こんにちは。digireka!HRです。近年労働人口が不足している中、人材を最適配置する方法として「人材ポートフォリオ」が注目されています。
そこで今回は人材ポートフォリオについて、利用上のメリットや作成手順、注意点等を詳しく解説していきます。
人材ポートフォリオとは
人材ポートフォリオとは、企業が保有する人的資源を分類し、事業活動に適切な人材構成を組む手法を指します。金融用語のポートフォリオとは、金融資産の組み合わせのことで、特に具体的な運用商品の詳細な組み合わせを指します。このポートフォリオの中の資産配分を変えることで、資産運用の方向性が決まります。同様に、人材ポートフォリオも経営目標を達成するために必要な人材を可視化したもので、少子高齢化による人手不足が蔓延している日本社会において、限られた人材を効率的かつ最大限に活用できる手法として注目されています。
人材ポートフォリオを用いるメリット
・最適な人材配置を行える
人材ポートフォリオを考えることにより、自社の人材の実態を可視化することができます。全社員のキャリアの志向性や強み・弱みを把握することで、プロジェクトや部署の特性に合う最適な人材配置が可能となります。
・経営戦略に活かせる
自社の人材配置の現状を把握できるため、人材の余剰や不足がある部署・プロイジェクトを確認できます。これは今後の採用計画や人材育成の指標にも用いることができ、人事マネジメントを効率化し経営戦略に応用できます。
・社員のキャリアップにつながる
社員の得意不得意を認識することでキャリアアップの道筋を示しやすくなります。また社員の性質に合わせた助言ができるため、社員の満足感・モチベーションの向上につながります。
人材ポートフォリオを作成する手順
1.基準の軸を決める
自社に必要な人材をタイプ分けするため、分類の基準を決めます。
例①業務を「個人ー組織」「創造ー運用」の2軸・4象限に分類
最も一般的な分類方法です。チーム単位の仕事か個人単位の仕事か、あるいは新しい企画を出す仕事か既成のものを管理・販売する仕事かに分類するため、理解しやすく汎用性が高いです。
組織×運用=オペレーション人材
組織×創造=マネジメント人材
個人×運用=エキスパート
個人×創造=クリエイティブ人材
といった定義が可能です。
例②業務を「ルーティン-ノンルーティン」「分析や設計-営業や接客」の2軸・4象限に分類
「ルーティン」は恒常的・継続的な業務、「ノンルーティン」は課題に対する個別のアプローチを対象とした業務です。一方、「分析・設計」はパソコン等で分析や設計を行う机上の業務、「営業・接客」は体を動かす業務を対象とします。
一つの領域において対象となる業務の範囲が広いため、多岐にわたった業務を展開する企業がこの分類方法を採用しています。
例③業務を「恒常的業務-繁閑業務」「専門性が高い-低い」の2軸・4象限で分類
継続的な業務と単発的な業務、専門性が必要なものとそうでないものとに分類する方法です。この分類は指標がわかりやすく、社員の希望に沿った雇用形態を提供しやすくなっています。また代替人材が必要な領域の難易度も把握しやすいため、採用や評価に応用しやすくなります。
例④雇用形態で分類
雇用形態ごとの在籍状態を考えるため、「総合職ー専門職」「常時雇用ー臨時雇用」の2軸・4象限に分類する手法もあります。
企業によって強化したい雇用形態・職種が異なるため、自社に合わせた柔軟な定義で分類・活用することが重要です。
2.社内の人材タイプを分類する
分類の際に重要なのは、人事やマネージャーの主観に頼らず客観的なデータを参照することです。人材ポートフォリオは全社員を対象とするため、企業規模が大きいほど負担が増え、正確性も失われやすくなります。信頼性の高いデータを採用して分析を行いましょう。
人材データを採取するためには、適性検査の実施が有効です。
適性検査の例:
・SPI3 新卒採用の実績がある
・eF-1G 測定項目が豊富
客観的かつ科学的な分類を行うことは、データの信頼性を高めるだけでなく社員の納得感にもつながります。
3.理想の人材数と比較する
タイプごとに分類された人材について、理想的な配置人数との比較を行います。これにより現在の人材配置の課題が可視化され、介入するべきポイントが明確になります。
現状の人材ポートフォリオに加え、理想の人材ポートフォリオも設計しておくと、より比較が行いやすくなります。
4.対策を考える
人材ポートフォリオの分析により課題を明らかにしたら、最後に理想の人材配置に向けた対策を考えます。必要な人材を洗い出し、余剰な人員を削減するためには以下の施策が挙げられます。
・採用・・・新卒採用、中途採用、アルバイト採用、派遣社員活用など
・退出/解雇・・・早期退職の推奨、役職定年制度など
・育成・・・研修、目標管理、人事評価など
・配置転換・・・部署異動、出向、転勤など
これらの施策をうまく使うことによって、理想の人材配置を実現することができます。
人材ポートフォリオ作成における注意点
・制度設定に手間をかけすぎない
会社の実情に合わせた制度設計を行うため、大掛かりな作業となり通常業務に支障をきたす場合もあります。手間や時間をかけすぎないよう、まずは基本的な条件を洗い出し、後から必要に応じて更新していくのが理想的です。
・適切な運用につなげる
ポートフォリオ作成だけを入念に行ったとしても、運用を誤れば社員の不満を招いたり会社経営にダメージを与える可能性があります。適切に運用を行えるよう、事前にシミュレーションをしたり制度説明を入念に行うことが重要です。
人材ポートフォリオを利用する際のポイント
・順位付けや優遇に使わない
人材ポートフォリオの設計において、人材の分類に優劣を付けることは避けましょう。分類に優劣をつけると、劣っている分類に設定された社員のモチベーションの低下や会社全体の雰囲気の悪化につながりかねません。あくまで整理のために分類を行い、順位や優劣をつけないようにしましょう。
・全ての雇用形態の社員を対象とする
人材ポートフォリオは、目標達成に向けた人材配置の最適化が目的です。一部の雇用形態の社員のみを対象とすると現状把握に漏れが出て、不十分な分析になります。派遣社員であっても、企業の人的資源として分析の対象とする必要があります。
・社員の志向も分類の考慮に入れる
社員のキャリアは、企業側が一方的に決めるものではありません。社員個人の希望を聞いた上で、人的資源の現状と照らし合わせて配置を考えていく必要があります。一方的に人材を分類し、キャリアを決めつけてしまうと社員のモチベーションや生産性の低下、最悪の場合、離職につながる可能性があります。
自己申告書等で希望を聞き、社員の志向も考慮したうえで人材配置を考えていくことが重要です。
まとめ
人材ポートフォリオを用いることで、企業の人的資源を正確に把握し経営戦略に生かすことができます。一方、使い方を誤ったり社員への配慮が足りないと業績低下につながりかねません。ポートフォリオの設計時や分析時に、社員の志向や企業の現状を考慮して進めていく必要があります。
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