👉この記事のポイント
- 採用ブランディングとは?
採用ブランディングとは、採用において自社をブランド化する採用戦略のことを指します。自社にどのようなイメージを持たせたいかを明確にし、情報発信などを行います。
- 採用ブランディングの4ステップと各ポイントは?
「ターゲットを明確にする」「採用コンセプトを決める」「ターゲットに伝わるメッセージを作成する」などの採用ブランディングのフローと、そのポイントについて解説します。
- 採用ブランディングに役立つ7つの発信手段
採用ブランディングに役立つ、「ブログ」「SNS」「採用動画」などの7つの発信手段について解説します。
採用ブランディングとは?
採用ブランディングとは、採用において自社をブランド化する採用戦略のことを指します。
自社にどのようなイメージを持たせたいかを明確にし、それを基に採用コンセプトやターゲットの選定・情報発信を行います。
採用ブランディングを行うことで、自社に対して好意的なイメージを与えることができ、自社で働くことを望む「母集団」の形成を図ることができます。
母集団の形成は、優秀な人材を採用するためには欠かせないステップですが、ノウハウを持たないまま闇雲に取り組んでも効果が出にくいです。
効果的な採用ブランディングにより、自社のターゲットとなる人材を集めることが重要です。
質と量の両方で最適な母集団を形成することで、成功率の高い効果的な採用活動を実現できます。
【9選】新卒母集団形成の手法!成功ポイントや形成ステップを解説!
採用広報、採用マーケティングとの違い
採用活動における情報発信や候補者獲得の手法は多様化しており、「採用ブランディング」「採用広報」「採用マーケティング」はしばしば混同されがちです。しかし、それぞれ目的や役割は異なります。
ここでは、採用ブランディングとの違いを明確にしながら整理します。
採用広報との違い
採用広報は、主に「企業の魅力をタイムリーに伝えること」に重点を置いた活動です。採用イベントの告知、社員インタビュー、福利厚生の紹介、働き方の取り組みなど、候補者に向けた日常的な情報発信が中心となります。
一方で、採用ブランディングは広報よりも上位の概念であり、企業の世界観・ビジョン・価値観を中長期的に浸透させる取り組みです。短期施策にとどまらず、採用ページのデザインから言語化されたミッション、カルチャー発信まで含め、企業が「どんな存在であるか」を一貫して伝える思想設計が採用ブランディングの特徴です。
採用マーケティングとの違い
採用マーケティングは、候補者の行動データや市場分析を基に「応募につながる導線を設計すること」にフォーカスしています。求人広告運用、SNS広告、タレントプール構築、スカウト活動など、興味・関心を持った候補者を応募まで導くための施策が中心です。
一方、採用ブランディングは「応募数」よりも「企業への好意・信頼・共感」を長期的に高めることが目的です。マーケティングが数値改善を狙う実行施策であるのに対し、採用ブランディングは土台となるイメージ形成の領域であり、企業と候補者の関係性を中長期で育てる活動である点が大きな違いです。
採用ブランディングが注目されている背景
現在の採用市場では、求職者の価値観の変化や情報収集方法の多様化、人手不足の深刻化など、企業を取り巻く環境が大きく変化しています。単に求人票を掲載するだけでは応募が集まらず、企業側から積極的に「自社の魅力をどう伝えるか」が問われる時代になりました。
こうした背景から、企業の認知向上・魅力づけ・候補者との関係構築を目的とした採用ブランディングの重要性が急速に高まっているのです。
- 企業の人手不足の深刻化
- 採用競争の激化と優秀人材の取り合い
- 応募者の情報収集方法の変化
- 企業文化・働き方の透明性の重要度の増加
- 採用活動の長期化
ここでは、注目されている背景について詳しく解説します。
企業の人手不足の深刻化
近年、採用市場の競争が激化しています。
企業の人手不足の現状について、以下のデータを見てみましょう。

引用元:株式会社帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2024 年 10月)
株式会社帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」をみてみると、2024年において、正社員の人手不足企業の割合は 51.7%であるとわかります。
