「給与計算をもっと楽にできないか」
そう考える人も多いのではないでしょうか。月に1度、必ず行わなければならない給与計算。担当者の方の負担はかなり大きくなってしまいます。
本記事では、給与計算を楽にする手段の1つである給与計算システムについて、主に以下の項目について詳しく紹介しています。
・システム種類別の比較一覧
・主流のシステム
・メリットやデメリット
・選び方
・おすすめのシステム
給与計算システムとは
給与計算システムとは、従業員の勤怠データなどから自動で給与計算を行うシステムのことです。このシステムを導入すると、給与計算の際に発生する計算ミスや漏れが限りなく少なくなることが期待できます。
給与計算システムを導入することによって得られる他のメリットについては、給与計算システムのメリットでご紹介しています。
給与計算システムの種類別 比較一覧
給与計算システムの種類別で、内容を比較する一覧表を作成いたしました。
それぞれの項目についての詳細を知りたい方は給与計算システムの種類・導入方法以降をご覧ください。
種類 | クラウド型 | オンプレミス型 | インストール型 (パッケージ型) |
導入方法 | インターネット上のサービスにログイン | 自社サーバーにシステムを構築 | PCにソフトをインストール |
特徴 | インターネット環境があれば使用可能 | ランニングコストが低い | インターネットに接続する必要がない |
メリット | 法改正に迅速に対応できる | 独自システムを構築できる | ランニングコストが0 |
デメリット | 従業員数が多いとランニングコストが高くなる | 導入費用が高い | 法改正の度に再購入しなければならない |
給与計算システムの種類・導入方法
種類 | クラウド型 | オンプレミス型 | インストール型 (パッケージ型) |
導入方法 | インターネット上のサービスにログイン | 自社サーバーにシステムを構築 | PCにソフトをインストール |
給与計算システムを分類すると、クラウド型・オンプレミス型・インストール型(パッケージ型)の3つに区分することができます。
さて、クラウド・オンプレミス・インストールという単語を眺めたとき、オンプレミスという単語が一番見慣れないのではないでしょうか。オンプレミスは「on premise」という英語を基にしており、「構内」や「敷地内」という意味を持ちます。このことから分かるように、オンプレミス型の給与計算システムは自社サーバーにシステムを構築して使用します。まさに「敷地内」型という訳ですね。
その逆ともいえるものがクラウド型です。クラウド型はインターネット上にあるサービスにログインして使用します。自社サーバーにシステムを持たない点がオンプレミス型との決定的な違いでしょう。
そしてインストール型(パッケージ型)はそのどちらでもなく、PCにソフトをダウンロードして使用します。過去には、インストール型(パッケージ型)が給与計算システムの主流となっていました。
しかし、現在はクラウド型が主流となっているようです。
クラウド型の給与計算システムはなぜ主流に?
先ほど、インストール型(パッケージ型)に代わってクラウド型が主流となってきているとご紹介しました。なぜクラウド型が主流となってきているのでしょうか。
それは、インターネットの普及が関係していると考えられます。インターネットが普及した今、インターネットがあれば利用可能なクラウド型が主流となりつつあるのでしょう。
また他の2種に比べて「とりあえず計算だけ出来ればいい」「再購入するのは面倒」といった需要に応えているサービスであるとも言えるでしょう。
また給与計算システムは、勤怠管理など人事・労務関係の他システムと連携を取ることが必要となります。インストール型(パッケージ型)に比べて、他システムと連携が取りやすい点もクラウド型が主流となってきている要因の1つでしょう。
しかし、クラウド型にデメリットがない訳ではありません。自社のニーズに合わせてどのようなシステムを導入するか考えることが必要です。
「主流だからクラウド型」といった選び方は避けるようにしましょう。
給与計算システムの特徴
種類 | クラウド型 | オンプレミス型 | インストール型 (パッケージ型) |
特徴 | インターネット環境があれば使用可能 | ランニングコストが低い | インターネットに接続する必要がない |
給与システムの種類ごとの大きな特徴は上記の通りです。ここでは、それぞれの種類についてさらに詳しく特徴をご紹介します。
