技術の進化とDXの進展に伴う需要の急増に対し、スキルを持つエンジニアの供給が不足しているため、採用の競争が激化しています。
そのような状況下で粘り強くエンジニア採用を継続して行っているにも関わらず、
- 全く採用できない
- ために数人採用できるけど運任せ
- まとまった人数を採用できない
と考えている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
エンジニアは採用できるかが明確に二分されやすいことが特徴にあります。そこで本記事では、
「採用できない企業に共通する特徴に自社が当てはまってない?」
「なんとかエンジニアを採用するコツってなんかないの?」
「実際に採用を成功させている企業ってどうしてるの?」
これらの疑問について解説していきます。
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エンジニア採用が叶わない7つの原因
ここ数年エンジニアの需要は高い状態が続いており、エンジニアの採用は非常に難しいです。
ではなぜ、エンジニアの需要が継続して高いのでしょうか。また、企業はエンジニア採用が難化しているのかについて以下の観点から解説します。
- エンジニアの人材市場全体の競争が高い
- エンジニア採用が複雑でついていけない
エンジニアの人材市場全体の競争が高い
エンジニアの人数自体は増加しており、スペシャリストもは増えています。しかし、業務が細分化されており、技術の進化で業務も増えているのがIT業界です。以下の3つに関してさらに詳しく解説していきます。
- エンジニアの人数が市場拡大に追いつかない
- 企業に属さないフリーランス・副業が急増中
- 優秀な人材は既に高待遇で囲われている
エンジニアの人数が市場拡大に追いつかない
2023年度の矢野経済研究所の調査によると、現在、日本のIT市場規模は15.3兆円だと予測されています。
これは、昨年予測されていた14.6兆円を上回る数字で、市場は成長しています。
IT市場は、着実に拡大しており、年平均で2.7%成長しています。コロナの時期にあたる2020年度は、成長が一時鈍化したものの、2021年度では、また4%台の成長率に達しています。この流れは今後も大きくなると予測されています。
出典:「国内企業のIT投資に関する調査を実施(2023年)」矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3412
市場の拡大に伴い、より多くの労働者、エンジニアが必要となります。
一方でエンジニアの不足は現在だけではなく、将来的にも続くことはほぼ確実と言えるでしょう。企業は少ないエンジニアを取り合うことになるため、エンジニア採用の競争は今後より激しくなることが見込まれます。
企業に属さないフリーランス・副業が急増中
2点目は、働き方の多様化です。働き方が多様化することによって、エンジニアは必ずしも1つの企業に所属して働くという従来的な働き方ではなくなってきています。従来的な働き方を志向するエンジニアが減少することで、企業の採用ターゲットの母数は減少することになります。そのため、これも採用を難しくする要因といえます。
働き方の変化を表す具体例として、フリーランスエンジニアの増加が挙げられます。下図を参照すると、フリーランス人材の増加率は平均して15%を超えており、年々増加していることがわかります。フリーランスは特定の会社に属さず独立して働くワークスタイルであるため、従来の働き方が変化していることがわかるかと思います。またそれに伴い、企業の採用ターゲットの母数が減少するため、採用が難しくなっているといえます。
引用:https://codezine.jp/article/detail/15930
優秀な人材は既に高待遇で囲われている
多くの企業でエンジニアに対して給与・待遇などの雇用条件や、労働環境の改善に向けた取り組みを行っています。特に優秀なエンジニアであるほど、企業はエンジニアが離れていかないように努めている事が多いです。