企業の半分以上が、正社員の不足に悩んでいるということです。こうした労働力の減少により、企業が求める人材を採用することがますます難しくなっています。
採用競争の激化と優秀人材の取り合い
採用市場では、少子化や専門職の売り手市場化により競争が年々激しくなっています。企業が求めるスキルセットを持つ人材は限られ、求人を出すだけでは応募が集まりにくい状況です。その結果、企業の魅力づけや独自性の発信がこれまで以上に重要になっています。
特に、IT・コンサル・スタートアップなどスキルに対する需要が高い領域では、候補者が複数社から引く手あまたの状況が続いています。こうした環境下では、「条件」ではなく企業の価値観や成長機会など非金銭的な魅力をどう伝えて差別化するかが勝敗を左右します。
応募者の情報収集方法の変化
求職者は企業を多面的に調べるようになり、SNS・口コミ・YouTube・社員の発信など、企業コントロール外の情報源も重要視しています。もはや、求人票の情報だけでは候補者の意思決定を支えることができません。企業が自らストーリーを語り、候補者の不安を解消する役割が求められています。
また、企業の「リアル」が見えるほど候補者の信頼感は増し、応募率や承諾率にもプラスに作用します。特にZ世代は、価値観の一致や働く人の雰囲気を重視する傾向が強く、透明性の高い情報発信を行う企業が選ばれやすくなるという変化が顕著です。
企業文化・働き方の透明性の重要度の増加
リモートワークや副業の普及によって、企業がどんな働き方を実現しているかが大きな比較ポイントになりました。働く側も「自分らしく働ける環境か」を重視するため、価値観やカルチャーを明確に示す必要があります。こうした背景から、企業文化の可視化は採用力に直結するようになっています。
特に、評価制度・コミュニケーションスタイル・リーダーの価値観などは求職者が強く気にするポイントです。これらを適切に発信することで、自社にフィットする人材の自然な惹きつけが起こり、採用のミスマッチ防止にもつながります。
採用活動の長期化
求人に応募が来るスピードが落ち、採用活動は短期施策だけでは成果が出にくくなっています。優秀人材ほど転職のタイミングが読みにくく、長期的な関係構築が重要になりました。企業としては、求職者に継続的に接触し、ファン層を形成する戦略が欠かせません。
採用ブランディングにより、求職者は企業に対して継続的な好感や興味を持つようになります。結果として、転職意欲が高まり次第応募につながる確率が上がり、長期的に安定した母集団形成が可能になるという大きなメリットが生まれます。
採用ブランディングのメリットは?
採用ブランディングは、単に「応募者を増やすための施策」ではなく、企業の魅力や価値観を的確に伝え、求職者との関係性を長期的に育てるための重要な取り組みです。認知拡大から応募促進、定着率向上まで、多方面にプラスの効果をもたらします。
ここでは、代表的なメリットをわかりやすく整理してご紹介します。
- 応募者数の増加
- ミスマッチ削減・人材定着率の向上
- 競合企業との差別化
- 社員のモチベーションアップ
それぞれについて詳しくご説明します。
応募者数の増加
採用ブランディングにおいて自社で働く価値やイメージを求職者に共有することで、「この会社で働きたい」と考える求職者が増えるでしょう。更に発信内容と求職者の求めるものが一致すれば、応募者増加並びに入社意欲向上を期待することができます。
特に、BtoBサービスを提供する企業や中小・ベンチャー企業は、一般認知度の低さ故に応募が集まりにくい傾向があります。しかし、採用ブランディングを行い、企業の魅力を思い通りに伝えることができれば、より多くの応募者を獲得し、自社に興味のある理想的な求職者の母集団を形成することが可能です。
ミスマッチ削減・人材定着率の向上
採用ブランディングを行うことで、自社が求める人物像を理解した上で求職者が応募してくれる状況を作ることができます。よって、入社後のミスマッチを防げると同時に、社員定着率の向上や離職率の低下も見込めます。
また、人材の定着によるエンゲージメントの向上によって良い口コミが広がれば、自然に母集団が増えるはずです。広告にお金を掛けなくても人が集まる仕組みを実現することができ、結果として採用コスト削減に繋がるでしょう。
採用ミスマッチの原因と対策は?成功事例から学ぶポイントを解説!
