【企業事例あり】採用広報とは?戦略ステップからポイントまで解説!

【企業事例あり】採用広報とは?戦略ステップからポイントまで解説!

企業にとって、優秀な人材を確保することは、今や競争優位性を保つために不可欠な要素です。しかし、従来の採用活動だけでは、限られた才能を引き寄せることが難しくなってきています。そこで注目されているのが「採用広報」という新しいアプローチです。採用広報とは、企業の魅力や文化を広報活動を通じて発信し、求職者との接点を増やす手法です。

本記事では、採用広報の重要性や効果的な戦略について解説し、企業がどのように採用活動を強化していくべきかを探ります。

監修者情報

監修者用
株式会社uloqo
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月株式会社uloqoを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

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採用広報とは

採用広報とは、企業が自社の魅力や文化、働きやすさを広報活動を通じて発信し、求職者に対して魅力的な企業像を伝える手法です。

採用広報は、単に求人情報を発信するだけでなく、企業のビジョンや価値観、職場の環境、人材育成の取り組みなどを積極的にアピールし、潜在的な応募者に自社に対する興味や共感を持ってもらうことを目的としています。

採用広報が注目されている背景

採用広報がなぜ注目されているのでしょうか。以下3つの背景が挙げられます。

  • 人材の獲得競争の激化
  • 求職者の価値観の変化
  • SNSの普及と情報発信の変化

それぞれについて詳しく解説します。

人材の獲得競争の激化

日本では少子高齢化に伴って労働人口の減少が深刻になってきています。
株式会社帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2024 年 10 月)
引用元:)株式会社帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2024 年 10 月)
株式会社帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」をみてみると、2024年において、正社員の人手不足企業の割合は 51.7%であるとわかります。

企業の半分以上が、正社員の不足に悩んでいるということです。こうした労働力の減少により、企業が求める人材を採用することがますます難しくなっています。

こうした状況下では、従来の求人広告や転職サイトに頼るだけでは、必要な人材を十分に集めることが困難です。
さらに、今注目されているのが「転職潜在層」へのアプローチです。転職潜在層とは、現時点では転職を考えていないものの、将来的には転職を検討する可能性がある人々のことを指します。この層は、現在の職場に不満がない場合でも、自社に対して「今後のキャリアアップ」や「ワークライフバランス」など、将来的な選択肢として興味を持つ可能性があります。

求職者の価値観の変化

従来、求職者は主に給与や福利厚生、安定性などの実利的な要素を重視していましたが、近年では仕事のやりがいや企業文化、ライフスタイルとの調和など、より多面的な価値観を持つようになっています。

特に若年層の求職者は、働く環境や自分の成長にどれだけ貢献できるかを重視する傾向が強くなっており、企業側はこのような価値観に対応した広報活動を行う必要があります。採用広報は、企業のカルチャーやビジョンを発信する手段として非常に有効です。

SNSの普及と情報発信の変化

SNSやオンラインプラットフォームの普及により、求職者は企業情報を簡単に得ることができ、企業側もリアルタイムで多くの人々に情報を届けることができるようになりました。企業は、自社の公式SNSアカウントやウェブサイトを通じて、求職者に向けて採用活動に関する情報を発信することができるようになり、採用広報の重要性を高めています。

採用広報のメリット5つ

採用広報のメリットは以下5つあります。
採用広報のメリット5つ
それぞれについて詳しく解説します。

企業の魅力を積極的に伝えることが可能

採用広報を通じて、企業の文化、価値観、働く環境、社員の声などを求職者に伝えることができます。求職者が企業に対して共感や関心を抱き、自社に応募したいという意欲が高まります。

特に、単なる求人情報では伝わりづらい企業の雰囲気や働きやすさをアピールできる点が大きなメリットです。

ターゲット層へのアプローチができる

採用広報は、求人広告や転職サイトに頼るだけでなく、SNSや自社のブログ、ウェブサイト、動画コンテンツなど多様なメディアを通じて情報を発信することができます。このように、幅広いチャネルを活用することで、さまざまなターゲット層(転職潜在層や業界内外の経験者など)にアプローチすることが可能になります。