このため、優秀な人材であるほど、転職市場に転職希望者が出てこないというのが現状なのです。企業が経験豊富でスキルをもった人材を採用しようと待遇面をある程度整えて求人に費用をかけても、なかなか採用できないことにこのような背景があると考えられます。
エンジニア採用が複雑で企業が追いついていない
エンジニア採用の方法は多様化しており、企業は様々な採用手法がありますが、選択肢が多すぎるために自社にフィットした方法を選べていないのが現状です。
そこで企業の採用が追いついていない要因を4つ確認していきます。
- 採用代行・人材紹介会社が多く把握できていない
- 採用チャネルが複雑で全部使えていない
- 採用担当にエンジニアの知見がない
- 採用条件に当てはまる人材を逃してしまう
採用代行・人材紹介会社が多く把握できていない
採用代行会社は採用計画や戦略、ブランディングを決定する際に自社の方向性についてアドバイスや実際の採用業務に関するオペレーションを行ってくれます。しかし、採用代行企業が多すぎて自社が求めるエンジニアを採用した実績の低い企業や企業規模と会わない採用代行会社を利用している場合があります。
人材紹介会社に関しても同様で、選定することが難しいこともあり、本来依頼すべき企業数以下の企業にしか人材紹介を委託していない事が背景としてあります。
採用代行(RPO)とは? サービス15社・選ぶポイント 業務範囲を解説
採用チャネルが複雑で全部使えていない
エンジニアだけに限ったことではありませんが、採用市場において採用のチャネルが多様化しており、自社にあった適切な採用手法を取ることが難しくなっています。
例えば、マス型の採用であれば
- 求人広告
- 人材紹介
- 自社採用サイト
- ハローワーク
- ソーシャルリクルーティング
1to1型であれば、
- ダイレクトリクルーティング
- リファラル採用
- アルムナイ採用
これらがあります。
この様に採用の手法が多様化していることによって、企業がそれぞれの特徴や適切な利用方法のノウハウを持っておらず、エンジニアに適切なタイミングとアプローチができていない可能性が高いです。
そのため、採用手法に精通していない企業ではエンジニアの採用が非常に難しくなっています。
採用担当にエンジニアの知見がない
採用担当者や人事が面接・面談などを行う場合に、エンジニアの知見がないことで業務に関する質問に答えられないことやスキルを正しく評価できない問題があります。
特に選考においては、以下のエンジニアに必要なスキルを評価する必要があります。
- 技術的なスキル
- プロジェクト経験
- 問題解決力
これらのスキルは、プログラミングやシステム、ツール、プロジェクト実務などの解像度を高めておかなければ、適切に評価ができないです。解像度を高めるためには、面接担当者の技量を高めるためにも、エンジニアを業務だけ割くのではなく社内教育に回すことも必要だと考えられます。
採用条件に当てはまる人材を逃してしまう
エンジニアの需要は非常に高くなっているため、エンジニア採用の市場は売り手市場が続いています。
その結果として、エンジニア全体の給与や待遇が他の職種に比べて非常に高くなっており、待遇面で他企業と競わなければならず、結果として求職者と採用条件が合わないことが起きてしまいます。
また、エンジニアと一言でまとめても様々であり、例えば、
- フロントエンジニア
- サーバーエンジニア
- データエンジニア
などがあり、使用可能なプログラミング言語や業務範囲が異なるために、一般的ではない言語や業務範囲のエンジニアとは採用条件が合わず、結果として採用が難しくなってしまいます。
難しい原因にはこれらのことが挙げられます。この中でも企業が介入して解決する問題は採用手法と採用条件に限られています。本記事では採用手法と採用条件の問題に対して、短期的に行うコツについて解説していきます。
採用基準とは?作成手順や重視すべきポイント、注意点について解説!