競合企業との差別化
採用ブランディングでは自社の企業理念や経営方針を繰り返し見直すことになります。また、ブランドとしてのイメージを確立していくことになるため、その過程において他社との違いや自社の特長を明確化する必要があります。
これらの特長を訴求内容に組み込むことで、自社独自の魅力を周知させることができ、求職者が「この企業で働きたい」という思いを抱く可能性が高まるでしょう。
社員のモチベーションアップ
企業の採用ブランディングは求職者の企業選択を支援するだけでなく、社員への指針やモチベーション喚起としても機能します。ブランドイメージを形作るために自社のことを再認識する機会となり、社内の士気が一層高まるでしょう。
また、採用ブランディングの成果として自社の知名度が上がり、求職者が増えることが期待できます。それに応じて、社員が自社に対して信頼を持ち、安心して働けると感じると、モチベーションが向上します。
一貫したメッセージ発信
採用ブランディングを行うことで候補者に伝える情報が明確化されるため、採用担当者は発信する情報に一貫性を持たせやすくなり、より効果的に求職者にアピールできるようになります。
また、採用ブランディングによって培われた企業イメージや候補者へのメッセージは、企業内で継承していくことができます。そのため、採用担当者が変わっても、一貫したメッセージを発信していくことができます。
採用ブランディングのデメリットは?
採用ブランディングは多くのメリットを生む一方で、取り組むにあたって押さえておくべき注意点も存在します。特に、運用の負担や組織全体の巻き込みなど、短期的な施策では見えにくい課題が表面化しやすい領域です。
こうしたデメリットを事前に理解しておくことで、無理のない運用計画を立てられ、長期的に成果を出しやすくなります。
ここでは、採用ブランディングで起こりやすい課題を整理しながら、企業がどのように向き合うべきかをわかりやすく解説します。
- 効果が現れるまでに時間がかかる
- 会社全体で取り組まなければならない
- 継続的な情報発信が必要
それぞれについて詳しくご説明します。
効果が現れるまでに時間がかかる
求職者に認識され、ブランドイメージとして確立するまでに時間がかかることがデメリットとして挙げられます。一般的に2~3年を要すと言われています。情報発信についてもコンテンツを継続して発信するだけでなく、効果測定を行い、ブラッシュアップを繰り返していく必要があります。長期的な運用を見据えた計画を立てておきましょう。
会社全体で取り組まなければならない
採用ブランディングで発信するブランドイメージは、人事担当者のみでなく、全社員で認識を一致させる必要があります。発信内容と現場イメージの不一致が影響して採用ブランディングが機能しなくなる場合もあるため、会社全体で理念や価値観の共有やエンゲージメント向上を永続的に行い、徐々に浸透させていきましょう。
ワークエンゲージメントとは?意味や尺度、向上させる方法について解説します。
継続的な情報発信が必要
採用ブランディングでは、どの媒体を活用する場合でも継続的な情報発信・更新が欠かせません。SNS・採用サイト・ブログなど、多様なチャネルを運用するには一定の工数が必要となり、担当者の負荷が大きくなりやすい点がデメリットです。
そのため、発信内容の優先順位を決め、効果測定を基に最も成果の出やすい媒体へリソースを集中することが重要です。無理のない体制を整えることで、長期的に質の高い情報発信を継続しやすくなります。
採用ブランディングの4ステップ
採用ブランディングの具体的な手順は以下の通りです。

これらの各ステップを、意識するべきポイントと共に解説します。
ターゲットを明確にする
まずは、どのような人が自社に合うか、どのような人が自社で活躍できそうなのかを考えます。採用ブランディングにおいては、応募数を増やすことよりも、求める人物像に当てはまる人からの応募に絞ることが重要です。
具体的には
- 採用要件(ターゲット)を定める
- 採用ペルソナを定める
の2ステップを踏みましょう。
採用要件とは求める人材のスキルや経験などの条件や基準をまとめたもの、採用ペルソナとは具体的な人物像の例のことです。
その人材の年齢や地域、スキルなど、ペルソナを具体化することで、それぞれのペルソナに応じたメッセージ内容や発信手段を選ぶことができます。
企業理念や採用戦略全体を見直した上で、自社が求める人材を明確化しましょう。
採用ペルソナとは?7STEPやフォーマット、活用事例を紹介!
