Adobeの新しい人事評価制度「Check-in」とは?採用の背景から成果まで解説します!

Adobeの新しい人事評価制度「Check-in」とは?採用の背景から成果まで解説します!

こんにちは。digireka!HR編集部です。人事評価は会社の業務改善に大きな影響を与えます。そこで新たな評価制度を整備しようと考えている方も多いのではないでしょうか。今回はアドビシステムズ株式会社が導入したCheck-in制度についてご紹介します。

Check-inが採用された背景

Adobeの従来の評価制度ではマネージャーが1人の従業員を年次評価するのに8時間をかけていました。従来の人事評価制度は年間目標の達成度合を一年に一度所定のフォームに記入してランク付けする「アニュアルパフォーマンスレビュー」というシステムでした。

従業員一人一人に360度評価を実施し、関係者からの承認を経てレポートを作成していました。そのプロセスの複雑さにより評価に要する時間は非常に長くなっていました。

また、スタッフランキングシステムという相対評価のシステムを取り入れていました。これは従業員の成績によってマネージャーがランク付けを行い、チーム内の上位20%にはボーナスを出し、下位10%を解雇するというシステムでした。

中間層の従業員の動機付けのためのシステムでしたが、結局は従業員同士の足の引っ張り合いを招き、多くの従業員が過小評価されていると感じていました。更に従業員同士のアイデアの共有を妨害し、モチベーションの低下により業務への悪影響も考えられます。

そこで人事担当上級副社長のDonna Morris氏は従来の評価制度を撤廃することを決めました。Morris氏は従業員が適切なフィードバックと評価をもらえていると実感できるような評価制度に変えました。その結果採用されたのがCheck-in制度です。

Check-inとは

Check-in制度は従来のランク付けを撤廃して、継続的な面談とフィードバックを行うことで社員のパフォーマンスの向上を目指した制度です。Check-in制度ではマネージャーと従業員の1対1の会話が義務付けられています。そして、会話の形式や頻度はマネージャーに一任されています。中には1週間に何度も会話の場を設けたマネージャーもいました。

また評価における裁量がマネージャーに委ねられていたり、評価のフォーマットが自由であったりすることで柔軟な評価ができるようになっています。

Check-inの3つのステップ

・期待(Expectations)
マネージャーが従業員に期待することを確認します。会社の現状や年間のゴールについて説明し、従業員がどこに向かったらいいのかを提示します。この確認を3か月に1度行うことで刻々と変わる状況にも対応することができます。

・フィードバック(Feedback)
これはマネージャーと従業員との双方向のフィードバックです。どちらからでも適切なタイミングで会話の機会を設けることで、相互の信頼関係を築くことにつながります。またチームのマネージャーには建設的なフィードバックを提供するための訓練を受けることが義務付けられました

・キャリア開発(Development)
従業員自身が期待に応えるために目標とそのために必要なものを設定します。また従業員がどんな業務をやりたいのかを発言できる場として設けられています。そして従業員やりたいことをそのままやらせるだけではなく、その目標がずれていたりした場合は目標達成のための道筋のアドバイスを行うこともあります。

この際大事なのは、目標が本当にやり遂げたいものかどうかを確認することです。IDP(individual development plan)というフレームワークが存在し、これに沿って従業員は目標やその道筋を整理することができます。

給与の裁量権がマネージャーにある

Check-in制度では給与の裁量権がマネージャーにあります。各マネージャーに予算を分配し、それぞれ部下にどの割合で支給するかを決定します。頻繁な対話のなかで評価基準の設定や価値観のすり合わせが行われ、目的の達成率などを理解することで評価への納得感が生まれやすくなりました。

Check-inを採用した成果

Check-in制度を採用した結果、様々な好ましい影響が出ました。

従業員とマネージャーの関係改善

従業員はマネージャーと頻繁に会話の機会を設けることで、「上司に気にかけてもらっている」という実感を持ち、マネージャーのサポートに対しても前向きな姿勢をとるようになりました。社内アンケートでは「上司からのフィードバックは有用なものである」と回答した社員が10%以上増加しました。

ノーレーティング評価への移行

年次評価を廃止し、ランク付けをしないノーレーティングに移行しました。ノーレーティングの人事制度はアメリカから始まり、様々な大手グローバル企業で導入が始まっています。そこでAdobeは国内でいち早くノーレーティングを導入することができました。

自主退職が減少

Check-in導入以降、自主退職者が30%減少しました。これはマネージャーが従業員との会話を大事にすることでマネージャーへの信頼が増し、会社へのエンゲージメントが高まった結果です。

人事評価にかかる時間の削減

従来の人事評価では年間に2,000人のマネージャーが計80,000時間も消費していました。そこでCheck-in制度を導入することにより、複雑なフォームへの入力の時間や関係者からの承認などを省略することが可能になり、大幅に評価にかかる時間を削減することができました。

Check-in制度を自社で導入する際の注意点

AdobeはCheck-in制度をオープンソース化(英語版)して公開しているため、誰でも閲覧できます。そのためCheck-in制度を他の企業が取り入れることは可能です。もし導入する場合は以下のようなポイントに注意すべきです。
Adobeが公開しているCheck-in

漸次的な導入にする

新しいシステムに対して抵抗を感じる従業員は少なくはありません。また、Check-in制度はマネージャーの裁量によるものが大きく、責任が重いためマネージャーの研修を行う必要があります。事実、Adobeでは18か月の試用期間が設けられました。また、マネージャーのトレーニング
は継続的に行われています。様子を見ながらゆっくりと導入していくことが求められます。

組織の中のコミュニケーションが円滑に行われるようにする

Check-in制度の基本は従業員とマネージャーの会話です。マネージャーが一方的に話すのではなく、従業員からも発言しやすいような場を提供できるようにしましょう。Check-in制度では互いの信頼関係を築けるような職場環境を作ることが必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はアドビシステムズ株式会社が導入したCheck-in制度を紹介しました。最近では多くのグローバル企業が従来の評価制度を廃止して、Check-in制度のようなノーレーティングの人事制度に切り替えています。従業員同士の不必要な競争の撤廃とモチベーションアップのためにCheck-in制度を導入してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

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