こんにちは。digireka!HRです。急な人員の不足に対応するため、しばしば「玉突き人事」が発生します。突発的な玉突き人事が起こると、社員の負担増加やミスマッチの発生といった様々な問題発生が予想されます。
今回は玉突き人事の原因や影響を述べたうえで、適切な人事異動におけるポイントを詳しく解説していきます。
玉突き人事とは
玉突き人事とは、欠員を補充するために行われる人事異動です。あるニーズによって部署の一人が異動になったとき、その空いたポジションを埋めるために別の社員が異動になることを意味します。このような連鎖的な人事異動の様子が、ビリヤードで起こる玉突き連鎖のようであることから「玉突き人事」と呼ばれています。
一定の時期ごとに行われる人事異動と異なり、現場のニーズに合わせて突発的に行われるため、計画性の欠けた場当たり的な対応になりやすい傾向があります。
玉突き人事とジョブローテーションの違い
玉突き人事と混同されやすい言葉として、ジョブローテーションが挙げられます。どちらも複数従業員による連鎖的な人事異動ですが、その性質が大きく異なります。
ジョブローテーションとは、社員の能力開発を目的として計画的かつ戦略的に行われる人事異動です。玉突き人事は欠員があった突発的に起こることが多く計画性に欠けるのに対し、ジョブローテーションは社員の育成計画に基づいて意図的に行われる点が特徴です。
ジョブローテーションについて、詳しくはこちらを参照ください。
ジョブローテーションとは?目的、メリット、デメリット、企業事例などを解説!
玉突き人事が起こる理由
急な人員不足
親の介護や持病の悪化など、何らかの都合で急遽ポジションが空いた場合に玉突き人事が起こりやすいです。突発的な人員不足が起こると、人材配置の戦略よりもまず欠員を埋めることが優先されやすいため、対応はその場しのぎの計画性に欠けたものに陥りやすいです。
問題のある部署の見直し
例えば人間関係等の問題により業務に支障が出ている部署に対し、あえて玉突き人事を起こすことで人員を再配置することがあります。特に一部の社員が過度のストレスを抱えるなど状況がひっ迫しているときに、正式な人事異動よりも早急に対応した結果、玉突き人事になる場合があります。
社員の不正を防ぐ
長期間人事異動のない部署に対し、マンネリ化や取引先との癒着を防ぐためにあえて玉突き人事を起こし、社内環境のリフレッシュを目的とした場合もあります。意図的に起こすことで社内に緊張感を持たせ、生産性の停滞を防ぐことが狙いです。
玉突き人事が引き起こす問題
キャリアパスが中断される
突発的に人事異動が行われることで、社員のキャリアプランを阻害する恐れがあります。これまでと異なる専門性が要求される部署へ異動となった場合、社員のキャリアパスは中断され、将来への不安や不満の蓄積につながります。
ミスマッチの発生
玉突き人事は社員の適性や人間関係があまり考慮されずに行われる場合が多いため、異動先でミスマッチが発生する場合があります。適材適所が図れないことで、社員のモチベーションの低下や業務効率の低下を招く恐れがあります。
受け入れ先に負荷がかかる
玉突き人事の受け入れ先となった部署は、急遽教育担当を手配し指導するといった対応が要されます。通常業務に加えてサポート業務が必要となるため、人手や時間が割かれ社員に大きな負担となる恐れがあります。
人材流出につながる
上述した問題によって社員の不満が蓄積し、離職を招く恐れがあります。社員個人よりも企業の事情が優先され、計画性のない場当たり的な異動が繰り返されれば、企業への信頼は損なわれ人材流出につながるでしょう。
玉突き人事が拒否されるケース
人事異動には、法律で定められた一定の制限があります。欠員を補うため無計画に人事異動を行うと、規則に違反し異動が無効になる場合もあります。代表的なケースは以下の通りです。
●労働条件が著しく低下する場合
●雇用契約に違反する場合
●不当労働行為に当たる場合
●思想・信条その他差別待遇に当たるとされる場合
●技術の著しい低下となる場合
●要介護人がいる場合
これらに当てはまる場合、異動は無効となり社員は異動を拒否することが可能となります。玉突き人事は連鎖的に異動が起こるため、異動機会が多い分上記のケースが起こる可能性も高まります。プロセスごとに不正や違反がないか確認することが重要です。
適切な人事異動を行うポイント
契約時に異動の範囲を明記する
まず人事異動に関する規則に違反しないため、就業規則や誓約書に異動の範囲を明記する必要があります。あらかじめ社員の同意を得ておくことで、異動に関する認識の祖語によるトラブル発生を防ぐことができます。
長期的な視野を取り入れる
突発的に人員が必要となった場合でも、長期的な視点を持って人員配置を行うことが重要です。単に不足を補うことだけを優先し、中長期的な社員の育成や業務負担を考えずに異動を行えば、後に社員の不満や業務の滞りといった問題を引き起こします。
キャリアプランを考慮する
社員のキャリアプランを阻害しないためには、あらかじめプランを把握して異動に反映させることが重要です。事前に把握しておけば、急な欠員の場合でも人選を考慮して社員の意向に沿うことができます。
異動の目的を明示する
例えばリフレッシュ効果を狙ってあえて玉突き人事を起こした場合、その意図を示さなければ社員の協力を仰げません。目的意識が共有できていなければ効果は薄まり、むしろ不満を呼ぶ原因となります。また、欠員を補う人事異動の場合も、なぜその人材を異動させたのかを説明することで理解を得ることができます。
まとめ
玉突き人事が起こることで、社員の不満を招いたり負担増による業務効率の低下をもたらす恐れがあります。急な人員不足にも対応できるよう、事前にキャリアパスを把握したり異動がスムーズに進むような支援を画策するなどして、社員の理解のもとで協力を仰ぐことが重要です。
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