ナレッジマネジメントとは?核となるプロセス、手法、導入方法、成功事例などをまとめました!

ナレッジマネジメントとは?核となるプロセス、手法、導入方法、成功事例などをまとめました!

企業や組織が成長していくにつれて抱える問題の一つが情報共有の困難さです。
個人間でできていたコミュニケーションが難しくなり、情報が滞るようになり、業務に支障が生じるようになります。そういった支障を防ぐための手法として近年、ナレッジマネジメントを経営に活かす企業が増えています。

そこで今回は、ナレッジマネジメントに着目し、意味、種類、導入のメリット、デメリット、導入方法、失敗を防ぐためのポイント、成功事例をご紹介します。

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ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントとは、企業や個人が持つ暗黙知(知識や経験、独自の営業ノウハウ、技術情報、顧客情報など)を企業全体で共有し、企業の競争力の活性化・向上を図る経営手法のことです。

具体的な手法としては、会議での共有、業務内容や顧客情報のデータベース化などさまざまな手法があります。

企業や事業が大きくなると情報共有が難しくなり、機会損失や組織の弱体化などの問題が生じます。ナレッジマネジメントを活用して情報共有を効果的に行うことができれば、企業のパフォーマンス改善や企業価値の向上が期待できます。

ナレッジマネジメントとSECIモデル

ナレッジマネジメントを導入する際には、「暗黙知」を「形式知(言葉や文章で表現された知識やデータのこと)」へと転換することが重要です。
そこで、「SECIモデル」と呼ばれる考え方を取り入れることで効果的に「暗黙知」から「形式知」への転換を効果的に行うことができます。
「SECIモデル」とは、一橋大学の野中郁次郎氏と竹中弘高氏が、知識創造活動に着目して提唱したもので、以下の4つのプロセスで構成されています。

(1)Socialization | 共同化
共通の体験や作業を通じて「暗黙知」を共有する

(2)Externalization | 表出化
得られた暗黙知を共有できるように形式知に変換する

(3)Combination | 結合化
形式知同士を組み合わせ、新たな形式知を作り出す

(4)Internalization | 内面化
形式知を実践して体得する他、新たな知識や経験、ノウハウなどを暗黙知として得る

4つプロセスからなるこのサイクルを回すことで、組織の中でノウハウを蓄積、創造していくことが必要となります。

ナレッジマネジメントの4つの手法

ナレッジマネジメントでは、組織にある膨大な知識から必要な知識を抽出して活用することが必要です。
さまざまな活用方法がありますが、ここでは基本的な4つの手法について紹介します。

経営資本・戦略策定型ナレッジマネジメント

組織内の知識を多面的に分析し、経営戦略に活用させる手法です。専用のシステムを導入し、競合他社の事例や自社の事例の分析を行います。
業務プロセスを全て洗い直し、見直しを図ることで改善点の発見が容易になったり、新規事業の再検討の時にも活用できる点がこの型の特徴です。

顧客知識共有型ナレッジマネジメント

顧客が第一優先であり、業務の知識だけでなく、業務プロセスやその先を見据えたプラスアルファを提供する手法です。顧客からの意見やクレーム内容、それへの対応方法など、一連の情報をデータベース化します。
部署間でデータベースの共有をすることで顧客対応の質の向上などを図れる点がこの型の特徴です

ベストプラクティス型ナレッジマネジメント

組織の中で規範となる優秀な社員の行動や思考を形式知へ変換し、共有することで組織全体のスキル底上げを図る手法です。
優秀層の思考や行動のパターンを形式知化することで、より具体的・実践的に行うことで社員のスキルを向上させる狙いがあるのがこの型の特徴になります。

専門知識型ナレッジマネジメント

ネットワークを活用し、組織内街にある専門知識をデータベース化し、検索・閲覧できるようにする手法になります。
組織内で質問されることの多い事項をFAQ形式化し、知りたい情報をすぐに入手できるようになる点がこの型の特徴です。

ナレッジマネジメント導入のメリット

ナレッジマネジメントを導入することで得られるメリットについて解説します。

顧客対応力の強化

カスタマーサービスのナレッジマネジメントを強化することで、開発現場や営業部門へ顧客の意見を届けやすく、企業競争力の向上が期待できます。

営業においては、新規クライアントへのアポや受注に欠かせない人脈・顧客情報をデータベース化することで、スピード感のある営業活動が行えます。

組織内連携の強化

ナレッジマネジメントを実施すると、部署内・部署横断の連絡頻度が自然と高まり、組織内の連携も強化されます。企業や事業が大きくなるほど連携が難しくなるため、ナレッジマネジメントを活用して組織の連携強化を進めていきましょう。

業務効率化が可能

社内ドキュメントのファイルの共有機能を活用したり、FAQで共有されたナレッジを業務に活かすことで、業務の効率化や人件費の削減の効果があります。

また、業務フローを共有化することで新入社員や移転先社員に対しても迅速に業務を移行させることが可能です。このようにして、個人の有益な知識やノウハウを共有することで、組織全体の生産性を向上させることができるのがナレッジマネジメントのメリットです。

