、営業職では「提案力・折衝力」、エンジニア職では「論理的思考力・技術的知識」など、職務要件に合わせて基準を設けることが重要です。こうした基準が明確であれば、候補者が入社後に活躍できるかどうかをより精度高く見極められます。

面接評価項目

面接評価項目とは、先に定めた評価基準をもとに候補者の資質や行動を具体的に採点するための要素です。各項目ごとに観点を整理し、5段階評価やコメント欄を設けることで、面接官間の評価のブレを防ぐことができます。

  • コミュニケーション能力
    • 話し方の明瞭さや論理性があるか
    • 質問に対して具体的な回答ができているか
    • 相手の意図を理解し、適切に受け答えできているか
  • 問題解決力
    • 実際の経験に基づくエピソードを提示できるか
    • 課題に対して複数の選択肢を検討しているか
    • 論理的に結論へ導くプロセスがあるか
  • チームワーク・協調性
    • 他者の意見を尊重しながら行動できるか
    • チーム全体の成果を意識した発言・行動があるか
  • リーダーシップ・主体性
    • 課題に対して自ら行動を起こした経験があるか
    • 他者を巻き込み成果を上げた経験があるか

このように各評価項目に対して明確な採点基準を設けることで、候補者の「印象」ではなく「行動」と「成果」に基づいた客観的な評価が可能になります。また、複数の面接官が同一基準で評価を行うことで、採用判断の再現性が高まり、選考全体の品質向上につながります。

面接評価基準を設定するメリット4つ

面接官が複数いる場合には、面接における評価項目や評価基準を一致させる必要があります。
面接評価基準を設定するメリットは?
それぞれについて詳しく説明します。

面接官全員の認識を合わせられる

例えば、面接項目を定めたとしても、二人の面接官の意見が食い違い、評価基準がズレた際には、どちらの意見を通すべきか都度議論をする必要が生まれてしまいます。それにより妥協して誤った選択をしてしまうと、ミスマッチが起こり、応募者がキャリアを築くにあたって良くない結果となります。

企業目線に立つと、面接者ごとに評価のズレが生じると、企業の事業継続における最重要項目である採用活動が崩壊している状況となるため、通年かけて行ってきた母集団形成の段階からの労力が全て水の泡です。甚大な影響が出る前に、適切な評価基準を設ける必要があります。

あくまでも評価基準の設定でなく、評価基準を基に、複数の面接官が同様の目線で評価をできる状態を構築することをゴールとする必要があります。

客観的に合否を判断できる

評価基準に沿って点数での評価を行うことで「客観的な合否判断」が可能です。どんなに優秀な学生だとしても、判断理由や評価ポイントが明確でなければ、ミスマッチが生じるかもしれません。しかし、点数により可視化することで、基準に合わせた客観的な評価が可能になります。

面接で点数をつけていない場合、面接官の主観での評価が行われるでしょう。組織が大規模になるほど採用に関わる担当者は増えますが、それぞれの主観で評価してしまうとばらつきが生じます。

評価基準が複数の面接官で共有されていれば、学生の能力をより客観的かつ正確に判断できるため、採用の判定もしやすくなるはずです。また、適切な点数評価を実施することで、採用選考の透明性が高まり、面接のブラックボックス化解消にも繋がるでしょう。

面接での確認漏れを防ぐことができる

面接で点数評価をするためには、評価項目や配点方法などをあらかじめ設定しておく必要があります。

事前に評価項目と配点を明確にしていれば、面接では決めた内容に沿って質問をしていくだけなので確認漏れの心配がありません。面接後の追加質問が難しいケースもあるため、面接時の確認漏れを最小限にすることは非常に重要です。

確認漏れの防止は、面接の精度を高めることにも繋がります。採用面接に初めて参加する社員や、面接スキルが乏しい面接官が面接を担当する場合もあるかと思いますが、担当者間で評価項目が統一されていれば、優先すべき点が明らかになり、不十分な面接を避けることができます。

選考データを残して採用に活かすことができる

面接の評価を数字で記録することにより、社内での共有と評価の振り返りがしやすくなります。点数評価は履歴書や職務経歴書には現れない、学生の人柄や人間性、価値観などを可視化する重要な手段です。応募者の人材を的確に判断するだけでなく、採用後の配属先を決定する際の参考としても役立ちます。

さらに、選考データを共有して分析することで、評価基準や評価項目そのものの課題や改善点の把握も可能になります。例えば、下記のような改善点とその対策が考えられるでしょう。

