ストレスが多い現代社会では、企業においても社員の心のケアが大切になってきます。
今回は、企業におけるメンタルヘルスマネジメントに着目し、メンタルヘルスとは何か、休職者の現状、企業ストレスチェック義務化、メンタルヘルスマネジメントの重要性について解説します。
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは、心の健康を意味します。ストレスの多い現代社会では、うつ病やパニック障害などの精神疾患を発症して、休職を余儀なくされる人が後を絶ちません。
厚生労働省は2008年、最近の労働環境が人々の疲労やストレスを高め健康を損ねる一因になっているとして「メンタルヘルスケア指針」を策定し、職場のメンタルヘルスを推進しています。
精神疾患事由による休職者の増加
ここで病気休職者数と精神疾患事由による病気休職者数の推移を見てみましょう。
参照:)「精神疾患事由による病気休職者数と病気休暇者数との関係性分析 学校改善研究紀要 」
病気休職者数はわずかに減少傾向にあるものの、精神疾患自由による病気休職者数にはほとんど変化が見られません。また、病気休職者の半数以上が精神疾患事由によるものであることも分かります。
精神疾患事由により休職する労働者の増加を受け、厚生労働省は2015年、労働者が常時50名以上の事業所に対し、年に1度のストレスチェックの実施を義務付けました。企業のストレスチェック制度について、具体的に見ていきましょう。
企業に義務付けられたストレスチェック制度
ストレスチェックとは
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票を労働者に記入してもらい、それを集計、分析、評価することで労働者のストレス状態を把握する検査方法です。
契約期間が1年以上か、あるいは週の労働時間が通常の労働者の4分の3以上の社員、パート、アルバイトが対象となります。
ストレスチェックの実施義務
厚生労働省は2015年12月、労働安全衛生法の一部を改正し、労働者が50人以上の事業所では2015年12月から毎年1回、労働者に対してストレスチェックを実施することを義務付けました。
あくまで会社側の義務にとどまり、労働者には受けない選択肢もありますが、職場環境の改善につながる可能性もあるため受ける方が望ましいでしょう。
7つの義務と2つの努力義務
厚生労働省が発表した「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」によると、ストレスチェック制度には7つの義務と、2つの努力義務があります。詳しく見ていきましょう。
7つの義務
①ストレスチェック制度の実施方法を衛生委員会が調査審議すること。
②事業者は労働者に対して1年内ごとに1回、定期的にストレスチェックを行うこと。
③受検した労働者に対して、実施者からその結果を直接本人に通知させること
④高ストレスに該当されるものが医師による面接指導を受けることを希望する場合、医師による面接指導を実施すること。
⑤事業者は面接指導の結果に基づき、労働者の健康を保持するため医師の意見を聴かなければならない。
⑥医師の意見を勘案し、必要に応じて労働者の実情を考慮して労働環境を改善するなどの適切な処置を講じなければならない。
⑦医師の面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を5年間保存しなければならない。
2つの努力義務
①ストレスチェック結果を一定規模の集団ごとに集計・分析すること
②集団分析結果を勘案し、必要に応じて適切な措置を講じること
企業におけるメンタルヘルスマネジメントの重要性
社員がうつ病やパニック障害などの精神疾患を発症し、休職せざるを得ない状況になった場合、企業にとって大きな痛手となります。社員が心身ともに健康に過ごせる職場環境を作ることは、企業の生産性向上にもつながります。
企業におけるメンタルマネジメントは、従業員個人をサポートするという意味でも、企業全体を成長させるという意味でも重要性が高いです。精神疾患による休職者が増えている現代において、充実したメンタルヘルスマネジメントを行う企業こそが、業績を高めて成長していく可能性が高いと言えるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、企業におけるメンタルヘルスマネジメントに着目し、メンタルヘルスとは何か、休職者の現状、企業ストレスチェック義務化、メンタルヘルスマネジメントの重要性について解説しました。
多くの人がストレスに悩まされるこの時代、企業が行うメンタルヘルスマネジメントの重要性は高まっています。充実したメンタルヘルスマネジメントを行い、企業全体で社員の心の健康づくりを推進していきましょう。
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