採用コンセプトを決める
採用ブランディングにおいて、採用コンセプトの決定が最重要項目であると言えるでしょう。コンセプトを固定させることは、企業の価値観や方向性に共感するターゲットを限定的に集めることに繋がります。
採用コンセプトが曖昧だと、情報の提示方法やコンテンツによって求職者に与える印象が一貫しなくなり、企業のイメージに認識のずれが生じます。
そのため、採用コンセプトを「市場・事業・業務・人・文化・制度」などの観点で明確に定め、企業イメージを統一化することが重要です。
さらに、採用コンセプトが頻繁に変更されると、採用ブランディングの効果が発揮されません。経営陣の意見も考慮し、現在の魅力だけでなく将来の展望も踏まえて、確実な採用コンセプトを策定するように意識しましょう。
ターゲットに伝わるメッセージを作成する
まず、求職者に抱いてもらいたい自社のイメージを考えます。そのブランドイメージがより伝わりやすくなるように、アピールする企業の魅力を選定し、メッセージを作成します。この際、「企業として伝えたい魅力」を考えるのは当然ですが、それと同時に「ターゲットにとって自社が魅力的にうつるか」という視点を忘れないようにしましょう。
決定したコンセプトをもとにキャッチコピーを考案することで、候補者にメッセージが伝わりやすくすることも効果的です。ターゲットの印象に残る言葉を意識して、明確な表現を盛り込むようにしましょう。
メッセージを発信する
ターゲットとメッセージ内容が定まったら、発信する媒体を検討します。自社が設定したターゲットに発信するために、それぞれの特徴を吟味した上で最適な媒体を選定する必要があります。
採用ブログやSNSなど、あらゆる手段が存在しますが、それぞれ特徴を理解し、自社がアプローチしたい人材に対して最も効果的な手段を選ばなければなりません。
次章「採用ブランディングに役立つ発信手段」にて、発信手段を紹介するのでご参考ください。
【事例有】採用ピッチ資料20選|作成フローやメリットもご紹介
採用ブランディングに役立つ7つの発信手段
採用ブランディングで活用できる発信手段は以下の通りです。
| 媒体 | 特徴 |
| 求人媒体 | 費用は掛かるが、訴求範囲が広い。同時に求職者の応募を獲得しやすい。 |
| 採用サイト | 訴求範囲が広い。ミッションや事業内容、社員紹介など、自社の詳細情報を発信できる。 |
| イベント | 求職者と直接コミュニケーションを図ることが可能。 |
| 採用パンフレット | 訴求範囲は狭い。求職者の理解度・納得度を高めることが可能。 |
| SNS | 自社に興味を持つ求職者と双方向でコミュニケーションを取ることができる。 |
| 採用動画 | トレンド的に今後大きな効果が期待できる。 |
| ブログ | 訴求範囲は狭い。継続的な発信により自社のファンづくり、関係性の強化に繋げることができる。 |
それぞれについて詳しく解説します。
求人媒体
求人媒体は、最も一般的な採用手法のひとつであり、多くの求職者にアプローチできる点が大きな強みです。新卒・中途・エンジニアなど媒体ごとに特徴が分かれており、自社の採用ターゲットに合わせて選択する必要があります。
また、求人媒体は検索軸が明確で、求職者が条件・スキル・勤務地などを比較しながら応募を検討できるため、「意欲の高い候補者」にリーチしやすい点がメリットです。掲載する情報を最適化することで応募率を大きく改善でき、企業側も数値を把握しながら運用できる点が魅力です。
一方で競合他社も同じ媒体を利用しているため、情報が埋もれやすく差別化が難しいという課題もあります。求人票の内容や表現が似通いやすいため、企業のカルチャーや働く環境を具体的に記載する工夫が不可欠です。
