【2024】エンジニア採用市場の動向をデータで解説|あらゆる角度から分析

【2024】エンジニア採用市場の動向をデータで解説あらゆる角度から分析

技術の進化とDXの進展に伴う需要の急増に対し、スキルを持つエンジニアの供給が不足しているため、採用の競争が激化しています。

エンジニア採用を実施する担当者様の中には、

  • 全く採用が進まない
  • エンジニア採用市場の動向が掴めていない
  • エンジニア採用を成功させる手法・コツが知りたい

など、さまざまな悩みを抱える方もいるのではないでしょうか。

本記事では、エンジニア採用市場の動向をあらゆる角度のデータから分析します。

監修者情報

監修者用
uloqo代表取締役
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月uloqoを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

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IT人材の需給ギャップ

まずは、エンジニア採用市場における人手不足について、データを分析します。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の需要と供給のバランスは以下図のようになります。

IT需給ギャップ

出典:)IT人材需給に関する調査

この調査では、エンジニアを含めたIT 人材に対する需要が今後拡大する一方で、国内の労働人口(特に若年人口)は減少が見込まれています。

IT人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は、需要が供給を上回り、2030年には、最大で約 79 万人に拡大する可能性があると試算されています。

エンジニアの有効求人倍率

エンジニアに関連する職業の有効求人倍率はどのようになっているのでしょうか?

東京ハローワークが公開している「職種別有効求人・求職状況」によると、東京都におけるIT関連の職業の有効求人倍率は2.01倍、うちエンジニアを含むIT技術関連職の有効求人倍率は3.17倍です。職種全体平均が1.48倍であるため、IT人材の需要の高さがうかがえます。

有効求人倍率

出典:)東京ハローワーク 職種別有効求人・求職状況(一般常用)

需給ギャップや有効求人倍率データから得られる示唆

これらの労働市場のデータから何が言えるでしょうか?今後の予測としていくつかの示唆を出します。

  • 採用競争の激化
  • グローバルな人材獲得の重要課題化
  • 自動化やAI導入の重要課題化

採用競争の激化

IT人材の需給ギャップや有効求人倍率が拡大することで、企業間での優秀なエンジニアの獲得競争が激化することが示唆されます。特に、AIやデータサイエンスなどの高スキルを持つエンジニアは希少価値が高まり、高い報酬や福利厚生を提示してでも確保しようとする動きが強まるでしょう。

特に、各社における待遇の改善や教育体制の拡充(リスキリング/アップスキリング)によって採用競争が激化することが予測されています。

有効求人倍率の上昇によって、企業間でより一層採用競争が激しくなることが予測されます。

グローバルな人材獲得の重要課題化

IT人材の需給ギャップや有効求人倍率が拡大することで、国内だけでなく、海外からのIT人材の採用も視野に入れる企業が増加することも示唆されます。

人材を確保するためには、外国人技術者の受け入れ体制の整備や外国人労働者向けの労働ビザの規制緩和、各企業におけるグローバル採用の強化などが必要になってきます。

国内労働市場における、採用競争が激化している今、国内だけでは採用難になるケースが多くなると予想できます。そのため、外国人材の採用や受け入れが企業や官公庁においても重要課題となるのではないでしょうか。

自動化やAI導入の重要課題化

IT人材の需給ギャップや有効求人倍率が拡大することで、人材不足を補うために業務の自動化やAIの導入が進む可能性があります。人を採用できないならば、視点を変えて人以外(機械やAI)に代替してもらうべきであるという考えも浮かび上がってきます。

昨今では、生成AIの発達により、プログラミング言語や自然言語をAIが処理できるようになっています。これにより、従来のIT業務の一部が自動化され、人材の効率的な活用が図られることが期待されています。

市場の希望職種別・年齢別・決定職種別割合

エンジニア採用市場の人材の希望職種別・年齢別・決定職種別割合はどのようになっているのでしょうか。

dodaの「2023年3月発行 職種別マーケットレポート ITエンジニア」によると、エンジニア中途採用市場の業務系SE/PGの登録者動向は以下の通りです。

ITエンジニア中途採用マーケットレポートは、dodaに登録した求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。

年齢別・職種別グラフ
出典:)2023年3月発行 職種別マーケットレポート ITエンジニア

これによると、30歳以下の登録者数は全体の59%を占めており、多くの若年層が早い段階から将来のキャリアについて情報収集を行っていることがうかがえます。

転職希望先としては、経験を活かして「業務系アプリケーションエンジニア・プログラマ」を希望する人が48%で最も多く、次いで「社内情報システム(社内SE)」が16%、「Webサービス系エンジニア・プログラマ」が15%となっています。

実際の転職先としても、「業務系アプリケーションエンジニア・プログラマ」が58%と大半を占めており、社内SEとして転職する人も25%と大きな割合を占めています。

希望職種別・年齢別・決定職種別割合から得られる今後の予測

エンジニアの希望職種別・年齢別・決定職種別割合のデータから、30歳以下の若年層育成の重要性の上昇や業務系エンジニアの高待遇化

30歳以下の若年層育成の重要性の上昇

30歳以下の登録者数が59%というデータから、若年層はキャリア初期において積極的に転職活動を行い、より良い職場環境や成長機会を求める傾向があることを示しています。またこの層は、新しい技術や働き方に対する柔軟性が高く、企業にとっても魅力的な人材といえるでしょう。