・人物像や性格、価値観などの評価が数値評価しにくい場合
→点数評価とは別に人物例や特徴を記入できる欄を作成する<
・点数での評価のレベルに迷う場合
→5段階で評価できるよう設定し、「5段階評価の3はこのくらいのレベル」など、項目別で目安となる基準を決める

選考の精度や品質向上を目指すためにも、集めた選考データを社内で有効に活用しましょう。

面接評価基準を設定するデメリット3つ

面接評価基準は採用の質を高めるうえで欠かせない仕組みですが、導入や運用にあたっては一定のデメリットも存在します。ここでは、企業が直面しやすい課題と、その背景について解説します。

  • 評価基準の設定や運用に手間がかかる
  • 柔軟な判断がしにくくなる
  • 面接官の主観や経験に左右される余地が残る

こうした課題を理解したうえで、評価基準を硬直的な仕組みではなく、改善を重ねながら運用する仕組みとして活用していくことが重要です。

評価基準の設定や運用に手間がかかる

面接評価基準を整備するには、職種ごとの要件を整理し、どのようなスキル・行動を評価すべきかを明文化する必要があります。そのため、初期設計には時間と労力がかかり、現場とのすり合わせやテスト運用も不可欠です。

採用市場の変化や企業戦略の転換に合わせて基準を見直すことも求められます。継続的なアップデートや、面接官へのトレーニングが必要になる点は、工数的な負担として見逃せません。
しかし、評価基準の策定に手間をかけることで、採用判断の再現性や納得感が高まり、結果的には採用の効率化にもつながります。
短期的な工数よりも、長期的な採用品質向上の効果を重視する姿勢が重要です。

柔軟な判断がしにくくなる

評価基準を厳格に運用するあまり、候補者の「型にはまらない魅力」や「潜在能力」を見逃してしまう可能性があります。特にポテンシャル採用や第二新卒採用のように、経験よりも将来性を重視するケースでは、基準外の要素が重要になることも多いです。

また、基準に沿った形式的な面接が増えると、候補者との自然な対話や相互理解が浅くなるリスクもあります。評価の標準化と柔軟性のバランスを取ることが重要です。
一方で、基準が明確にあることで面接官の判断軸が安定し、全体として公平性と一貫性を維持できるという大きな利点もあります。

面接官の主観や経験に左右される余地が残る

どれだけ基準を整備しても、最終的に評価を行うのは人です。評価者の経験や解釈の違いにより、評価のバラつきが完全にはなくならない場合があります。特に、経験の浅い面接官が多い組織では、基準をどう読み解くかの教育が不可欠です。

また、評価表の運用が形骸化し、面接官が十分に書き込まないまま判断を下すケースも見られます。制度を形式的に導入するだけでは、真の公平性は実現できません。
一方で、基準を設けることで主観的評価の影響を最小化し、面接官育成の指針としても機能する点は大きな価値です。

【5ステップ】面接評価基準の作成方法は?

実際に面接評価基準を作る際の流れと一緒にポイントを見ていきましょう。
【5ステップ】面接評価基準の作成方法は?
それぞれについて詳しく説明します。

採用したい人物像を明らかにする

面接評価基準を作成する第一歩は、「どんな人材を採用したいのか」を具体化することです。自社の事業内容、ミッション、ビジョン、そして募集しているポジションの役割を踏まえて、求める人物像を明確にします。具体的には以下のような観点で整理します。

  • スキル・経験:業務を遂行するために必要な専門知識や実務経験は何か。
  • 行動特性:主体性、協調性、挑戦心、柔軟性など、職場で求められる行動や姿勢。
  • 価値観・カルチャーフィット:会社の文化やチームの雰囲気に合う人物かどうか。

この段階で、経営層や現場のマネージャー、チームメンバーと議論し、理想像をすり合わせることが重要です。抽象的な「優秀な人」ではなく、具体的なイメージを共有することで、後の評価基準作成がブレにくくなります。

評価項目を定める

設定したターゲットに沿う人物か見極めるための評価項目を決めていきます。まずは、思いつく評価項目をリストアップしてみましょう。その際、よく参考にされるのが経済産業省が提唱する「社会人基礎力」になります。

「社会人基礎力」

経済産業省が平成18年に定めたもので、「職場や社会地域で多様な人々と仕事していくために必要な力」として提唱しており、3つの能力とさらに12の能力要素から成り立っています。