さらに、媒体によって費用対効果に差が出やすいため、定期的に分析しながら継続利用すべき媒体を選定することが重要です。
採用サイト
採用サイトは、企業の魅力や価値観を体系的に伝えることができる採用ブランディングの中心的なツールです。企業のビジョン・文化・社員インタビュー・キャリアパスなど、求職者が知りたい情報を深く掲載できます。
特に採用サイトは、訪問した求職者の理解度を大きく高めることができ、「企業の世界観を最も正確に伝えられる」媒体として機能します。SNSや求人媒体から流入した見込み層の最終確認の場としても重要で、応募の後押しにもなります。
ただし、サイトは作って終わりではなく、情報の鮮度を保つために継続的な更新が求められます。更新が止まってしまうと「会社が動いていない」という誤解を与えてしまう可能性もあります。
また、制作コストが比較的高く、写真・文章・デザインなど一定の工数が発生するため、計画的な制作と運用が必要です。
イベント
合同説明会や特定分野向けイベントは、求職者と直接接触できる貴重な場であり、企業の雰囲気や魅力をリアルに伝えられる点が強みです。特に学生や若手ターゲットにおいては、オンライン情報だけでは伝わらない熱量やカルチャーを届ける機会になります。
イベントでは、社員が直接コミュニケーションを取ることで、「企業のファン層」を形成しやすいという特徴があります。短時間でも印象が強く残りやすく、求職者の志望度向上に直結するケースもよく見られます。
一方で、イベント参加には準備・移動・ブース装飾などの工数が大きく、コストも高くなりがちです。また、当日の担当者によって印象が大きく変わるため、参加メンバーの選定・トークの設計が重要となります。
さらに、イベントは単発で終わらせず、SNSや採用サイトなど他の接点に誘導して継続的な関係構築につなげる運用が求められます。
採用パンフレット
採用パンフレットは、企業の魅力や働く環境をコンパクトにまとめ、説明会や面談の場で手渡しできるツールです。視覚的に情報を整理でき、企業の雰囲気を短時間で伝えられる点がメリットです。
パンフレットは、企業理念・事業内容・社員紹介などを凝縮して掲載できるため、「短時間で企業の魅力を理解してもらえる」媒体として優れています。説明会後に自宅で見返してもらえるため、記憶の定着にも役立ちます。
ただし、制作にはデザイン・撮影・編集などの工数がかかり、内容を更新しづらい点がデメリットです。パンフレットの情報が古いままになると、企業の印象を下げてしまうリスクもあります。
そのため、パンフレットは採用サイトやSNSなど「更新しやすい媒体」と併用し、常に最新情報にアクセスできる導線を確保することが重要です。
SNS
TwitterやInstagramなどのSNSは、採用ブランディングに非常に有効なツールです。
これらのSNSは、多くの人々が日常的に利用しており、シェア機能によって情報が拡散されやすい特性があります。そのため、広範囲にわたる人材にリーチできる可能性があり、また無料で利用できるため、コストを抑えながら効果的な採用活動ができます。
さらに、画像や動画を通じて企業のカルチャーや雰囲気を伝えることができるため、求職者の企業理解度を向上させるのに役立ちます。
ただし、SNSの更新頻度が低いと情報が埋もれてしまうため、継続的な運用が不可欠です。また、管理やコンテンツ制作には人的コストがかかることもありますので、注意が必要です。
さらに、各SNSのユーザー層が異なるため、自社のターゲットに合った媒体を選ぶことが重要です。
【成功事例付き】SNS採用とは?メリットデメリットや運用方法を解説!