6つのエンジニア採用手法のおさらい
採用手法には大きく分けて2種類があります。
- マス型広告
- 1on1型広告
また、この2つに関してもそれぞれで多様な採用手法があります。
企業から特定のターゲット層にに対して求人を行うマス型広告
- 求人広告
- 人材紹介
- SNS採用
企業から個人に対して直接的に求人を行う1on1型広告
- ダイレクトリクルーティング(スカウト)
- リファラル採用
- アルムナイ採用
それぞれについておさらいとして軽く解説を行います。
求人広告
インターネットや求人情報誌など様々な媒体に対して求職情報を掲載し、多数の求職者に向けてアプローチする手法です。
大きなメリットとして、低コストで求人を行うことができ、ターゲットを設定しやすいことや効果測定を行うことができるため、広告による求職者の反応を確かめやすいことが特徴です。もっとも一般的な方法であり、利用することが非常に簡単です。
デメリットとして応募者の質にばらつきがあることや自社の知名度が低いと他の求人に埋もれてしまうことが多々あります。エンジニアの求職者にとっては求人広告は数が多すぎるため、選択肢を絞ることができず使いにくいものとなります。
人材紹介(エージェント)
人材紹介は企業が求める条件にあった人材を紹介してくれるサービスです。
メリットに企業は求人票を作成する手間をなくすことができることや求職者のスクリーニングが行われた状態で面接を行うことができるために、時間的なコストを非常に少なくする事ができます。初期費用が安いことやかからないサービスもあり、採用までのコストを抑えられます。エンジニアの母数が少ないなかで直接紹介してもらえることは非常に有用です。
デメリットとして、雇用が決定した場合には年収の20〜40%程度の仲介手数料を支払う必要があり、採用全体としての金銭的コストは高くなる傾向があります。
ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
X(旧ツイッター)やInstagram、Facebookなどのプラットフォームを利用して採用についての情報を掲載することや求人情報を直接掲載することで求職者を募集する方法です。
メリットとしては既存のプラットフォームを利用するため、掲載費用や運用費用を削減することができ、リアルな魅力を発信しやすく、転職を意識していない人にも情報を伝えることができます。また、エンジニアの中には発信活動を行っている人も多く、そういった人にアプローチできることは魅力的です。
デメリットには定期的な更新と長期的な運用が必要なことが挙げられます。そのため、短期的に効果が出ないことや手間がかかります。また、SNSでの炎上リスクなどもあり企業に費用以外の面で難しい点が多いです。
ソーシャルリクルーティングとは?6つの成功事例、メリット・やり方を解説
ダイレクトリクルーティング(スカウト)
ダイレクトリクルーティングは企業から直接的に求職者にアプローチする手法で、主にスカウトメールを利用して接触します。
メリットとして条件の整った候補者に直接アプローチすることができ、他の求人に埋もれてしまうことを防ぎます。また、エンジニア採用において多い転職潜在層にアプローチできる手法として非常に魅力的です。
デメリットに求職者に適したスカウトメールを作成するなどで採用工数が増えるため採用担当者の負担が増えます。また、適切な候補者を探すために時間を要してしまうため結果が出るために時間がかかってしまうことが難点です。
ダイレクトリクルーティングとは?最新サービス比較や費用相場も紹介!
リファラル採用
自社の社員を通じて候補者を紹介してもらい採用する方法です。
メリットとして紹介料や広告料金がかからないため、採用コストを大幅に下げることができます。また、定着率と質が他の採用に比べて高いことから、エンジニアの長期的な人材確保に非常に効果的です。人材の人柄や能力の把握がしやすく、評価が難しいエンジニアの採用を楽にしてくれます。
デメリットは社員の人数が十分にいない場合には応募者数を確保することができず、まとまった人数を採用することができません。また、候補者の性質が偏ってしまうために多様性が確保できなくなります。
リファラル採用とは?導入のメリットや成功のポイントを徹底解説
アルムナイ採用
アルムナイ採用は企業が過去に退職した社員を再び採用する手法です。日本ではそこまで一般的ではありませんが、近年導入が進んで来ています。
メリットは自社で働いていたことから性格面などを把握することがすでにできているため、ミスマッチなどを軽減できます。また、即戦力を採用できる点も魅力です。エンジニアの採用では業務範囲などでミスマッチが起きやすいことや能力評価の部分で齟齬が起きやすいですが、これらを避けることができます。
デメリットとして退職した社員と良好な関係を維持し続けることが難しいことやそもそもの母数が確保できないことが大きな問題としてあります。また、在籍社員が条件面などでモチベーションが低下してしまう可能性があり、現職社員の転職を招いてしまうかもしれません。
採用できない企業に共通する意外な特徴5つ
エンジニアを採用できていない企業には共通する特徴が5つあります。これらに当てはまっている場合は採用できたとしても、今後継続的な採用は見込めないので採用手法を変えていく必要があります。
人材紹介会社を適切な数利用できていない
人材紹介会社は基本成果報酬型です。つまり、企業は採用が決まるまでは人材紹介会社に支払う費用がほとんど発生しません。そのため、エンジニア採用に必死となっている企業は様々なエージェント会社に登録をしています。登録場所を増やすことで母数を確保し採用の人数を確保することが重要となってきます。
しかし、現時点で300社から400社にアポイントを取れていない場合は、他の企業と競う土台ができておらず、エンジニアを採用する状況にはありません。
採用チャネル・媒体で正しい戦略を取れていない
採用チャネルを増やすことで業務が複雑化し、手間が増えるからと一旦採用チャネルを絞ってはいませんか?