 

社会人基礎力とは

 

リストアップができたら、次は求めるターゲットに合った評価項目の選定に移ります。評価項目が多すぎると面接官の負担が増え、時間内の評価が難しくなる可能性も考えられるため、20個程度に絞るのがおすすめです。基準は具体的であるほど、面接官が評価しやすく、統一性を持たせることができます。
多くの企業で用いられているポピュラーな評価項目は下記のものが挙げられます。

  • 知識
  • 理解力
  • 判断力
  • 分析的思考力
  • 表現力
  • リーダーシップ
  • 協調性
  • クリエイティビティ

評価項目が既に決まっている場合でも、必要とされる人材は自裁とともに変化します。ダイバーシティ経営を目指して、面接評価項目を再度見直してみるのも良いかもしれません。

各項目における評価基準を定める

重視する評価項目を定めたら、もしくは選定と並行して一つ一つの項目において、どのような状態であったら能力が高いと評価できるかを具体的に定めます。

リーダーシップを例にとってみても、どんな人をリーダーシップ力が高いと判定するのかは、人それぞれです。

客観的な尺度を定めることで、面接官による主観で評価をすることがなくなり、面接における客観性が保たれるようになります。これにより、複数の面接官で意見が食い違った際に現場の声が優遇されるなどの問題が緩和されます。

一般的な採用基準は「良い・普通・良くない」の3段階や、「当てはまる・やや当てはまる・どちらともいえない・やや当てはまらない・当てはまらない」の5段階の評点制度です。項目ごとの基準を明確にして面接官に共有しましょう。

繰り返し社内ですり合わせる

評価項目・基準を定めた後、それらが適切であるかを社内ですり合わせする必要があります。一貫性のある評価基準・項目になっているか、改めて社内で確認してみましょう。社内フィードバックによって異なる意見や視点を取り入れることで、より包括的で公平な評価基準を設定することができます。

この際、面接直後の面接官にフィードバックをもらうと効果的です。なぜなら、面接直後のフィードバックは率直に本音を含むからです。また、違和感を感じる部分があれば、よりその部分に関してのリアルな感想や意見を伝えてくれる貴重な存在となります。

もちろん、面接後時間が経ち、思考を整理した上でのフィードバックも重要になります。すり合わせを幾度も行い、採用の精度を高めましょう。

評価項目の優先順位を決める

「特に重要な評価項目」として、優先的に確認する項目を決めます。

全ての評価項目が満点になることはおそらくありません。そのため、面接官の点数がばらけることは多々あるかと思いますが、優先的に注視する項目を事前に定めておくことで、面接官の評価が分かれてもスムーズに選考を進めることができます。

さらに、合否の判断や、複数の面接で担当者が替わる際にも有効です。優先項目を社内で把握できていれば、一貫性のある判断ができ、効率よく評価ができるでしょう。

3つの評価方法

面接の評価には主に3つの評価方法があります。それぞれどのような評価方法があるのかご紹介します。
3つの面接評価方法
それぞれについて詳しく説明します。

加点方式

「加点方式」とは、0点からスタートし、候補者の良い点を見つけて点数を積み上げていく評価方法です。ポジティブな側面に注目しながら評価を行うのが特徴で、面接全体が前向きな雰囲気になりやすいのがメリットです。

応募者の強みや成長可能性を見つけやすく、結果的に入社意欲を高める効果もあります。候補者に安心感を与えたい場合や、ポテンシャル重視の採用には特におすすめです。

減点方式

「減点方式」とは、100点をスタートにして、候補者の課題や懸念点が見つかるたびに点数を引いていく評価方法です。注意点やマイナス要素に焦点を当てるのが特徴で、リスクを回避したい採用に向いています。

一方で、欠点を探す傾向が強くなるため、候補者の良い面を見落としたり、面接が圧迫的な雰囲気になってしまう恐れがあります。そのため、慎重に運用する必要があります。

段階評価

段階評価には、

  • 言葉による評価(「とても良い」「良い」「普通・どちらともいえない」「やや悪い」「悪い」など)
  • 数値を用いた評価(1~3、1~5など)
  • アルファベットによるランク付け(ABCDEなど)

のような方法が存在します。

基準を大幅に上回るか下回る場合、特別な評価(SS評価、F評価など)を設定する場合もあります。段階評価で点数をつける際は、「Aが3つ以上で合格」「どの項目もC以上で合格」「Eが1つでもあれば不合格」といった足切りをする基準も事前に決めておきましょう。

選考段階ごとの評価基準は?

