こんにちは。キャリアプランニングや職業能力証明などに役立つ「ジョブカード」をご存知でしょうか。
今回はジョブカードに着目し、国が制定した「ジョブカード制度」をはじめ、メリット、作成方法、形式、記入例などについて解説します。
ジョブカードとは?
ジョブカードとは、求職者が職業能力を証明するためのものであり、アルバイトやボランティア経験、資格、免許、職業訓練の経歴などをまとめた文書のことです。ジョブカードは正社員経験の少ない求職者を対象としており、個人で、又はキャリアコンサルティング等への相談のもと作成します。記入する内容としては、従来の履歴書や職務経歴書と大きく変わりませんが、ジョブカードでは、それまでの経験や資格、免許などについてより詳しく書くことができます。
ジョブカード制度とは?
ジョブカード制度とは、ジョブ・カードを「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」のツールとして、求職活動、職業能力開発などに役立てる制度です。国民全体の能力を底上げするための取り組みとして、2008年から厚生労働省がスタートし、2018年には利便性の向上を図るため、改定も行われています。
ジョブカードを通じて、キャリアコンサルタントに相談したり、企業が行う実習や教育訓練機関が提供する学習を組み合わせた職業訓練を受けたりすることで、個人の就職活動やキャリア形成を促進できます。
しかしながら、利用者の多くに、失業してハローワークにて作成する方が見られ、通常の就職・転職活動で用いられることはそこまで多くなく、認知度がまだ低いという現状もあります。
企業がジョブカード制度を活用するメリット
ジョブカードには以下のようなメリットがあります。
(1)求人の際、応募者の職業能力を把握
採用の場面で、履歴書とともにジョブカードを追加書類として求めることで、応募者の職業能力をより具体的に把握することができます。応募者の個性や価値観が明確になり、採用のミスマッチを防ぐ効果も期待できるでしょう。
(2)キャリアプランニングや職業訓練における活用
ジョブカードは在職労働者の職業能力を把握するうえでも役立ちます。キャリアプランニングや職業訓練などに活用することで、一連の取り組みをより効果的なものにできるでしょう。
(3)助成金の支給
企業研修や職業訓練における助成金支給の要件として、ジョブカードの作成が義務付けられている場合があります。助成金を活用することで、負担を軽減しながら従業員の能力開発を行うことができます。
求職者がジョブカードを利用するメリット
ジョブカードを利用すると以下のようなメリットがあります。
(1)応募書類として活用することができる
一般的な履歴書や職務経歴書に比べ、記入事項の多いジョブカードは、就職・休職活動時の応募書類として活用することができます。企業に、一度に多くの情報を伝えることができるため、スムーズに選考へ進めるケースもあります。
(2)過去や将来について深く考えるきかっけになる
多くの項目を記入するために、それまでの職務経歴を振り返ったり、自分のことを見つめ直す、自己分析をしたりすることができます。さらに、将来のキャリアプランを形成するきっかけにもなります。
ジョブカードを利用するデメリット
デメリットとして、そもそも応募書類として認めている企業が少ないことや記入に手間がかかることがあります。
しかし、応募書類として認められている場合は積極的に提出することで求職者は企業により理解してもらえることができるでしょう。
ジョブカードの形式と書き方
ジョブカードの形式には以下の6通りがあります。
(2)キャリアプランシート(就業経験なし)
(3)職務経歴シート
(4)職業能力証明シート(免許・資格)
(5)職業能力証明シート(学習歴・訓練歴)
(6)職業能力証明シート(訓練成果・実務成果)
厚生労働省の「ジョブカード制度総合サイト」をもとに、それぞれの記入項目と記入例を見ていきましょう。
(1)キャリアプランシート(就業経験あり)
①基本情報
②価値観、興味、関心事項等
例:小学6年の家族旅行で海外のシティホテルとリゾートホテルを利用した時、ホテルスタッフの暖かさに触れて感動した。それ以来、くつろぎの空間とサポートの提供ができるホテルサービスに強い関心がある。
③強み等
例:厳しい環境に身を置き努力をすることをいとわない。高校時代、英語力に伸び悩みを感じた時期があったが、交換留学生として1年間アメリカの公立高校で学んだことにより、英語力を向上させることができた。
④将来取り組みたい仕事や働き方等
例:グローバルホテルチェーンに転職し、日々多くの海外からのお客様にサービスを提供する業務を行うことで、専門性を高めていきたいという思いが強い。
⑤これから取り組むこと等