意図を持たずに採用チャネルを絞ることは一定層のエンジニアを切り捨てていることと同義です。
例えば、SNS採用を行っていない企業が多いと思いますが、SNS採用で採用できるエンジニアの特徴としては技術ブログを挙げているエンジニアや、トレンドに敏感なエンジニアがアクティブユーザーとして存在します。また、技術レベルがブログなどを通じて読み取ることができるために評価がしやすいのも特徴です。
媒体を絞ることも採用チャネルを絞ることと非常に似ており、
例えば、「マイナビ」で求人を行うと母集団に対してエンジニア比率が低く、大手企業のみが目立つ環境ですが、「doda」であれば、エンジニアに特化したサービスが有るため、ベンチャー企業などでも求人が魅力的であれば目立つことが可能です。
このように採用チャネル・媒体をとりあえずで少なくしている場合にはエンジニア採用のターゲットを自然と絞っていることになっているために自ずとエンジニア採用の難易度を上げてしまっています。
現場エンジニアと求職者との接点が少ない状態で内定を出す
求職者にとって最も自分が働く環境を知れる方法は現場エンジニアと話すことです。
例えば、使用されているハードウェア・ソフトウェアの仕様を知ることや現場にある事例のトレンド、現場で困っている点について聞くことができます。
参加者は自分が働くうえで気になるポイントを他の企業と比較できるように質問してきます。そのため、企業レベルではなく、現場レベルで回答を求めていることが多いです。現場で働く従業員が企業目標に対して同じ温度感であるかや企業の課題感をどこに感じているか、どこにやりがいを感じるかなどを聞ける環境を用意する必要があります。
求職者はこの温度感をしっかりと合わせられていない状態で内定を受け取ったとしても、現場で働くイメージができず結果として内定を辞退されてしまいます。
ファーストコンタクトから内定まで一ヶ月以上
このスケジュール間で早いと考える企業も多いと思いますが、「マイナビ 中途採用状況調査2020年版」によると一次面接から内定までの平均日数は12.3日となっています。スピーディな採用プロセスは、求職者に対する企業の関心度を反映しています。カジュアル面談を含む迅速なスケジューリングができない企業は、競合他社に比べて遅れをとっていると見なされがちです。そのため、求職者は自分が企業にとって魅力的な候補でないと感じる可能性があります。
基本的に二回面接を行う際には一週間程度間を空けている。また、最終から内定までが一週間程度などとなっており、選考のスピードが遅い企業が採用に失敗しているケースが多いです。
エンジニアは似たような求人が多く職務内容に差が大きく生じないため、直感や印象、共通点の多さなどで決めてしまうこともあります。そのため、内定を一番に出すことができれば印象を高めることができます。そのためにも、選考スピードをより早める必要があります。
求人内容に対して待遇が見合っていない
エンジニアが不足していて困っているにも関わらず、求人の内容と待遇が見合っていないことやその他の職種と給与レンジが同等以下になってませんか?