ブランド力の向上ができる

採用広報は、企業の「雇用主ブランド(エンプロイヤーブランディング)」を構築する手段として重要です。企業がどのような文化を持ち、どのような働き方を提供しているのかを積極的に発信することで、企業全体のブランド力を高め、優秀な人材を引きつけることができます。企業の魅力が広く認知されることで、採用活動だけでなく、企業全体の社会的評価も向上します。

ミスマッチを減らすことができる

採用広報活動を通じて企業の魅力やビジョンをしっかりと伝えることで、求職者は自社の価値観や文化に合った人材が集まります。その結果、単に応募者数が増えるだけでなく、企業にフィットする質の高い応募者を引き寄せることができます。これにより、採用後のミスマッチを減らし、定着率向上にもつながります。

採用活動の効率化に繋がる

採用広報によって、企業が伝えたい情報を発信し続けることができます。この結果、求人を出してからの応募者数が増え、選考段階での手間が減ります。

また、採用活動の初期段階で多くの人に自社の魅力を伝えることができるため、短期間で適切な人材を確保することが可能になります。効率的な採用活動を通じて、コスト削減にもつながります。

採用広報のおすすめ手法と媒体

次に、おすすめ手法とそれぞれの主な媒体について解説します。
採用広報のおすすめ手法と媒体
それぞれについて詳しく解説します。

SNS(ソーシャルメディア)

SNSは、求職者とのエンゲージメントを高めるために非常に効果的な手法です。特に若年層や転職潜在層へのアプローチに向いています。

主な媒体

  • LinkedIn:プロフェッショナル向けのSNSで、企業のビジョンや業界の専門性をアピールできます。社員のキャリアパスや成功事例を紹介する投稿、業界動向に関するインサイトを発信することが可能です。
  • Instagram:視覚的に企業文化や職場環境を伝えるのに適しています。社員インタビューや日常の仕事風景、チームイベントなど、企業の魅力を短い動画や画像で表現できます。
  • X(旧Twitter):企業の取り組みや業界のニュースをリアルタイムで発信でき、幅広いオーディエンスにリーチできます。特に、迅速な情報共有やキャンペーン情報の発信に有効です。
  • Facebook: 企業の活動や社員のストーリーをシェアすることができ、ターゲット層に信頼感を与えやすいです。定期的な投稿で企業の文化や働く環境を伝えます。
■SNS採用について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
【成功事例付き】SNS採用とは?メリットデメリットや運用方法を解説!

オウンドメディア

オウンドメディアは、企業が自ら所有・運営するメディアであり、採用広報において非常に効果的な手法です。企業が独自にコンテンツを発信できるため、企業文化や価値観を詳細に伝えることができます。

主な媒体

  • 企業ウェブサイト・採用ページ:自社の魅力、ビジョン、求める人材像、社員のインタビューや日常など、求職者に直接情報を提供する場所として非常に重要です。
  • ブログ・記事コンテンツ:定期的に企業の文化や成長機会についての記事を更新し、求職者に企業の魅力を深く理解してもらいます。社員インタビューや業界動向の記事などが有効です。
  • 動画コンテンツ:自社の紹介動画や社員の声を動画で発信することで、よりリアルに企業文化を伝えることができます。オフィスツアーや社員インタビューなども有効です。
■オウンドメディアについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
オウンドメディアリクルーティングとは?メリットや採用成功事例を解説

オフラインイベント(キャリアセミナーや説明会)

対面で求職者と直接接するオフラインイベントも有効です。

主な媒体

  • キャリアセミナーや合同説明会: 学生や転職希望者向けのセミナーや説明会を開催し、企業の文化や採用情報を直接伝えることができます。
  • インターンシップ: 実際にオフィスを訪れてもらい、職場環境を体験してもらうことができるインターンシップが有効な手法です。

最新トレンド

採用広報において、現在最も注目されている最新トレンドは 動画コンテンツの活用 です。動画は、視覚的で感覚的なインパクトが強いため、企業の魅力を効果的に伝える手段として非常に人気が高まっています。

特に、求職者に企業文化や職場の雰囲気をリアルに伝えられる点が大きな魅力です。

採用広報の戦略5ステップ

採用広報の戦略手順は、企業の魅力を効果的に発信し、優秀な人材を引き寄せるための重要なプロセスです。以下5つのステップがあります。
採用広報の戦略5ステップ
それぞれについて詳しく解説します。