面接フローごとの評価基準評価基準は面接段階によって変わります。
一次面接・二次面接・最終面接の3つの段階について、特に入れたほうが良い評価基準・項目をご紹介します。

一次面接の評価基準

  • 身だしなみ(マナー・第一印象)
  • 視線・表情(マナー・第一印象)
  • 話し方や声の大きさ
  • 志望動機
  • 向上心

多くの企業では、一次面接で基本的なマナーや人柄、社風とのマッチ度などを見ることが多いです。また、人事担当者が面接を担当するケースが多く、現場レベルでの評価は二次面接以降で行うケースが多いでしょう。

そのため、一次面接では、コミュニケーション能力や仕事に対する根本的な考え方・姿勢を確認できる評価基準がおすすめです。

二次面接の評価基準

  • 自己PR
  • 成功体験
  • 失敗体験
  • 主体性
  • 行動力
  • 課題発見力
  • ストレス耐性

二次面接では、現場担当者が面接官を担当し、一次面接よりも実践的な内容を問います。そのため、「その候補者が入社後に活躍できるのか」を具体的にイメージできるような評価基準が求められます。

面接時は、候補者の経験やスキルを踏まえ、自社の業務と照らし合わせながら深掘りすると良いでしょう。

最終面接の評価基準

  • 入社意欲の高さ
  • 社風や企業理念との合致度

一次面接と二次面接で候補者を絞り、最終面接は役員クラスが面接官をするケースが多いです。二次面接を通過した段階で、内定がほとんど決まっているというケースもあるでしょう。

この段階で重要なのが「入社意欲の高さ」です。内定後の辞退や入社後の短期間での離職は、かえって企業の負担を大きくしてしまいます。
一次面接からの発言内容に一貫性があるかをチェックしながら、入社にあたっての思いや熱意を確認しましょう。

面接の評価基準を設定する際のポイント4つ

面接評価基準を効果的に機能させるためには、ただ項目を作るだけでは不十分です。自社に合った設計や、面接官間の運用体制、継続的な改善が求められます。評価基準を形だけのルールにしないためにも、以下のポイントを意識することが重要です。

  • 自社の求める人物像と照らし合わせて設計する
  • 定量評価と定性評価を組み合わせる
  • 面接官間で評価基準の認識を統一する
  • 定期的に見直し・アップデートを行う

それぞれについて詳しく解説します。

自社の求める人物像と照らし合わせて設計する

面接評価基準を設定する際には、まず自社がどのような人材を求めているのかを明確にすることが重要です。採用基準が曖昧なままでは、評価項目も抽象的になり、面接官によって判断がバラつく原因となります。 たとえば、挑戦志向の強い企業であれば「主体性」や「課題解決力」を重視し、チームワークが重要な環境であれば「協調性」や「コミュニケーション能力」に重点を置く必要があります。

評価基準は自社で活躍できる人材像を基点に作ることが最も重要なポイントです。自社の文化・事業フェーズ・職種特性を踏まえて設計すれば、面接での判断がブレず、採用後の定着率やパフォーマンス向上にもつながります。

定量評価と定性評価を組み合わせる

評価基準を効果的に機能させるには、数値化できる「定量評価」と、印象や態度などを評価する「定性評価」をバランスよく組み合わせることが大切です。定量評価だけでは人柄やカルチャーフィットを見落とす可能性があり、逆に定性評価だけでは主観が入りすぎてしまいます。

スキルや行動面は点数評価、価値観や人間性はコメント形式で補完するといった形で使い分けることで、より多面的で公平な評価が実現できます。こうしたハイブリッド型の評価は、候補者の実力だけでなく将来性も見極めやすくなる点が大きな利点です。

面接官間で評価基準の認識を統一する

どれだけ明確な評価基準を設けても、面接官によってその基準の解釈が異なれば、結果的に評価のばらつきが生じてしまいます。そのため、面接官同士で基準の意味や判断ポイントを共有し、共通の認識を持つことが欠かせません。

面接前に評価シートの読み合わせを行ったり、過去の評価事例をもとにすり合わせを行うと効果的です。評価基準の理解度の統一こそが、採用判断の再現性を高める鍵といえます。特に複数面接官制を導入している企業では、こうした基準統一の取り組みが採用精度を大きく左右します。