例えば、
- 職種アプリケーションエンジニア職
- 必須スキル:実務でプログラミング言語でアプリケーションコードを5年以上書いた経験
- 給与:450~650万円
このような条件であれば、会社としてエンジニアを求めている状況が想定しづらいです。また、この会社でのエンジニアの認識が明らかに低いと感じられてしまい、今後の給与に関しても不安視されてしまいます。
採用人数を0人から10人にする6つのコツ
エンジニアを採用したいと考えているにも関わらず、全く採用できていない、たまたま数人採用できただけという企業に向けて、まとまった人数を確保するためのコツについて6つ解説していきます。
- 委託する人材紹介会社を毎日3社ふやし、紹介してもらえる求人にする
- 採用チャネルを2倍にするまたは、広告の媒体を3倍に増やす
- エンジニアの面接トレーニング・同席を行う
- 内定承諾までは5日に1度面談・面接を行う
- 次の面接・面談は5日以内に求職者の都合に合わせて行う
- 常に募集要件をブラッシュアップする
委託する人材紹介会社を毎日3社ふやし、紹介してもらえる求人にする
上で述べたように、人材紹介会社は成果報酬型です。そのため、委託するだけでは基本的に料金が発生しないため、人材紹介会社には数多く、依頼することが必要です。エンジニアを採用できている企業では人材紹介会社を数多く利用しています。しかし、委託する企業を増やしても他の企業に並んだだけで、人材紹介数が大幅に増えることはありません。
そこで、委託する人材紹介会社を増やした後に、やるべきことは「人材紹介会社に自社の求人を紹介してもらう」ことです。
人材紹介会社は採用が決定することによって報酬(想定年収の約35%)が支払われる仕組みとなっているため、採用が決定する求人を出すことが求められます。条件の良い求人であれば採用が決定しやすいため、人材紹介会社も求職者におすすめを行いやすくなります。つまり、求人を見直すことも重要です。
具体的には
- 年収:年収を上げ、幅を狭くすることで求職者の興味を引き、人材紹介会社の取り分も明確になる
- 企業の魅力:人材紹介会社が紹介しやすくなり、求職者にも魅力が伝わりやすくなる。
- 職数:職数を増やすことでスキルが該当するエンジニアが増え求人のターゲットが広がる
- 採用枠数:人材紹介会社として同じ求人で人数を確保でき、成果報酬が増えるため売りやすい
- 面接リードタイム:内定までの期間が短いことで、多くの人数を仲介できるため求人を紹介しやすい
このように委託する人材紹介会社を増やし、人材紹介会社に紹介してもらえる求人を作ることで求職者にアプローチする事ができます。
採用チャネルを2倍にするまたは、広告の媒体を3倍に増やす
2倍、3倍と聞くと非常に多く感じるかもしれませんが、求人の目に付く人・回数を増やさなければ応募してくれる人も増やすことができません。まずは母集団形成に取り組むことで応募の人数を確保することを目指しましょう。
採用チャネルを増やすことが難しいと感じる企業もあるかもしれませんが、コストをかけることができる企業であれば、委託してしまうことも1つの手段です。SNS採用でも委託する事が可能ですし、オウンドメディアを立ち上げることも可能です。チャネルを狭めることはターゲット人数だけでなく層も絞ってしまうことになるため、極力広げる事が求められます。
広告の媒体に関しても同様です。エンジニアを採用するからといってエンジニアに特化した求人にのみ掲載をすることは得策ではありません。似たような求人が増えてしまうことで自社の求人が埋もれてしまいます。あらゆる広告媒体を検討する必要があります。
特に掲載無料の広告であれば既に決まっている求人内容を入力するだけで済みます。費用もかからず、求人ができるのでできる限り媒体は増やしましょう。また、求人の内容が他社より優れている場合にはどの媒体でも目立つことができます。媒体が多いことで多様な人材からの応募を見込めるため、採用の幅を広げることができます。
このように採用の母集団形成を行うためにまずはチャネルを2倍、広告媒体を3倍に増加させる事が急務になります。この目標を達成した後は、同じチャネルの媒体を2倍にすることを目標にしましょう。
エンジニアの面接トレーニング・同席を行う
エンジニアの環境や現場についての話を中心に、求職者にアプローチするためにもエンジニアが面接や面談に参加する頻度を上げる事が必要です。しかし、とりあえずエンジニアが同席するだけでは面接などで逆に悪印象を持たれることもあります。そこで、面接トレーニングを開始しましょう。
今までであれば面接担当者や人事の人のみに行っていた面接トレーニングをエンジニアにも受けてもらうことで、面接のクオリティを上げる取り組みを行いましょう。その上で面接や面談に同席、または現場エンジニアのみで行うことで求職者としても聞けることが増え、企業側も質の高い面接ができるでしょう。
面接官トレーニングの目的や背景とは?実践方法や必須スキルまで徹底解説!