例:宿泊部門以外での職務経験がないため、ホテル内のどの業務に向いているのか、まだわかっていない。転職先の会社では、宿泊部門に配属されても構わないが、まずはレストラン部門かバンケットサービスのスタートでも良いと考えている。
⑥その他
例:転職先の会社では長く勤めたいと思っている。この機会に結婚、出産後も働き続けられる職場環境や労働条件はどういったものなのかじっくりと考えたいので、キャリアコンサルタントに相談しようと思う。
(2)キャリアプランシート(就業経験なし)
①基本情報
②学校の過程で関心を持って取り組んだこと・取り組んでいること
例:ゼミ活動 担当教授がとても厳しく、文献の扱い方や幅広い視点から複眼的にテーマを捉えることの重要性を学ぶことができた。その結果、東アジアの貧困国に対して抱いていた印象が大きく変わった。
③学校のキャリア教育で実施される科目・プログラム、インターンシップ(正課)への参加・取組状況
例:キャリアデザイン講座 自分の望む働き方が何か、どんな仕事に興味を引かれるか等について気付きがあった。
④学校の課程以外で学んだ学習歴
例:A英語専門学校国際ビジネスコース 英文資料や書籍を読むスピードが上がった。
⑤社会体験その他の活動
例:吹奏楽部 定期演奏会に向けて、部員が一丸となって練習に取り組む際にチームワークの大切さやチームで一つのことを成し遂げる達成感を学んだ。
⑥(1)の①~⑥と同じ内容
(3)職務経歴シート
①期間
②会社名・所属
③職名(雇用形態)
④職務の内容
例:営業職として、幅広い業界に対して会計経理システムの営業を行った。
⑤職務の中で学んだこと、得られた知識・技能など
例:営業職に必要な基本的な技能を身につけた。 様々な業態の、企業規模が比較的小さな会社のニーズをくみ取ることができた。
(4)職業能力証明シート(免許・資格)
①免許・資格の名称・取得時期
例:日本商工会議所簿記検定3級
②免許・資格の実施・認定機関の名称
例:日本商工会議所
③免許・資格の内容等
例:商店、中小企業における経理担当者として必要な商業簿記に関する知識を有し、簡易な実務処理ができます。
(5)職業能力証明シート(学習歴・訓練歴)
①期間
②教育・訓練機関名
③学科(コース)名
④内容等
例:開発経済学をテーマにしたゼミに所属し、先進国の経済成長が伸び悩む中、〇〇の経済発展が〇〇地域の経済へ与える影響を研究課題にした。この研究の過程で、研究内容と共に文献の扱い方や幅広い視点から複眼的にテーマを捉えることの重要性を学んだ。
(6)職業能力証明シート(訓練成果・実務成果)
①企業実習・OJT期間内における職務内容
例:OJT 輸送、保管、梱包等の物流現場のオペレーションに従事するとともに、上司の指導を受けながら、在庫管理、コスト管理などを含めた業務計画の策定作業に従事した。
②職務遂行のための基本的能力(三段階で評価)
③技能・技術に関する能力(基本的事項と専門的事項を三段階で評価)
ジョブカードの作成方法
ジョブカードの作成方法は3つあります。
②様式PDFを使って作成(印刷して手書きで作成)
③様式Excelを使って作成(キーボード入力で作成)
ジョブカードについての相談方法
以下のような方法でコンサルタントやプロを有効的に活用しましょう。
キャリアコンサルタントに相談
ジョブカードを作成するにあたって、「何を書いたらいいか分からない」「どのようにまとめたらいいか分からない」などの悩みを抱えている場合は、キャリアコンサルティングを受けることをお勧めします。キャリアコンサルティングを受ける場合には、キャリアコンサルタントに依頼する必要があります。
「国家資格 キャリアコンサルタントwebサイト」から全国のキャリアコンサルタントを検索・依頼することができるので活用してみてください。
メール相談サービス
ジョブ・カードを作成するうえで分からないことや、仕事上の悩みや不安、スキルアップ、転職、就職に関する相談をキャリアコンサルタントにメールで無料相談することも可能です。相談はキャリアコンサルタント資格を持った、キャリアコンサルティングの専門家が担当します。
厚生労働省の「ジョブカード制作総合サイト」からメール相談できます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はジョブカードに着目し、ジョブカード制度、メリット、作成方法、形式、記入例などについて解説しました。ジョブカードを活用することで、求職者や在職労働者の職業能力が明確になったり、キャリアプランニングや職業訓練を効果的に行うことができます。
作成するうえで分からないことや相談したいことがある場合は、キャリアコンサルタントへの相談のもと作成してみてください。
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