定期的に見直し・アップデートを行う

面接評価基準は、一度設定して終わりではありません。企業の成長フェーズや採用ターゲットが変化すれば、求める人物像も変わります。設定当初の基準をそのまま使い続けると、時代や事業とのズレが生まれてしまうことがあります。

そのため、定期的に評価データを振り返り、「採用した人材が実際に活躍できているか」を検証しながら改善を重ねることが大切です。評価基準は固定のルールではなく、変化に合わせて育てていく仕組みとして運用することを意識しましょう。

面接評価シートの活用

採用面接の精度を高めるうえで、面接官ごとの感覚や印象に頼らない仕組みづくりは欠かせません。その中心的な役割を担うのが「面接評価シート」です。

この章では、面接評価シートの基本的な役割や特徴を整理し、導入のメリット・デメリットを踏まえながら、効果的に活用するためのポイントを解説します。

面接評価シートとは?

面接評価シートとは、評価項目と評価基準を記したシートのことで、面接の際に面接官が面接評価シートに沿って質問を行う形がベターです。
「面接ヒアリングシート」または「採用面接評価表」などとも呼ばれます。

面接評価シートはフィードバックの際にも役立ちます。面接のフィードバックについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
【関連記事】【採用担当者向け】面接時にフィードバックを実施する意味や目的、メリットとは?

評価シートのメリット

面接評価シートを導入することで、面接の質と公平性を大きく高めることができます。まず、質問項目や評価観点が整理されているため、面接時の聞き漏れを防止でき、限られた時間の中で重要な情報を効率よく引き出せます。さらに、候補者の人柄や価値観といった抽象的な情報もコメント欄などに記録できるため、印象ではなく情報として可視化できる点が大きなメリットです。

また、評価シートを使うことで複数の面接官が同一フォーマットで記録を残せるため、社内共有がしやすくなります。評価の根拠が明確になることで、面接官同士の意見のすり合わせもスムーズに進み、最終判断の質も向上します。さらに、過去の評価データを蓄積・振り返ることで、採用基準そのものの改善や次回選考へのフィードバックにも活かせます。

評価シートのデメリット

一方で、評価シートには注意すべき点もあります。まず、評価項目や基準が十分に整理されていないと、面接官ごとに評価の観点がブレてしまい、かえって判断のばらつきを生む可能性があります。評価シートはあくまで「ツール」であり、運用の質を高めるためには設計段階での整合性が欠かせません

また、シートに頼りすぎると、チェック項目を埋めることが目的化し、面接が形式的・表面的になってしまうリスクもあります。本来の目的である「候補者の理解」を見失わないよう、評価シートは面接の補助ツールとして活用することが重要です。面接官がシートの意図を正しく理解した上で運用すれば、その効果を最大限に発揮できます。

評価シートに入れておきたい項目

評価基準は、面接官全員の「評価の目線」を合わせるためのものです。なぜこの項目が必要なのか、なぜこの項目が優先事項なのかなど、意図や目的をしっかりと面接官同士で共有しましょう。

それでは、実際に多くの企業が面接評価シートに取り入れている項目とその詳細を見ていきましょう。

礼儀・マナー

多くの企業が面接評価シートに取り入れている基本項目が「礼儀・マナー」です。第一印象の良し悪しは、応募者の人間性を測る重要な判断材料となります。特に営業職や接客業など、顧客と直接関わるポジションでは、身だしなみや姿勢、挨拶、言葉遣いといった清潔感や社会人としての基本動作が評価の中心となります。

また、マナーは単なる形式的なものではなく、相手への配慮や思いやりの表れでもあります。時間の守り方、聞く姿勢、話すトーンなどからもその人の誠実さや責任感が読み取れるため、印象点としてだけでなく、入社後の対人スキルの基礎として重視される傾向にあります。

コミュニケーションスキル

どの業界・職種においても欠かせないのが「コミュニケーションスキル」です。円滑に情報を共有し、チームで成果を上げるためには、相手の意図を正確に理解し、適切に伝える力が必要です。企業は、こうしたスキルを持つ人材を「組織の潤滑油」として高く評価しています。

面接では、質問への回答内容だけでなく、話す順序やわかりやすさ、非言語的な表現(表情・アイコンタクトなど)も評価の対象となります。単に話し上手かどうかではなく、協調性や傾聴姿勢があるかどうかを見極めることで、組織に馴染める人材かを判断できます。

