企業は新卒採用において「就活クールビズ」を導入するべきか?

企業は新卒採用において「就活クールビズ」を導入するべきか?

こんにちは。digireka!HR編集部です。最近では就職活動の採用面接において、就活生に対してクールビズを導入する企業が増えてきました。

そこで今回はこの「就活クールビズ」に着目し、その意味やメリット、導入するべきか否か、導入するうえで大切なことについて執筆しました。就活クールビズの導入でお悩みの人事担当者様は是非、参考にしてみてください。

就活クールビズについて

近年注目されている就活クールビズですが、そもそもクールビズとは何か、就活クールビズの意味や成り立ちについて見ていきましょう。

そもそもクールビズとは?

そもそもクールビズとは、夏季に上着やネクタイを着ずにシャツだけで仕事をしようというキャンペーンです。環境省が中心となって2005年から行われてきました。

夏場の冷房使用による過剰な電力消費や二酸化炭素の排出が問題視されており、この対策として、節電目的でクーラーの温度を高めに設定できるよう夏場は上着やネクタイの着用を取りやめるなど、服装から改革する形でクールビズは始まりました。

就活クールビズとは?

「就活クールビズ」とは、就職活動の採用面接においてもクールビズを導入することです。

これには政府の要請により就職活動が後ろ倒しになり、真夏の暑い時期になったことが関係しています。政府は経団連に、学生の軽装を認めるよう要請しました。経団連は、「採用選考に関する指針」で定められた手引きで、クールビズを許可する場合には事前に学生に知らせるよう企業に求めていたことから、企業側も「クールビズでお越しください」などと案内するようになりました。

2015年、株式会社i-plugが運営する新卒ダイレクトリクルーティングの「offerbox」が「就活クールビズ宣言」というプロジェクトを立ち上げたこともあり、近年就活クールビズは盛り上がりを見せています。

「就活クールビズ宣言」は、賛同する企業が「就活クールビズ宣言」のホームページに会社ロゴを掲載し、「就活クールビズ宣言」が推奨する3つのスタイル「ノーネクタイ・ノージャケット宣言」「ビジカジ宣言」「私服宣言」のマークつけて宣言する、というものです。

就活クールビズの実施率

2016年、株式会社i-plugが新卒採用を実施している66の企業に行ったアンケート調査によると、「クールビズを推奨して新卒採用を行ったことがありますか」という問いに対して、「ある」と答えた企業が85%、「ない」と答えた企業が15%という結果になりました。

また、クールビズを実施して採用活動を行った理由に対する回答では、「暑いので、少しでも楽に就活をしてほしい」が24%、「会社でクールビズを実施しているから」が23%、「自然体で、自分らしい姿を見たい」が9%、「服装にこだわらず、採用活動を行っているか」が19%「画一的な従来型の就活は賛同できないから」が11%という結果になりました。

参照:)就活COOLBIZ

企業が就活クールビズを導入するメリット

企業が就活クールビズを導入するメリットは主に3つあります。

(1)企業のイメージアップを図ることができる

全員がリクルートスーツを着用する、テンプレート化した現在の就職活動への社会的批判は高まっており、いずれは就活生のクールビズがスタンダードになりそうです。

そのため、企業が就活クールビズを導入することは世間や就活生からの好印象、イメージアップにもつながると考えられます。

(2)就活生の個性を見ることができる

全員がリクルートスーツを着用する現在の就職活動において、就活生は画一的で無個性に見えてしまいがちです。

しかし実際には就活生一人ひとりが違った個性を持っており、それはファッションや持ち物にも表れます。就活クールビズを導入することによって就活生はより自然体で自分らしい姿で就活することができ、企業はその姿を見ることができます。

(3)和やかな雰囲気で面接を行うことができる

リクルートスーツを着用した就活生との面接はどこか堅苦しく、重い雰囲気に感じられます。就活クールビズを導入することによって、就活生はリラックスして面接に臨むことができ、面接の場が和やかな雰囲気になることが期待できます。

企業は就活クールビズを導入するべきか?

