業績連動型賞与とは?導入におけるメリット・デメリットや導入企業例について、詳しく解説します

業績連動型賞与とは?導入におけるメリット・デメリットや導入企業例について、詳しく解説します

こんにちは。digireka!HRです。従来の「基本給×◯ヵ月」という賞与体系に代わって、企業の業績に応じて賞与を決定する業績連動型賞与を採用する企業が増えてきています。

今回は業績連動型賞与について、導入におけるメリット・デメリットや導入する際のポイント、実際の企業事例を詳しく解説していきます。

賞与(ボーナス)とは

賞与(ボーナス)は、厚生労働省により「定期又は臨時に労働者の勤務成績、経営状態等に応じて支給され、その額があらかじめ確定されていないもの」と定義されています。

ボーナス支給は会社の義務ではなく、その金額や査定方法は企業の裁量に委ねられます。

業績連動型賞与とは

業績連動型賞与とは、企業業績に連動させて賞与額を算出するものです。従来の「基本給×◯ヵ月」という計算式を用いず、企業や部門の収益に応じて賞与の支給額を決定します。賞与原資を営業利益連動で決める方法などが代表的です。

経団連の「2019年夏季・冬季賞与・一時金調査結果」によると、業績連動型賞与を採用する企業は59.5%に及びます。

業績連動型賞与を導入するメリット

・経営の安定につながる

業績連動型賞与では業績に見合った賞与を負担するため、賞与の過払いによる経営圧迫を避けられます。固定的な賞与では社員数にともなって自動的に賞与負担が増大しますが、変動費化することで無駄な人件費を削減できます。

・社員の業績向上につながる

業績に合わせて賞与が変動するため、社員の経営参画意識の向上や業績の向上につながります。例えば目標数値の超過分が賞与となるなど、業績連動型賞与の賞与決定プロセスは透明であり、働きと賞与の関連性を実感しやすくなっています。

・労使間の賞与決定の手間が省ける

従来、賞与額は春闘の労使交渉の場で決定されることが多いです。業績連動型賞与では事前に労使間で業績指標を取り決めてから運用するため、その手間を省くことができます

業績連動型賞与を導入するデメリット

・賞与原資が大きく変動する恐れがある

業績連動賞与における賞与決定は企業の収益によって変動するため、経営が好調な時と不調な時とで変動幅が大きくなります。もし今期は好調だが来期が危ぶまれるといった場合でも、今期賞与は好業績の下で決定されるため経営が急に落ち込む恐れがあります。

・業績によっては賞与ゼロもありうる

業績に応じた賞与では、賞与ゼロの社員が表れる可能性もあります。賞与が見込めないと社員の私生活にも影響を与えるため、不満を招いたりモチベーションを低下させる恐れもあります。

業績連動型賞与を導入する際のポイント

・導入目的を明確化する

上記のメリット・デメリットを正確に把握したうえで、導入する目的を明確化することが重要です。現状の企業の課題に対応しているか、経営指針に適しているかを考え、効果的な運用につなげる必要があります。

・業績指標を検討する

賞与決定の基準となる指標を考えます。

業績指標には、具体的に以下の項目があります。

・売上高基準(売上高、生産高)

付加価値基準(付加価値)

利益基準(営業利益、経営利益、当期利益等)

キャッシュフロー基準(営業CF等)

株主価値基準(ROA,ROE,ROI等)

上記の基準のうち、自社に合うものを採用します。一般的には一つの指標を選択しますが、経営戦略によっては複数の指標を組み合わせることも可能です。検討する際の基準は次のトピックで扱います。

・原資算定におけるルールを設ける

選んだ指標のどの程度を賞与原資とするか検討します。検討には2つのアプローチ方法があります。

経営計画に基づくシミュレーション経営計画通りに進んだ場合と、計画を上回った時・下回った時の双方を想定してシミュレーションを行います。それによって各状況に適応した算定方法を検討できます。
過去の実績と照らし合わせる過去の指標と賞与実績の関係を確認し、自社の賞与の傾向と成果を把握したうえで賞与原資を考えます。これにより自社の経営状況に即した算定方法が検討できます。

上記のどちらか一つではなく、双方から検証することが重要です。

業績指標の検討におけるポイント

・経営目標に沿った、自社の重視する指標であること

業績連動型賞与を導入する目的は業績の向上であり、企業の経営戦略と連動している必要があります。今まで使ったことのない指標を用いたりせず、既存の経営戦略に即したものを選択します

・社員が理解しやすいこと

賞与は社員の生活に影響を与えるものであり、納得性の高い指標であることが重要です。社員になじみが薄いが経営戦略として重要という場合も、社員に説明し理解を深める必要があります。

・比較的変動が激しくない項目を指標とする

原資としての安定を確保するために重要です。先述した5つの基準のうち、企業において変動が激しい項目を指標として選ぶと賞与支給が不安定になり、経営に支障の出る恐れがあります

・指標の採用が業績向上につながるという確実性

社員の納得や経営の安定ばかりを考慮した指標では結果的に業績向上につながらない恐れもあります。そのような導入の意義が問われる状況に陥らないために、業績関連の視点は常に持っておくことが重要です

・社員の職務との関連性が明らかであること

社員が自身の仕事と指標との関連を実感できない場合、賞与への納得性は得られません。社員から見た指標への配慮を持ったうえで指標を検討しましょう。

業績連動型賞与の導入企業例

関西電力株式会社

関西電力は2019年12月、2020年度以降の賞与を業績連動で決める仕組みを導入すると発表しました。電力自由化により電力販売が伸び悩む中、業績向上に向けて社員の意識を高めることが狙いです。経営利益の目標である1250億円を上回った分が賞与額として加算されます。

日本航空株式会社

日本航空は2017年度から業績連動型報酬制度を運用しています。対象は社内取締役7人であり、中長期的に業績や企業価値を強めることを狙いとしています。従来は固定の基本報酬と賞与を合わせ、4億5000万円以内を役員報酬の総額としていましたが、現在はそのうち3億5000万円を業績連動型賞与に切り替えています。

東京エレクトロン株式会社

東京エレクトロンは半導体製造装置及びフラットパネルディスプレイ製造装置を開発・製造している会社です。2017年度から国際統一基準の新人事制度を開始し、業績連動賞与を採用しています。半導体業界の景気に合わせ、年度によって支給額が大きく変動しています。

まとめ

業績連動型賞与は人件費削減や社員の意欲向上という面で役立ちますが、変動幅が大きいなどの課題もあります。単なる賞与原子決定のツールとしてではなく、経営戦略実現につながるような運用を目指して業績指針等を決定していく必要があります。

この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

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