内定承諾までは5日に1度面談・面接を行う
内定を出すまでの不必要な工程を減らし、内定までのスピードを高めることが最も大切です。しかし、工程を減らすことで面接や面談の期間が空いてしまっては求職者の意識が企業から遠のいてしまいます。
そこで5日に1度は求職者と対面・リモート問わず接触を行うようにしましょう。
例えば、面談1回・スキルチェック1回・面接2回の選考フローであれば、面談から面接二回目までを計15日以内に行う事が求められます。
さらに、注意すべきポイントとして、「面接二回目から内定を出すまで」と「内定後の面談」の期間をできるだけ短くすることで求職者との接触頻度を落とさないことが求められます。
次の面接・面談は5日以内に求職者の都合に合わせて行う
上記したことでもありますが、5日に1度は求職者と接触することが必要です。週に二回程度会うことになり、必ず1度は平日を挟むことになります。そこで、会社の都合で時間を決めてしまうと求職者の都合に基本的には合いません。そこで、求職者が「ここなら面接の時間が取れる」という時間に面接の都合をあわせる必要があります。
「とりあえず保留します。」「一旦持ち帰って決めます。」「都合を見てお返事します。」このようなことを言われた場合であっても、「この日の30分ご都合つきませんか。」「土曜日の午前中1時間だけいかがですか。」など、粘って日程の交渉をすることでその場で約束を取り付けることが大事です。
しかし、それでも断られてしまった場合には、内定を出しても辞退される可能性が高いと考え、次の候補者に時間を割くことを考えましょう。
常に募集要件をブラッシュアップする
募集要件の中で、必須スキル・経験に「とりあえずこれくらいあったほうがいいな」というような条件を入れてはいませんか?求職者としては「必須条件3つの内2つしか該当せず、応募ができない」とハードルが高くなっている場合があります。
また、必須スキル・経験は「今すぐにほしい能力」を記載する欄であり、IT業界は特に変革が多い業界ですので、数ヶ月で世の中の動きは大きく変わります。そのため、実務から遠のいた場合には知識がアップデートされておらず、業務で即戦力として生きないことがあります。
そのため、必要のないスキルは必須条件から外すことで、求職者のハードルを下げ応募数を増加させることの方が重要です。また、期間が設けられる場合は、内定後から研修を重ねることで必須条件程度までスキルを向上させられる場合もあります。
コツを利用したエンジニア採用の成功事例
上で述べたコツを利用しており、採用活動がうまく行っている企業について解説していきます。
株式会社ゆめみ(人材紹介・採用チャネルの拡大)
株式会社あゆみでは人材紹介エージェントに十社以上委託しており、新卒・中途問わず、エージェントからの紹介を受け付けている。また、それぞれの企業に対してしっかりと評価があり、他の企業も参考にすることができる。
採用チャネルもSNS採用や外部勉強会、リファラル採用などにも力を入れており、それぞれに対して効果測定ができているため、採用の手法の幅広さとそれぞれの手法に対して評価が適切に行われていることが採用を成功させている要因となります。
これ以外にも会社の情報をオープンに公開しており、社外の人でも見ることができ、会社の風土である「徹底的な透明性」を自然と認識させられるようになっています。
株式会社あゆみ オープンハンドブック
https://yumemi.notion.site/cfc9c58ef5ce43a5bdb9b9311e565365
引用:https://yumemi.notion.site/cecccd8f777347bdaba06597741b935a
株式会社シフト(最短3日で内定)
株式会社シフトでは「最短3日で内定」という期間で採用を行ってます。
DXを担うIT人材は獲得の競争が激しく、優秀な人材ほど転職市場に出たらすぐ次が決まり、タイミングが少し合わないだけで他社に行ってしまうため、受諾までの期間でも内定オファーを出すことを行い求職者の選択肢に入ることを行っています。
内定までの期間が短いため、月末に実績を上げたい人材紹介会社からの紹介も期待することができ、人材紹介会社がおすすめしたい求人にすることができます。
実際のフローは面接を1回行い、その様子を録画し、自社で共有することで取りたい部署があれば採用するという流れです。また、独自の簡易テストを行うことでエンジニアの評価を独自に行い、フローを少なくし、評価を一括で行うことで内定までの時間を短くしています。
引用:https://recruit.shiftinc.jp/career/recruit-info/process/
クラスメソッド株式会社(現場エンジニアが採用の決定)