上記のメリットから、企業は就活クールビズを導入するべきであると考えます。

2016年、株式会社i-plugが2017年卒・2018年卒の大学生218名を対象に行ったアンケート調査によると、「就活クールビズの取り組みは続いた方が良いと思いますか」という問いに対して「思う」と答えた方が57%、「どちらでもよい」と答えた方が24%、「就活クールビズスタイルを知らない」と答えた方が13%、「思わない」と答えた方が4%という結果になりました。

この結果を見ても過半数の学生が就活クールビズに対して良い印象を抱いていることが分かり、導入するべきであると言えるでしょう。
しかし同時に、就活クールビズに関して就活生は多くの悩みを抱えており、導入するうえではそれらを無視できません。では、就活生がどのような悩みを抱えているのかを見ていきましょう。

参照:)就活COOLBIZ

就活生がかかえる悩み

就活生が就活クールビスをするにあたって、抱える悩みは主に3つあります。

(1)クールビズのボーダーラインがあいまい

企業から「クールビズでお越しください」と言われた際、多くの就活生は「どこまでがクールビズとして認められるのか」「服装を間違えて悪い印象を与えたくない」などと考えてしまいます。

クールビズのボーダーラインが明確ではないため、就活生がどのような格好で就活すべきか判断に悩むことが多いようです。このような就活生の心理的ハードルを克服しない限り、就活クールビズを導入してもほとんどの就活生が無難にリクルートスーツを着てくるでしょう。

(2)採用担当者のクールビズへの抵抗

2014年、AOKIとマイナビスチューデントが就活のスタイルに関して、企業の採用担当者200人に行ったアンケート調査によると、「適度なクールビズなら問題なし」が49%、「積極的に取り入れてほしい」が23%という結果が出ました。しかし一方で、「少し抵抗がある」が20.5%、「非常に抵抗がある」も7.5%という意見もあり、企業の採用担当者の中にはクールビズに対してあまりいい印象を持たない人が一定数いることが分かりました。

このようなアンケート結果が出て、クールビズに抵抗がある企業の採用担当者が約3割もいることから、なるべく悪い印象を与えないようにリクルートスーツを着てくる就活生が多いようです。

(3)金銭的負担が大きい

就活生にとって、就活用に購入したリクルートスーツに加えてクールビズ用の服装を一式購入することは非常に大きな金銭的負担となります。

就活生の金銭的負担を軽減する工夫をせずに就活クールビズを導入しても、多くの就活生が金銭的余裕がないためにリクルートスーツを着てくるでしょう。就活クールビズを導入するうえでは、就活生に金銭的負担をかけないことが必要となります。

就活クールビズを導入するうえで大切なこと

就活生はクールビズに関して多くの悩みを抱えており、実際に就活クールビズを導入する際にはこれらの悩みを解消するための工夫が必要でしょう。では、具体的にどのような工夫が必要かを見ていきましょう。

(1)クールビズのボーダーラインを明確にする

就活クールビズを導入するうえでは、「どこまでがクールビズとして認められるのか」「どこからが失礼なのか」などのボーダーラインを明確にすることが大切です。

具体的な方法としては、企業のホームページでどこまでが許容できる範囲なのかという基準を明記したり、こんな服装でOKという写真付きの例を公開することが挙げられます。または、「クールビズを実施しているので、ノーネクタイ・ノージャケットでお越しください」などと企業側が指定してしまうことも良い方法でしょう。

(2)就活生の金銭的負担を配慮する

就活クールビズを導入するうえでは、就活生の金銭的負担への配慮は欠かせません。就活生の金銭的負担を軽減するためには、「就活クールビズ宣言」が紹介している「ノーネクタイ・ノージャケット型」を推奨していくことが良いでしょう。

就活生はリクルートスーツのネクタイを外してジャケットを着ないだけで良いので、新たにクールビズ用の服装を購入する必要がなく、金銭的負担はありません。

まとめ

いかかだったでしょうか。今回は「就活クールビズ」のメリット、導入するべきか否か、導入するうえで大切なことについて執筆しました。最近では就活クールビズを導入する企業は増えており、導入することで多くのメリットが得られます。

しかし実際に導入する際には、就活生がクールビズに関して抱える悩みを解消する工夫を施すことが大切です。

この機会に人事担当者様は是非、就活クールビズの導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

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