採用動画
動画メディアは、多くの情報をわかりやすく伝えられるため、採用ブランディングには非常に有効です。視覚的な情報は強いインパクトを与え、スマートフォンの普及により動画はますます重要な情報源となっています。特に、社内の雰囲気や感情の伝達など、テキストでは表現しにくい要素を効果的に伝えることができます。実際、動画を視聴することで求職者の志望度が向上するというデータもあります。
ただし、動画の制作コストは高額なため、継続的に動画チャネルを運用することは効率的ではありません。そのため、ブログやSNSなどの他のツールと組み合わせて活用し、必要な場面に限って動画を活用することが良いでしょう。
ブログ
ブログは、採用に関する情報を発信する上での中心的な場所であり、情報の「拠点」と「ストック」の役割を果たします。
SNSなどと比べて情報が埋もれにくく、カテゴリー別に情報を整理し蓄積することができるのがブログの大きなメリットです。一度ターゲットの目に止まれば、過去に投稿した情報も含めて、多くのメッセージを伝えることができます。
しかし、採用ブログの運用において重要なのは、単に「立ち上げる」ことではなく「継続する」ことです。更新ごとにコンテンツを考えるのではなく、最初にサイト全体の完成イメージを決め、段階的にコンテンツを積み重ねていくことが重要です。
さらに、ブログでの発信ではバリエーションが重要です。社内イベントなどをカジュアルに発信する一方で、創業時の様子などを通じて企業の理念を正確に伝えましょう。
採用ブランディングサービスを提供している企業
採用ブランディングに取り組む中で、どうしても自社のリソース・ノウハウが追いつかない場合には、コンサルティングサービスを利用するのも一つの手です。
おすすめコンサルティング企業2選をご紹介します。
株式会社uloqo(旧株式会社プロジェクトHRソリューションズ)
引用元:https://digireka-hr.jp/enjinia_saiyo_lp/
株式会社uloqoの取引先企業数は、50社以上にのぼり、契約継続数が80%を超えます。採用コンセプト設計や採用サイトのディレクションなど、採用活動におけるあらゆる業務の代行が可能です。柔軟なサービス設計や深い専門知識を有したコンサルタントが在籍している点が特徴です。
博報堂コンサルティング

博報堂コンサルティングは、有望な人材の獲得と就業継続のロイヤルティづくりを目的とした採用ブランディングサービスを取り扱っています。自社の提供価値を定義し、ターゲットの態度と連想に働きかけるというブランディングのアプローチによって、「人材に選ばれる」企業への変革を支援しています。
採用ブランディング会社6選|選定ポイントやメリットについても解説します
採用ブランディングの成功事例5選
実際に採用ブランディングに成功している企業の事例をご紹介します。
株式会社メルカリ

フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは、コンテンツプラットフォーム「merucan(メルカン)」の運用を通して採用ブランディングに成功しています。
「merucan(メルカン)」は、『メルカリの“いま”を正しくかつ遠くまで届け、エンパシーの総量を増やす。』をコンセプトとする、採用を目的としたオウンドメディアです。
営業担当、エンジニア、会計担当、モバイル決済担当など、メルカリ内のあらゆる部署で働く社員の方のインタビューが掲載されており、求職者が社内の雰囲気をイメージしやすくなっています。
メルカンでは週に4−5回記事を更新しており、こまめで上質な発信で母集団形成に取り組んでいます。
引用元:https://mercan.mercari.com/articles/
株式会社三井住友銀行

株式会社三井住友銀行は、「早期の動き出し」と「Web活用の強化」により採用ブランディングを成功させ、インターンシップのエントリー数を前年比で4倍に増加させました。
新卒採用が早期化している背景を踏まえ、三井住友銀行は採用ブランディングの開始時期を早め、就職活動に対する意識や情報感度が高い学生に対応しました。これにより、学生が早期に企業を選択しやすくなるため、同社も採用活動を早期に始めることを決定。例年は3年生の4月に参加していた採用イベントに2月から参加し、参加回数も3割増やしました。
さらに、Web活用の強化として、就職ナビサイトへの早期掲載やWeb開催の求職者向けセミナーに積極的に参加。その結果、サマーインターンシップの募集で前年比4倍のエントリーを得ることができました。
この事例は、採用ブランディングにおいて「何をするか」だけでなく、「いつ始めるか」についても重要であることを示しています。
引用元:株式会社三井住友銀行