この層の特徴としては以下が考えられます。

  • 転職活動に励むほどの主体性と上昇志向
  • キャリアを重視する志向
  • 成長環境を求める

よって、30歳以下の層に対して、企業は若手エンジニアの育成とキャリアパスの提供に注力する必要があります。若手を引き付けるための研修プログラムやメンターシップ制度が今後の重要課題となっていくと考えられます。

業務系エンジニアの高待遇化

業務系アプリケーションエンジニア・プログラマの希望割合が48%で実際の転職先の割合が58%と希望している割合を超える高い数値となっていることから、この職種に対する求人が豊富であることがわかります。

業務系アプリケーションエンジニアの需要が高く、求職者も多いことから、企業は優秀な人材を採用するためにより一層競争力のある給与やキャリア成長の機会を提供する必要が出てくるでしょう。

フリーランスエンジニアの増加

エンジニア採用市場においては、フリーランスとして活動するエンジニアも増えています。

Codezineの記事によると、フリーランス人材の増加率は平均して15%を超えており、年々増加していることがわかります。

フリーランスは特定の会社に属さず独立して働くワークスタイルであるため、従来の働き方が変化していることがわかるかと思います。フリーランスが増加している背景としては、以下の要因が挙げられます。

  • プロジェクトベースでの仕事が増加している
  • 働き方改革による認知度の上昇
  • コロナショックなど外部要因によるリモートワークの普及

codezine
出典:)CodeZine

フリーランスの増加データからわかること

フリーランスエンジニアが増加しているというデータから、採用ターゲットの母数減少によって採用激化やプロジェクトベースでフリーランスと協業を検討する必要が出てくることが予測されます。

採用ターゲットの母数減少によって採用激化

フリーランスエンジニアの増加に伴い、企業間での優秀なエンジニアの獲得競争が激化することが示唆されます。特に、AIやデータサイエンスなどの高スキルを持つエンジニアは希少価値が高まり、高い報酬や福利厚生を提示してでも確保しようとする動きが強まるでしょう。

採用激化の理由としては、各社における待遇の改善や教育体制の拡充(リスキリング/アップスキリング)が挙げられます。

フリーランスエンジニアの増加によって、企業間でより一層採用競争が激しくなることが予測されます。

プロジェクトベースでフリーランスと協業

フリーランスエンジニアの増加は、プロジェクトベースでフリーランスと協業するというプロジェクトのあり方を一般化させる可能性があります。IT業界では、プロジェクト単位での業務が一般化しているため、必ずしも自社の社員のみをアサインする必要はなくなっています。そのため、フリーランスエンジニアを一時的にアサインすることで、欠員補充を行うことも可能となります。

企業はフリーランスエンジニアをプロジェクトベースで活用するための体制を整える必要があるでしょう。フリーランス向けの契約条件や報酬体系の見直し、柔軟な働き方を提供することで、フリーランスエンジニアと協力する機会を増やしていく必要があるといえます。

エンジニア人材が抱える不安

パーソル総合研究所が行なった「ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査」によると、エンジニア人材は以下のような不安を抱えています。

エンジニア人材が抱える不安

出典:)ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査

一番多かったのが「自分の技術やスキルがいつまで通用するか不安だ」、二番目が「今の会社でどこまで給与が上がるか不安だ」、三番目は「いつまで新しい技術やスキルを習得できるか不安だ」となっています。

これらからわかる通り、エンジニア人材は、技術の発展により新しい技術を常に学び続けなければならないことや、給与面を特に心配していることがわかります。

自社に魅力を感じてもらうためには、自社のスキル面での教育体制や、キャリアパス、昇給制度・評価制度などについて、透明性を高める必要があるとわかります。

求人情報などではこれらの点を意識すると良いでしょう。

転職者にとってのエンジニア採用市場は?

転職者からみて、エンジニア採用市場はどのような状況にあるのでしょうか?
dodaの「転職市場予測 IT・通信(ITエンジニア)の転職市場動向2024上半期」では、2024年上半期のITエンジニアの転職市場は引き続き好調と予想されています。

インフラエンジニアについては、2025年問題を背景にSIerやSESなどで求人ニーズが高まっています。特にインフラの拡充に伴い、セキュリティやクラウド関連のスキルを持つエンジニアの需要が増加したそうです。

アプリケーションエンジニアに関しても、業務効率化や自動化などのDX推進に伴い、高い求人ニーズが続く見込みです。未経験者の採用は、2022年・2023年と比べるとやや落ち着いてきているものの、依然として積極的に採用を行っている企業が多いそうです。

こうしたエンジニアへの需要の高まりにより、転職市場は完全に「売り手市場」であるため、転職者にとって「転職がしやすい」環境だと言えます。

こうした転職者の認識を理解した上で、企業は採用活動の際、しっかりとスキル・ノウハウを見極める必要があるでしょう。

まとめ

本記事では、最新のエンジニア採用市場について、あらゆる角度のデータを分析・ご紹介しました。

データに基づいた分析で、市場動向について理解をした上で、採用活動の見直しに取り組みましょう。

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