ドラッカーのマネジメント論とは?マネージャーに求められる基本能力と役割もご紹介!

ドラッカーのマネジメント論とは?マネージャーに求められる基本能力と役割もご紹介!

チームをマネジメントする立場になった時、具体的にどのような能力や資質が求められているのでしょうか。

今回は、マネジメントの意味や役割、ドラッカーが提唱したマネージャーに必要な5つの基本能力、マネージャーに求められる資質について解説します。

ピーター. F. ドラッカーとは

ピーター・F・ドラッカーは、20世紀を代表する経営学者の1人であり、「現代経営学の父」とも呼ばれています。ドラッカーはビジネスにおけるマネジメントやリーダーシップ、イノベーションなどに関する多数の著作を発表し、経営学や経営戦略の分野に大きな影響を与え、現代ビジネスにおけるマネジメント、リーダーシップの基礎を築き上げた人物です。

ドラッカーのマネジメントとは

経営学の世界において、「マネジメント」という言葉は経営学者のピーター. F. ドラッカーが広めた概念とされています。ドラッカーの定義によると、マネジメントとは、「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」とされています。

「マネジメント」という言葉を直訳すると、「経営」や「管理」という言葉になります。具体的には、組織においての「ヒト・モノ・カネ」を効率的に経営・管理するということです。

マネジメントを実際に行う人のことをマネージャーといいます。「マネージャー」は、ドラッカーの定義によると、「組織の成果に責任を持つ者」とされています。

「マネジメント」と「リーダーシップ」の違い

似たニュアンスをもつ2つの言葉のちがいに関しては、諸説あり、今もなお研究がすすめられています。

一般的に、リーダーシップとは、「未来に向けて取り組み、リーダーの人間性によって人を動かすこと」、マネジメントとは、「現在もしくは、短期的な取り組みにおいて、地位による権限や組織の規則によって人を動かすこと」とそれぞれ言われています。

このように、「マネジメント」と「リーダーシップ」は、両者とも「人を動かすこと」を意味しますが、ドラッカーは「マネジメント力を上位概念としてリーダーシップ力をその下に紐づける」と定義しています。

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マネジメントの役割・仕事内容

目標の設定

マネジメントの目的は、設定した目標に沿って組織を運営していくことです。そのためには、まず初めに目標を最初に立てて、向かうべき方向を示す必要があります。マネジメントにおける目標設定は、企業や組織が望む将来の状態を具体的かつ明確に定め、それを実現するための方策を策定することです。目標の設定には、SMARTの原則(具体的、測定可能、達成可能、現実的、期限付き)を利用することも有効的な方法です。また、目標は社員、メンバーに明確に伝えられることで、組織力を高め、目標達成に向かうことができます。

組織の構築

マネジメントにおける組織構築とは、組織の目標や戦略に基づいて、人員配置や役割分担、コミュニケーションフローなどの仕組みを設計することです。具体的には、組織図や職務分掌表、マニュアルなどを作成し、組織内での業務の進め方や意思決定のプロセスを明確にします。組織構築が適切に行われることで、組織全体の効率性や目標達成力だけでなく、社員のモチベーションや働きやすさの向上にも繋がります。

評価

マネジメントの評価は、組織内での役割や責任、目標達成度、能力などを客観的に評価することで、改善点や成長の機会を見つけることができます。評価の方法には、定量的な指標に基づくものと、定性的なフィードバックに基づくものがあります。定量的な評価方法には、経営成績、売上高、利益率などの数字的指標を使用することがあります。一方、定性的な評価方法には、上司や同僚からのフィードバック、自己評価、360度評価などがあります。評価者や評価方法によってはバイアスがかかってしまうこともあるため、適切な評価方法を選び、公正な評価を行うことが重要です。

人材育成

マネジメントの人材育成とは、組織のビジョンや目標を達成するために必要なマネジメントスキルを身につけ、自己、組織ともに成長することです。コミュニケーションやリーダーシップ、プロジェクトマネジメントなどのスキルを磨くことで、チームのモチベーションやパフォーマンスを高め、より良い成果を出すことができます。また、継続的な研修やフィードバックを通じて、個人の課題や成長の方向性を明確にし、組織としてのニーズに合わせた育成計画を策定し、実行することが重要です。

下記の記事でもマネジメントについて解説しています
マネジメント研修の内容とおすすめ研修7選!選び方のコツや費用を紹介

マネージャーに必要な5つの基本能力

ドラッカーの『マネジメント 基本と原則』にて紹介されている、マネージャーに必要となる5つの能力について解説します!