1. 目標の設定

まず、採用広報の目標を明確に設定することが最も重要です。目標が不明確であれば、効果的な広報活動を行うことはできません。以下のような目標を設定しましょう。

ターゲット人材の明確化: どのような人材を採用したいのか(例:経験豊富なエンジニア、若手社員、新卒など)
企業ブランドの強化:自社の文化や価値観を広く伝え、企業のブランドイメージを向上させる
採用活動の効率化:より短期間で優秀な人材を確保することを目指す

目標を達成するために、具体的な数値目標(例:応募者数、採用決定数、エンゲージメント率など)を設定しておくと、効果測定がしやすくなります。

■採用ペルソナの作り方について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
【簡単7ステップ】採用ペルソナとは?作り方やフォーマット、活用事例も紹介!

2. ターゲット層の分析

次に、どのような人材をターゲットにするかを明確にし、ターゲット層のニーズや特性を理解します。以下の点を考慮してターゲット層を分析しましょう。

職種別ターゲット:例えば、技術職、営業職、管理職など
経験やスキルのレベル:新卒、中途、経験年数、専門的なスキルを持つ人材
価値観やライフスタイル: ワークライフバランスを重視する人、成長機会を求める人、社会貢献に関心がある人など
転職潜在層:現在は転職を考えていないが、将来的に転職する可能性のある層
■ターゲット設定について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
ターゲット設定が採用の鍵!設定手順やよくある課題の解決策まで徹底解説!

3. チャネルの選定

どのメディアやチャネルを通じて情報を発信するかを決定します。ターゲット層に最も効果的にリーチできるチャネルを選定することが重要です。

SNS(ソーシャルメディア): Facebook、Instagram、LinkedIn、X(旧Twitter)など、ターゲット層がよく利用するSNSを選ぶ
自社ウェブサイトやブログ: 企業の理念や社員のインタビュー記事などを掲載し、企業文化を伝える
動画コンテンツ:社員インタビューや社内の様子を紹介する動画は、視覚的に企業文化を伝えやすい
求人サイトや転職エージェント:求人広告や転職エージェントを通じて応募を促す
オフラインイベント:キャリアセミナーや説明会など、対面で求職者と接触する機会を提供

ターゲット層が最も活用しているチャネルを選定することで、より多くの求職者に情報を届けることができます。

■採用チャネルについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
採用チャネルとは?自社に最適な手法を選ぶためのポイントを徹底解説!

4. コンテンツの作成

ターゲット層の関心を引くコンテンツを作成します。以下のようなコンテンツが効果的です。

社員の声: 実際に働いている社員のインタビューやエピソードを紹介
企業のビジョンや価値観:企業が目指している方向性や社会貢献活動を伝える
職場の環境紹介:オフィスやチームの雰囲気、働く環境を視覚的に紹介
キャリアパスや成長機会:入社後の成長のビジョンやスキルアップの支援体制

コンテンツはターゲット層のニーズに応じて多様化し、メッセージが魅力的かつ具体的であることが重要です。

5. 振り返りと改善

採用広報活動の効果を定期的に測定し、改善点を見つけていくことが大切です。効果測定の指標には以下が含まれます。

応募者数:広報活動後にどれだけ応募者が増えたか
エンゲージメント率:SNSやウェブサイトでの反応(いいね、シェア、コメントなど)
採用決定数:実際に採用につながった人数
定着率:採用した人材がどれくらい長期間勤めているか

定期的なフィードバックとデータ分析を行い、次回の広報活動に活かすことで、より効果的な採用広報戦略を構築できます。

採用広報を成功させる5つのポイント

採用広報を成功させるためには、重要なポイントがあります。企業の魅力を適切に伝え、求職者との信頼関係を築くために、以下5つのポイントを押さえることが重要です。
採用広報を成功させる5つのポイント
それぞれについて詳しく解説します。

多様なメディアを活用する

オウンドメディアやSNS、求人サイトなど、さまざまなメディアを活用して採用情報を発信しましょう。特に動画など視覚的にインパクトが強いコンテンツを活用することで、より多くの求職者にリーチできます。