【クラウド型】給与計算システムの特徴
クラウド型の給与計算システムの特徴として、最も大きいものはインターネット環境があれば使用可能という点でしょう。ここで不安になるのがセキュリティの問題。しかし、クラウド型の給与計算システムの多くはセキュリティ対策を講じているため、過度に不安視する必要はないでしょう。このセキュリティ性の高さも特徴の1つとなります。
【オンプレミス型】給与計算システムの特徴
オンプレミス型の給与計算システムには、ランニングコストが低いという特徴があります。また自社サーバーにシステムを構築するため、非常に高いセキュリティ性が期待できます。しかしクラウド型の給与計算システムの真逆ともいえる立ち位置のため、提供されるサービス数が減少する傾向にあるようです。
【インストール型】給与計算システムの特徴
インストール型の給与計算システムにおける最大の特徴は、インターネット環境によるトラブルがないという点です。インストールしているため、インターネットに接続する必要がなく、回線に不安がある場合やインターネットトラブルを避けたい場合に有用といえるでしょう。
給与計算システムのメリット
種類 | クラウド型 | オンプレミス型 | インストール型 (パッケージ型) |
メリット | 法改正に迅速に対応できる | 独自システムを構築できる | ランニングコストが0 |
給与システムの種類ごとのメリットは上記の通りです。それぞれの種類について、他のメリットもご紹介します。
【クラウド型】給与計算システムのメリット
クラウド型の給与計算システムのメリットで最初に挙げられるのは、法改正への対応の早さでしょう。更新を自動で行うシステムもあり、常に最新のシステムを使用することができます。さらに法改正への対応を自社で行う必要がないため、頻繁に改正される労働系の法律に関する情報を収集する必要がないこともメリットとなるでしょう。
災害時やPCの故障時にもクラウド型は有効です。デバイスが異なっていても使用可能なため、不慮の事態に備えることが可能となっています。
【オンプレミス型】給与計算システムのメリット
オンプレミス型の給与計算システムの最大のメリットは、独自システムを構築可能なことでしょう。クラウド型やインストール型では企業ごとに個別のシステムを構築することは難しいですが、オンプレミス型では可能となっています。
またオンプレミス型は不具合が起こった際に、自社で原因を探し解決することが可能です。クラウド型ではシステムに不具合が起こっても自社で解決することはできません。
【インストール型】給与計算システムのメリット
「ランニングコストが0」という点がインストール型の給与計算システムにおけるメリットです。システムをインストール(購入)すれば使用できるため、パソコンに不慣れな方にとって使いやすいタイプということができます。
また以前から存在するタイプの給与システムのため、インストール型を使い続けている方にとっても使いやすいタイプということができるでしょう。給与計算という重要な業務において「そのシステムに慣れているかどうか」は重要となるため、この点もメリットとなります。
給与計算システムのデメリット
種類 | クラウド型 | オンプレミス型 | インストール型 (パッケージ型) |
デメリット | 従業員数が多いとランニングコストが高くなる | 導入費用が高い | 法改正の度に再購入しなければならない |
これまで、種類ごとに特徴やメリットをご紹介してきました。ここでは、メリットと共に知っておきたいデメリットについてご紹介します。
【クラウド型】給与計算システムのデメリット
クラウド型の給与計算システムの特徴やメリットに深く関わってきたインターネット環境ですが、デメリットにも影響しています。
インターネット環境が「あれば」どこでも使用可能ということは、インターネット環境が「なければ」なにもできないということです。インターネット環境がないということは少ないかもしれませんが、通信の遅さや業務場所を制限されることによって業務に影響が出ることはデメリットに当たるでしょう。
またクラウド型のシステムには、アップデートやメンテナンスがあります。法改正への対応や不具合の修正には不可欠であるため、業務ができる時間がクラウド型システムによって制限されてしまうこともデメリットです。
また上記の表でも挙げましたが、従業員が多いとクラウド型のシステムで扱う情報も多くなるため、ランニングコストが高額になってしまう可能性もあります。