クラスメソッド株式会社ではエンジニアがエンジニアを採用する土壌ができており、求職者とのコミュニケーションを大事にしています。具体的には、現場チームメンバー全員が参加する実技試験、面接があり、エンジニアと接点を増やすことを行っています。
ここまで行えば、接点を増やすという表現よりも面でアプローチするという言葉の方が適切だと考えられます。特に、面接では関わった全員が採用の判断をくださなければ採用を行わず、それぞれが決定権を握っていることがポイントです。
また、リファラル採用を積極的に行うことや、AWSなどに強みを持つ企業ならではのテックブログ「Developers.IO (https://dev.classmethod.jp/)」を通じて、採用チャネルを増やすだけでなく、技術力のアピールやエンジニアの成長過程、将来性などを様々に示しています。
このように現場エンジニアとの時間を共有することで採用の時間はかかってしまうものの、内定承諾率を上げることやその先の離職率を下げることにつながってきます。
引用:https://careers.classmethod.jp/
今後行うべき優秀なエンジニア採用への長期的な取り組み
ここまでのコツを通じて自社の採用方法を変えていくことが重要ですが、その取り組みの成果を指数関数的に伸ばしていくためにも今後行うべき3つのことについて解説します。
エンジニア採用の他社状況の分析・理解を行う
他社の状況の分析・理解を行うことは当たり前のように感じられるかもしれませんが、自社の手法を増やすことや内容を充実させた上で他社の状況を再度分析しましょう。
例えば、自社の利用している採用チャネルと同じ企業の採用状況を比較し、自社の求人訴求と他社の求人の内容の違いを発見することで、正しく採用チャネルが運用されているかを評価する事ができます。また、一般的に求人媒体に多いとされているターゲットに対してアプローチできていない媒体があれば求人の内容や自社の魅力について再度洗い直す必要があります。
エンジニア採用ができている企業とできていない企業は二分化されやすく、タスク採用に必要な条件が整った時に初めて効果が出ます。その条件を整えるためにもまずは、求人の採用チャネル、人材紹介会社、求人媒体を拡大し、その後に評価を行うようにしましょう。
エンジニアの待遇を見直し、給与体系を再設計する
世界中でデジタル化が進む中、エンジニアの需要は急速に増加しています。しかし、優秀なエンジニアの供給は限られており、この需給ギャップはエンジニアの市場価値を一層高めています。このような状況下でも企業が競争力を失わないために給与体系を再構築する必要があります。
また、エンジニアは他の職種に比べてスキルが多様であり、それぞれが一様に評価できるものではありません。さらに、IT技術の進化の速さもあり、技術のトレンドが移り変わります。そのため、柔軟な給与体系にすることでリードタイムなく必要な人材に報酬を出すことができるようにする必要があります。
これらの環境を用意することでエンジニア採用の競争力を高め、離職率を低下させ、生産性を上げることに繋がっていきます。
エンジニアがエンジニアを採用する意識改革
成功事例の中にもあった通り、エンジニアがエンジニアを評価することで技術だけでなく現場におけるパーソナリティの評価も行うことができます。
例えばスキル評価では、プログラミング能力・アルゴリズムの理解・データ構造の知識・具体的な技術スタックへの適応力などを評価することが必要であり、人事が関与する余地があまりありません。
また、パーソナリティの評価もペアプログラムなどを通じて実際の作業スタイルや問題解決のアプローチを評価できるため、エンジニアが十分に採用を行うことができます。
このような環境を作るためにも人事トレーニングを長期的にエンジニアに行うことや採用も担ってもらう雰囲気づくりを行うことが必要です。
特に、コーディングテストよりも
- 一般的な質問の準備やテクニック
- 行動面接の手法
などを学んでもらうことが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、
- 全く採用できない
- ために数人採用できるけど運任せ
- まとまった人数を採用できない
という方にむけて「エンジニアが採用できない原因」「採用できない企業に共通する特徴」「なんとかエンジニアを採用するコツ」「成功させている企業事例」を紹介しました。
採用のコツは多岐に渡り、やることが多いと感じますが、一つ一つのハードルは低いので、母集団を増やすことから本記事を参考にして頂けましたら幸いです!
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