企業理解

企業理解の深さは、応募者の志望度を測る上で欠かせない観点です。事業内容やサービス、競合状況などを事前に調べた上で自分の経験やスキルをどう活かせるかを語れる人材は、入社後のミスマッチが少ない傾向にあります。自社研究の姿勢は「主体性」や「入社意欲」の高さを示す要素でもあります。

また、企業理解がある応募者ほど、入社後の業務や文化にスムーズに適応できます。面接官は、単なる暗記型の知識ではなく、「なぜその企業を選んだのか」「どんな貢献ができるか」という深い理解を持っているかどうかを確認することが重要です。

面接官コメント記入欄

評価シートには、定量的な項目に加えて「面接官コメント欄」を設けることが推奨されます。自由記述欄があることで、数値では測れない印象や行動特性を具体的に残すことができるため、後日振り返りやすく、他の面接官との情報共有もスムーズになります。

例えば「笑顔が自然で印象的」「自分の課題を客観的に話せていた」などの所感は、点数だけでは見落としがちな評価材料です。コメントを積み重ねていくことで、候補者をより立体的に捉えられるようになり、採用判断の精度を高めることができます。

【パターン別】面接評価がうまくいかないときの対策

入念に準備や議論を行っても、実際の面接評価がうまくいかない場合もあります。
よくある3つのパターンである、

  • 点数がつけられない場合
  • 高評価の候補者が複数いる場合
  • 評価基準が揃わない場合

これらを想定して、どのような対策が必要なのか見ていきましょう。

点数がつけられない場合

どうしても点数や段階評価が難しいといった事態も考えられます。この場合、面接評価シートに面接官のコメント欄を用意しておくことをおすすめします。

点数などでは評価しきれない印象や感じたことを言語化することで判断の助けになり、今後の採用にも活用できるポイントになるでしょう。

高評価の候補者が複数いる場合

高い評価の候補者が複数いて絞り込むのが難しい場合もあるかと思います。そんなときは、追加の評価要素を導入してみることをおすすめします。

自社が求める人物像に立ち返り、今ある評価項目に加えてどのようなポイントがあると良いかを社内であらためて確認しましょう。そこから新たに見えてくる項目を追加の加点として、次回以降の評価基準に加えてみるのも良いかもしれません。

また、もし選考ステップを追加できる場合は、グループディスカッションやケーススタディなど、それぞれのスキルや思考力をより深堀できるような課題を追加してみても良いでしょう。

評価基準が揃わない場合

面接官ごとに評価基準がばらつくと、選考の公平性が損なわれます。これを防ぐためには、事前に評価項目と基準を社内ですり合わせ、重要項目や判断基準を明確にしておくことが大切です。曖昧な評価項目は具体例を共有し、面接官間で理解を揃えます。面接後には評価の食い違いを振り返り、必要に応じて基準や評価シートを見直します。また、質問内容や評価方法を統一することで、一貫した面接が行いやすくなります。

面接の評価基準についてよくある質問(FAQ)

最後に、面接の評価基準についてよくある質問をまとめました。

面接の5段階評価とは?

各評価項目について「非常に良い~非常に悪い」の5段階で評価し、総合的な合否判断の参考にする方法です。

一次面接で重視すべき評価項目は?

コミュニケーション力、主体性、志望動機、基本的なスキル・経験の確認が重視されます。

面接でキラー質問とは何か?

候補者の本音や価値観、行動特性を引き出しやすい質問で、「これまで最も苦労したことは?」などが例として挙げられます。

評価基準を点数化するにはどうすればいい?

評価項目ごとに基準を設定し、5点満点などのスコアで採点します。面接官には事前に採点基準を共有しておくことが重要です。

面接官同士で評価のブレが出ないようにするには?

評価基準のすり合わせや評価シートの統一、面接官向けの事前トレーニングを行うことでブレを最小化できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
本記事では、面接における評価基準の定義から、作成ステップ、段階別の評価項目、評価方法、さらには評価シートの活用まで幅広く解説しました。

面接評価基準は、単に選考のための道具ではなく、「公平性」と「再現性」のある採用活動を実現するための土台です。評価項目を明確にし、共通の判断基準を設けることで、ミスマッチや主観による偏りを防ぐことが可能になります。

自社に最適な人物像を明確にし、評価シートを通じて面接の質を高めることが、採用成功への第一歩です。本記事を参考に、ぜひ評価基準の整備と見直しを進めてみてください。

採用が難しいと感じている方は株式会社uloqo(旧株式会社プロジェクトHRソリューションズ)お任せください!

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