【オンプレミス型】給与計算システムのデメリット
オンプレミス型の給与計算システムのデメリットに、災害時に対応できないというものがあります。自社サーバーに構築するということは、裏返せば自社サーバーでしか使えないということ。自社サーバーが何らかの原因で使用できなくなれば給与計算システムも同時に使用できなくなります。
また導入費用が高くなってしまうという点もデメリットです。
【インストール型】給与計算システムのデメリット
インストール型の給与計算システムのデメリットは、法改正の度に再購入が必要となる点です。再購入しなければ最新の状況で使えないということもデメリットですが、法改正などの情報を素早くキャッチし続けなければならない、という点もデメリットとなります。
中小企業やベンチャー企業などでは、1人で給与計算を他の業務と合わせて行っているケースが多いです。そんな中、法改正の情報をキャッチし続けるというのはかなりの負担となるでしょう。システムの提供元からメールでの通知があることもありますが、再購入するのは使用者になるので注意が必要です。
給与計算システムの選び方
ここまで、特徴やメリット・デメリットについてご紹介してきましたが「結局、どの給与計算システムを選べばいいか分からない」という方も多いかと思います。
そこで、ここでは給与計算システムの選び方についてご紹介します。
まず、給与計算システムを選ぶ際は「自社の状況」を正確に把握することが必要です。企業規模から従業員の働き方、現在の給与計算方法などが「自社の状況」にあたります。
自社の状況を把握することで、何を重視すべきか判断することができるため、非常に重要です。
自社が何を重視したいかを理解したところで、次は選ぶ際のポイントを参考にしながら給与計算システムを比較検討していきましょう。
選ぶ際のポイントは以下の4つです。
・対応できる業務
・システム連携
・使いやすさ
それぞれのポイントについて解説します。
課金体系(購入方法)
費用がどのくらいかかるのか、という点は非常に重要な点となるでしょう。利用人数が一定数を超えた場合は課金するタイプや、購入時に費用が必要なタイプなど課金体系(購入方法)はさまざまです。
対応できる業務
このポイントが「自社の状況」と密接に関係します。
給与計算システムで対応できる業務はシステムごとに異なり、人事・労務の業務を集約できるシステムから給与計算だけを提供するシステムまでさまざまです。
給与計算システムに何を求め、何を重視するのかがここでは重要となります。
システム連携
給与計算システムには、勤怠管理など人事・労務関係の他システムと連携をとることのできるものとできないものがあります。
人事・労務の担当部署などですでに他システムを導入している場合、そのシステムと連携できるかどうか、という観点が必要となります。またシステムを利用していない場合は、給与計算システムの導入と同時にその領域もシステム化すべきかどうか、といった検討が必要となります。
いずれにしてもシステム連携について考えることは必要となるでしょう。
使いやすさ
使いやすさというポイントは非常に重要です。給与計算は月に1度必ず行わなければならない業務のため、システムが使いづらい場合はかなりストレスとなるでしょう。担当者の慣れによって使いやすくなる、といったことも考えられますが、属人化に繋がってしまうため使いやすさは重要でしょう。
自社が求める内容を満たしながら、上記のポイントを全て満たす給与計算システムは見つからないかもしれません。
上記の選ぶ際のポイントの中でも優先順位をつけ、何を優先するのか明確にしながら比較して選んでいくことをおすすめします。
おすすめの給与計算システム10選
ここからは現在主流となっているクラウド型の給与計算システムに絞って、おすすめの給与計算システムをご紹介します。
マネーフォワード クラウド給与
マネーフォワードはバックオフィスへの支援クラウドサービスを多数展開している企業です。人事管理や勤怠、社会保険といったシステムに連携可能です。また、外部サービスであるジョブカン勤怠管理やSmartHRといったシステムにも連携可能です。
マネーフォワード クラウド給与には以下のような特徴があります。
・導入費用なし。従業員数が50名以下の場合、年間35,760円で使用可能
・チャット・メールによるサポート体制が充実
ジョブカン給与計算