株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、採用ブランディングおよび採用戦略の設計に、アンケートリサーチを活用して、求職者の関心を集める採用活動を行っています。
アンケートリサーチでは、応募者に対するヒアリングだけでなく、一般の学生を対象としたリサーチで、そこから採用ブランディングに用いる発信手段を定めています。
実際に、株式会社サイバーエージェントでは、「クリエイター交流会」などのイベント開催や職種ごとのインターンシップ、現場で働く社員の方のインタビュー記事の発信など、求職者の求める情報や経験に応える採用活動を多岐に渡り実施しています。
こうしたイベントや発信を通して、自社の理念や社風を伝えることで、就職活動における人気を保っています。
引用元:https://www.cyberagent.co.jp/careers/
株式会社ADKホールディングス

株式会社ADKホールディングスは、日本を代表する広告代理店として、「ポテンシャル採用」と「キャリア採用」に特化したページを作成し、ターゲット層に応じた効果的な訴求を行っています。新卒採用と中途採用を同時に推進する中で、ターゲット層ごとに異なる訴求方法を用いることで、効果的なブランディングを実現しています。
採用ページのトップには、「違いは、チカラだ。」という共通のメッセージが大々的に表示され、そこから2つの採用ページへと誘導されます。ポテンシャル採用ページは、入社時30歳未満の新卒、既卒、就業者を対象としています。このページでは、「#全員チャレンジャー」というメッセージの後に、企業のパーパス(社会的存在意義)、求める人材像、採用フロー、社員紹介、実績紹介が続きます。ターゲットに新卒を含むため、基本的な情報を端的かつ分かりやすくまとめているのが特徴です。
キャリア採用ページでは、冒頭に「ようこそ、才能の合衆国へ。」というメッセージが掲示されます。この後、既存社員の実績や転職後の満足度など、キャリア社員に向けたアンケート結果が紹介されており、ターゲット層が求める情報に迅速にアクセスできるよう工夫されています。
引用元:https://www.adk.jp/recruit/
株式会社カヤック

株式会社カヤックは、オリジナルゲームの自社開発/パブリッシングや、他社パブリッシャーとのIPタイトルの協業開発など、主にモバイル端末向けのゲームを開発する会社です。
同社は、2014年に「ぜんいん人事部」という採用活動を行いました。「ぜんいん人事部」は社員全員が人事部員として採用活動を行うという制度です。
社員全員に、書類選考を免除して優先的に面接を案内する「ファストパス」といきなり最終面接から選考が始まる「ラストパス」の2種類のカードが渡されました。社員の目線で一緒に働きたいと感じた人物に出会った際に、求職者にこのカードを渡します。
この制度は、「”何をするか”より”誰とするか”」を重視するカヤックのスタイルを広く認知させることに成功しています。
引用元:https://www.kayac.com/company/institution/alljinji/
採用ブランディングについてよくある質問(FAQ)
最後に、採用ブランディングについてよくある質問をまとめました。
採用ブランディングの目的は?
求職者から「この会社で働きたい」と思ってもらうために、自社の魅力や価値観を明確に発信することが目的です。ミスマッチのない応募を増やし、採用効率の向上につながります。
中小企業でも採用ブランディングは必要?
必要です。知名度では劣っても、理念や働く環境など「共感される情報」を発信すれば、求職者の選択肢に入る可能性が高まります。
採用ブランディングのKPIは何を設定すべき?
採用ページのPV数、応募率、スカウト返信率、SNSでの反応(いいね・シェア数)などが一般的です。採用フェーズごとに段階的にKPIを設計しましょう。
インナーブランディングとの関係は?
インナーブランディングで社員の共感と行動を促すことで、自然と外部へのポジティブな発信が生まれ、採用ブランディングの効果が高まります。
まとめ
本記事では、採用ブランディングの必要性やメリット・デメリット、進め方のポイントまで、幅広くご紹介しました。
より多くの方に自社に興味を持ってもらうことで、優秀な人材を獲得できる確率が高まります。
採用活動の質を上げたく、悩んでいる企業担当者様は、ぜひ採用ブランディングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
採用ブランディングにお悩みの企業の方へ、株式会社uloqo(旧株式会社PrHR)の採用代行サービスについてはこちら
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