企業のブランド価値を一貫性をもって伝える

採用広報は単なる求人活動ではなく、企業のブランドを求職者に伝える重要な機会です。自社のビジョン、ミッション、価値観、企業文化を明確にし、それを一貫したメッセージとして発信することが大切です。求職者が「自分に合った会社だ」と感じられるよう、企業の特色を具体的に示しましょう。

例:「社員が活き活きと働いている」「イノベーションを重視している」「ダイバーシティとインクルージョンを大切にしている」など、企業の強みをアピールします。

ターゲット層に適したコンテンツを作成する

採用広報を成功させるためには、ターゲット層を明確にし、その層に最も響くコンテンツを提供することが必要です。求職者が何を重視しているかを理解し、特に求められるスキルや働き方にフォーカスした情報を発信します。

例:若手社員層にはキャリアパスや成長機会、ワークライフバランスを強調し、経験豊富なプロフェッショナル層には挑戦的なプロジェクトやリーダーシップ機会をアピール。

リアルな社員の声を反映する

社員の声や体験談を動画やインタビューで発信することで、企業の文化や職場環境を求職者にリアルに伝えることができます。社員自身が語ることで、求職者は企業の本音や働く実態をより正確に理解でき、エンゲージメントが高まります。

継続的に取り組む

採用広報は一回限りのキャンペーンではなく、継続的に行うべき活動です。求人が必要なタイミングだけでなく、普段から企業の魅力を発信し続けることで、求職者の関心を引き続き集めることができます。

また、求職者の応募後にも関心を持ち続けられるようなコンテンツを提供し、採用活動をサポートします。

例:定期的に企業のニュースや成功事例をSNSで発信し、企業との接点を保ち続ける。

【4選】採用広報の企業事例

最後に、採用広報で成果をあげた企業事例をいくつか紹介します。以下の企業が実践しているような戦略や手法を参考にしましょう。

Google

Googleホームページ画像
画像元:「Googleについて|Google

Googleは採用広報の先駆者的な企業であり、採用活動において「社員の声」を重視しています。特に、Googleの「Google Careers」サイトでは、社員のインタビュー動画や日常を紹介するコンテンツを多く掲載しており、企業の文化や仕事環境を求職者にリアルに伝えることを目的としています。

また、GoogleはSNS(特にLinkedIn)で「#lifeatgoogle」というハッシュタグを使って社員がどのように働いているのかを紹介し、求職者とのエンゲージメントを高めています。

結果的に、多くの応募者がGoogleのカルチャーに共感し、高品質な人材の獲得につながりました。

IBM

IBMホームページ画像
画像元:「IBM|新卒採用情報
IBMは、デジタル・トランスフォーメーションを通じて採用広報に力を入れています。特に、IBMは「IBM Voices」というキャンペーンで、社員が自らのキャリアや挑戦、企業文化について語る動画を作成し、SNSやYouTubeに公開しました。また、社員が自分の仕事を「物語」として語ることに焦点を当て、そのストーリーを通じて求職者に共感を呼びかけています。

このアプローチにより、IT業界で特に優れた人材がIBMに興味を持ち、応募者数が増加しました。

Netflix Inc

Netflixホームページ画像
画像元:「About Netflix|Netflix Inc
Netflixは、社員の自由と責任を強調した企業文化を採用広報で積極的に発信しています。特に「Freedom and Responsibility」という企業理念に基づき、社員が自分の役割に責任を持ちながらも自由に働ける環境を提供していることを紹介しています。
自立した働き方を望む求職者をターゲットにしており、高いスキルを持った人材を引き寄せることに成功しています。

株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントのホームページ画像
画像元:「採用|株式会社サイバーエージェント

サイバーエージェントは、自社の「自由な社風」や「チャレンジ精神」を強調した採用広報を行っています。特に注目すべきは、社員の個々の成長やキャリアをサポートする環境が整っていることを訴求することにより、若手層に対する強力なアピールを行っている点です。

結果的に、ITやデジタルマーケティング分野で優秀な若手人材を多く獲得することに成功しています。

まとめ

採用広報は、単に求人広告を出すだけではなく、企業の文化や価値観を伝え、求職者に共感を呼び起こす重要な手段です。効果的な採用広報により、企業はより多くの応募者の中から自社にフィットした人材を選ぶことができ、長期的な成長を促進できます。今後、採用活動がますます競争の激しいものになる中で、採用広報を積極的に活用することが、企業にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。

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