ジョブカンは、株式会社DONUTSが提供するクラウドサービスです。給与計算以外にも多くのプロダクトを提供しており、ジョブカン勤怠管理とジョブカン給与計算は最も親和性が高い給与計算システムとされています。また、シリーズ累計150,000社以上の導入実績があります。
ジョブカン給与計算には以下のような特徴があります。
・シリーズ累計150,000社以上の導入実績
・チャット・メール・電話によるサポートを実施
freee人事労務
freee人事労務は連携できる他社サービスが多いことが特徴のクラウドシステムです。SlackやLINE WORKS、マネーフォワードとの連携が可能です。
freee人事労務には以下のような特徴があります。
・アラート機能で業務の抜け漏れを防ぐ
・転記作業がゼロ
ジンジャー給与
ジンジャー給与は低コストで導入可能な給与計算システムです。月額500円から利用可能で、アップデートについても追加料金の必要はありません。
ジンジャー給与には以下のような特徴があります。
・月額500円から利用可能
・ジンジャーシリーズの累計登録社数が15,000社以上
給与奉行クラウド
給与奉行クラウドは、企業の成長に合わせて変化することができる給与計算システムです。従業員数の変化に伴い、いつでもシステムのアップデートを行うことができます。また、他社給与システムからのデータ移行が最短1日で完了する点が特徴です。
給与奉行クラウドには以下のような特徴があります。
・リモートサポートや電話、FAXでの対応などサポートが充実
・業務時間を7割削減できる
フリーウェイ給与計算
フリーウェイ給与計算は、従業員5名までなら永年無料という点が特徴です。6名以上なら何人でも月額1,980円(税抜)で、従業員数が5名以下になった際にはダウングレードも可能です。スマートフォンでは使用できないという制約があるため、PCは必須となります。
フリーウェイ給与計算には以下のような特徴があります。
・従業員数の減少によるダウングレードが可能
・有料版には電話やリモートによるサポートサービスあり
やよいの給与明細オンライン
やよいの給与明細オンラインは、従業員数が30名までの企業向けのクラウドシステムです。プランによって制限人数は異なりますが、制限人数を超える場合は1名あたり月額200円(税抜)で利用可能です。年末調整や社会保険算定は行えないため、シンプルなシステムといえます。
やよいの給与明細オンラインには以下のような特徴があります。
・従業員数が10名までのプランなら年額4,500円(税抜)で利用可能
・制限人数を超えても1名あたり月額200円(税抜)で利用できる
PCAクラウド 給与
PCAクラウド 給与は初期費用なしで月額11,550円(税込)から利用できます。このシステムを提供しているPCA株式会社はクラウドサービスを10年以上提供し続けているため、クラウドシステムに対して充分なノウハウがあるといえるでしょう。
PCAクラウド 給与には以下のような特徴があります。
・e-Tax形式へのデータ変換、電子署名の付与などが可能
・給与体系を部門から独立して管理することができる
COMPANY 給与計算
機能が充実している点がCOMPANY 給与計算の特徴です。行政への手続きや福利厚生制度にも対応が可能で、大手企業の複雑な給与計算制度に標準対応しています。
COMPANY 給与計算には以下のような特徴があります。
・ミスに対応できる計算結果確認の機能を搭載
・複雑な給与計算を標準機能のまま使用可能
ARROW
ARROWは労務に必要な機能が1つにまとまったクラウドシステムです。1店舗/部署ごとにシステムを利用するプランのため、複数場所に事業所がある企業におすすめです。また1店舗/部署の人数が10名までであれば、月額1,980円(税別)で利用できます。プランのアップグレードはできますが、ダウングレードは不可となっています。
ARROWには以下のような特徴があります。
・社員専用のアプリがあり、情報共有の手間が無くなる
・多くの書類フォーマットに出力でき、書類を自作することも可能
まとめ
給与計算は正確さが求められる重要な業務。ミスは極力避けたいですよね。給与計算システムを導入することで、ミスを減らすことや給与計算の担当者の負担を軽減させることを目指してみてはいかがでしょうか。本記事が給与計算システムの導入を検討している方のお役にたてれば幸いです。
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