ナレッジマネジメント導入のデメリット

ナレッジマネジメントの導入におけるメリットについて紹介しましたが、デメリットも存在します。
ここでは、ナレッジマネジメント導入時のデメリットについて解説します。

コストや時間がかかる

ナレッジマネジメントツールを導入するには、コストがかかります。さらにサービス選定や導入後に社内に浸透させるまでにも、多くの時間がかかることが懸念されます。

サービス導入の目的を明確にすることで、サービスを選定しやすくするだけでなく、社内に浸透させるためのサポート体制等も充実させることが必要です。

社内に浸透しないこともあり得る

ツールの使い方をマスターすることに加え、社内で共有すべきノウハウの収集にも時間がかかります。業務に関してより豊富な知見を有した社員がコア業務に集中できない環境をつくってしまっては、かえって業務の効率化を下げかねません。

ナレッジマネジメントを導入する目的や重要性を社内で共有したり、業務の優先順位を明確にしたりする必要があるでしょう。

ナレッジマネジメントの導入方法

ここまで、SECIモデルやナレッジマネジメントの具体的な手法、ナレッジマネジメント導入のメリット・デメリットについて解説してきました。
ここでは、ナレッジマネジメントの効果を引き出すための導入の流れについて具体的に説明していきます。

目的を明確にする

ナレッジマネジメントを導入する際には、具体的にどのような課題を解決したいのか、どのようなメリットを期待しているのかを明確にする必要があります。

「迅速な情報共有」といった曖昧な目的で導入したために、費用ばかりかかってしまい、それに見合った効果が得られなかったというケースも多いです。ナレッジマネジメントはあくまで経営課題解決のための手段であり、ナレッジマネジメントを導入すること自体が目的にならないよう注意が必要です。

共有すべき情報を検討する

目的が決まれば、管理・共有したい情報を検討する必要があります。

企業の中には膨大な量の情報があふれており、全てをナレッジマネジメントの対象にすることはできません。労力や手間に見合った効果が得られるのか、優先順位はどこにあるのかといった視点から、管理・共有すべき情報の種類や範囲を定めておくことが大切です。

業務プロセスに落とし込む

対象となる情報の範囲や種類が決まれば、次に、具体的な業務プロセスにナレッジマネジメントの仕組みを落とし込んでいきます。

例えば、社内イントラネットの導入により、従来の朝会を廃止するなどが最初のアクションといえます。導入後の社員の利用率や情報共有のスピードを把握しながら、その他の情報も徐々にナレッジマネジメントの仕組みに結びつけていきましょう。現場の状況や情報の流れを把握し、段階的に業務と結びつけていくことが大切です。

ナレッジマネジメントで失敗を防ぐためのポイント

ナレッジマネジメントの導入での失敗を防ぐには、下記の2つのポイントに注意する必要があります。

現場中心に導入を検討する

ナレッジ(知識や経験)を得るのは営業や開発、カスタマーサービスなどの現場です。そのため、ナレッジマネジメントを導入する際は、現場が欲しい情報や抱えている課題を中心に考え、その上で利用しやすいインターフェースを構築したり、システムを導入する必要があります。

定期的にプロセスやデータの見直しを行う

ナレッジマネジメントを運用していく中で、現場の状況と徐々にずれが生じてしてくることがあります。

導入時には必要と思われた情報も全く活用されておらず入力の手間だけがかかってしまっている、新しいツールを使用することにより更なる改善ができそうなど、現場の状況変化により新たな問題が生まれてきます。現場の声に耳を傾け、定期的に見直しを加えていくことが、ナレッジマネジメントにおいては非常に重要です。

研修段階でのナレッジマネジメント導入の成功事例

国土交通省

ナレッジマネジメント導入の成功事例について紹介します
国土交通省では、ナレッジマネジメントを導入し、個々人がもつノウハウや経験を組織で運用すべく、社内での共有を徹底しました。防災時であっても、各々が適切な行動を行えるようにするために、マニュアルだけでは伝わりにくいノウハウを共有し、経験の少ない若手社員への教育・研修手段としても用いられているそうです。

参照:)防災対応力の向上に資する知の伝承について -国土交通省

ナレッジマネジメント導入の成功事例<企業編>

次に企業でのナレッジマネジメントの成功事例について紹介します。

株式会社LIXIL 

住宅設備や建材に関する事業を手がける株式会社LIXILでは、アクセラテクノロジ株式会社が運営する、ナレッジマネジメントツールの「Accela BizAntenna」を導入し、現場で培われたノウハウを全社で共有することを目指したそうです。

それぞれの工場が培った知見を共有することで、生産性の向上や従業員のモチベーションを高めることにつながったそうです。

参照:)ナレッジマネジメント導入事例

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、ナレッジマネジメントに着目し、意味、種類、導入のメリット、導入方法、導入と運用時のポイントをご紹介しました。

ナレッジマネジメントを効果的に運用することで、業務効率化や企業競争力の向上が期待できます。ナレッジマネジメントの導入をお考えの担当者様は是非、ご紹介した導入方法やポイントを参考にしてみてください。

ナレッジベースツールをご検討中の方は500mailsの以下の記事もご参考ください。
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この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

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