目標を設定する能力

ドラッカーは、マネージャーは社長だけでなく職長や事務主任に至るまで明確な目標を立てる必要があり、この目標は、組織全体の目標に基づいて設定されるべきだと述べています。実際に目標を立てるにあたり、具体的に目標にどんな種類があるかを認識しておくことは重要です。ドラッカーの言うマネジメント理論では、以下のような分類がされています。

短期的目標

短期的目標は、1週間から1ヶ月のスパンで達成する目標のことです。短期的目標の期間は、長期目標のスパンの長さに準じて変動していきます。

長期的目標

長期的目標は、標準として2~3年のスパンで達成する目標のことです。本人の環境や境遇、立場といった条件の関わり方でその長さは変動していきます。

無形の目標

無形の目標とは、有形の目標達成をするのに欠かせない、あるいは身に付けなければならないもののことです。無形の目標は、測定することが難しいため、達成感を得ることが難しく、途中で挫折することもありますが、長期的な視野で見れば、より大きな充実感や満足感を得られる可能性があります。具体的には、才能や能力の向上、習慣の改善、性格の改善、スキルアップ、心構えの強化、セルフイメージの向上などのことを指します。

部下の仕事ぶりと態度における目標

部下がどのような目標を持ち、達成するつもりなのかを個々に確かめ把握しておくことも、マネージャーに求められる能力です。また、その目標に向けている途中で起こり得る悩みや問題への対応にも、注力していくことも重要になります。

社会に対する責任についての目標

社会に対する責任についての目標とは、企業や個人が社会全体の利益や福祉に貢献するために設定する目標のことを指します。具体的には、環境問題の解決、社会的課題の解決、人権の尊重、地域社会の支援などがあります。社会的責任に関する目標は、企業や個人が社会に対して貢献することで、信頼や評価を得ることができ、長期的なビジネスや社会的な成果を生み出すことができます。

組織化する能力

ドラッカーは、人的資源の強みを発揮し、弱みを削ぎ落とすことの必要性を強調します。つまり、マネージャーは、適切な人材配置と意思決定を行なう人材選定を行い、組織化を図る能力が求められます。組織のあらゆる強みを活かして弱みを消し、組織全体を機能させる能力が必要になります。

コミュニケーション能力

ドラッカーは、コミュニケーションを情報伝達の手段としてではなく、「知覚」、「期待」、「要求」、「情報」という言葉を用いて表現しています。コミュニケーションとは単に受け手に「情報」を与えることではなく、受け手の「期待」、「要求」に合わせて、受け手に「知覚」させることが重要になります。

マネージャーには、組織の成果を上げるための高いコミュニケーション能力が求められます。メンバーと情報伝達だけにとどまらないコミュニケーションをしっかりと取り、仕事を遂行していく上で障害になり得るものを取り除いたり、メンバーの意欲を高めたりするようなヒアリングを行っていくことが必要です。

評価測定能力

マネージャーには、組織の基礎単位である個人を評価測定する能力が求められます。人には理想や目的、ニーズがありそれらを満たさなければならず、この個人の欲求を満たすものが賞や罰、各種の奨励策、抑止策に該当すると、ドラッカーは語っています。

問題解決能力

マネージャーには、問題を見極め、適切に対処する能力が求められます。あらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされているものを調和し、対処していくことが必要です。組織での問題とは、必ずしもネガティブな側面ばかりではなく、成果を出して前進するための可能性でもあるとされています。

ドラッカーの名言から読み取る、マネージャーに求められる資質

ドラッカーは著書「経営の真髄」の中で、マネージャーに求められる資質について以下のように述べています。

「人のマネジメントに関わる能力、たとえば議長役や面接の能力は学ぶことができる。管理体制、昇進制度、報酬制度を通じて、人材育成に有効な施策を講ずることもできる。だが、それだけでは十分ではない。スキルの向上や仕事の理解では補うことのできない、ある根本的な一つの資質が必要である。人としての真摯さである。最近は、愛想をよくすること、人を助けること、人付き合いをよくすることが、マネジメントの資質として重視されている。だが、そのようなことで十分なはずがない。
事実、うまくいっている組織には、必ず一人は、手をとって助けもせず、人付き合いもよくない者がいる。この種の人間は、気難しいくせにしばしば人を育てる。好かれている者よりも尊敬を集める。一流の仕事を要求し、自らにも要求する。基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。自ら知的な能力を持っているが、真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない」

ドラッカーは、スキルや能力、愛想の良さよりも「真摯さ」がマネージャーの資質として重要であると述べています。「真摯」とは、まじめ、熱心、誠実などを意味する言葉です。

ドラッカーは「誠実に仕事に取り組み、成果をあげようとするひたむきな姿勢」が大切であると伝えたかったのかもしれません。
マネージャーには、必ず成果をあげるという強い意思を持って仕事に取り組み、成果をあげるために何をするべきかを考えて判断することが求められます。

部下を評価するときも、プロセスではなく成果を評価することが大切です。プロセスを評価してしまうと、部下は良いプロセスを見せることを重視するようになり、結果を真剣に追い求めなくなってしまう恐れがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、マネジメントの意味や役割、ドラッカーが提唱したマネジメントに必要な5つの基本能力、マネージャーに求められる資質について解説しました。マネージャーに必要な能力や資質を身に付けるために、是非当記事を参考にしてみてください。

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