人事評価制度の作り方とは?機能や評価項目、制度まで詳しく解説!

企業の人材戦略を考えるうえで、人事評価制度の構築は不可欠です。人事評価制度は多くの企業で活用されています。しかしながら、

・人事評価制度の作り方が分からない
・作る際の注意点やポイントについて知りたい

という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?そこで、本記事では、制度の種類や作り方、評価項目など人事評価の基本事項を徹底的に解説します。

監修者情報

監修者用
株式会社uloqo
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月株式会社uloqoを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

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人事評価制度とは

人事評価制度とは、従業員の能力や企業への貢献度、業務目標の達成度などを評価し、その結果を待遇に反映させる制度のことです。一般的には、四半期・半年・1年など、一定の評価期間を設けた上で、企業独自の評価基準に基づいて評価が行われます。

人事評価制度は、主に

・評価制度
・等級制度
・報酬制度

これら3つの機能に分けられます。

①評価制度

評価制度とは、企業の方向性を明示した上で、従業員一人ひとりが企業のためにどのように行動すべきかという行動指標のもと、従業員の業務内容やその成果を評価する方法を定めた制度のことです。

行動指標を評価基準として、評価期間の業績や行動が査定され、評価結果によって、等級や報酬が決まってきます。

②等級制度

等級制度とは、企業内での等級と、その等級ごとに求められる役割や与える権限を示す制度のことです。

等級ごとに決められた指標をもとに、業績やスキル、役割などから、等級を決定します。等級により社内の序列を明確にすることになるため、非常に重要な制度と言えます。

③報酬制度

報酬制度とは、従業員の給与賞与などを決める制度のことです。

報酬制度を設けることで、評価制度や等級制度での評価結果に基づき、一人ひとりのレベルに応じた賃金支給が可能です

人事評価制度の導入目的

人事評価制度を導入する目的は主に3つあります。

・適材適所の人材配置と処遇の決定
・従業員の人材育成
・企業のビジョンや目標、経営方針の浸透

それぞれについて詳しく解説します。

適材適所の人材配置と処遇の決定

人事評価制度を明確にすることで、従業員の能力や貢献度を適切に評価することができ、最適な人材配置や処遇の決定が可能になります。

上司の主観ではなく、評価基準に基づいて従業員の能力や貢献度を客観的に見ることにより、その従業員が何の業務に適しているのか、そしてどの程度の処遇が妥当であるのかを見極められます。

従業員の人材育成

明確な評価基準を設けることで従業員が「頑張れば評価される」と認識できれば、従業員の自発的な成長につながります。また、上司が部下を育てる際の指標にもなるため、人材育成の基準としても役立ちます。

企業のビジョンや目標、経営方針の浸透

企業理念や経営方針・経営課題に沿って作成された人事評価制度は、会社が向かおうとしている方向性や、そのために従業員に求める行動を具体的に示す基準にもなります。

ここでは、まず会社の方向性が明確であること、そしてそれを評価軸に適切に反映することが大切になってきます。

人事評価制度のメリット・デメリット

人事評価制度のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

人事評価制度のメリット

メリットは主に3つあります。

・企業理念を浸透させる効果がある
・モチベーションが向上する
・信頼関係の構築に繋がる

それぞれについて詳しく解説します。

企業理念を浸透させる効果がある

先ほど述べた通り、企業理念や経営方針・経営課題に沿って作成された人事評価制度は、会社が向かおうとしている方向性や、そのために従業員に求める行動を具体的に示す基準にもなります。

モチベーションが向上する

適切な人材配置と処遇により、従業員のモチベーション向上が期待できます。これにより個人の成長を促進し、最終的には会社の成長に貢献する可能性があります。

信頼関係の構築に繋がる

上司から部下へのフィードバックの時間は、コミュニケーションの機会となり、信頼関係の構築や人材の成長につながります。部下の悩みや不安に耳を傾けることで、信頼関係が構築され、離職率低下にもつながります。

人事評価制度のデメリット

デメリットは主に2つあります。

・画一的な人材が多くなる可能性がある
・従業員が不満を抱く可能性がある

それぞれについて詳しく解説します。

画一的な人材が多くなる可能性がある

人事評価制度によって一律の評価を行うことで、特定の枠に収まった人材を育成しやすくなる可能性があります。また、評価基準に含まれていない領域で得意な分野を持つ人材は、その能力が活用されにくい傾向にあります。

従業員が不満を抱く可能性がある

評価結果が従業員の不満の原因となる可能性もあります。そのため、評価制度の運用では、定期的に見直しを行い、公平で納得のいく評価が実施されるよう努める必要があります。

人事評価制度の評価項目

人事評価制度の評価項目は以下3つあります。

・業績評価
・能力評価
・情意評価

それぞれについて詳しく解説します。

①業績評価

業績評価は、評価期間における、従業員の業績や仕事の成果に対する評価です。主に、業績や成果の達成度を客観的に数値化し、評価を行います。

②能力評価

能力評価は、従業員の能力やスキルに対する評価です。通常は企業ごとに定めた職能要件定義書などのルールに従って評価を行います。

③情意評価

情意評価は、従業員の勤務態度や仕事に対する姿勢、意欲に対する評価です。担当業務への意欲や責任感、組織協力する姿勢などが評価の対象となります。

人事評価制度の評価手法

人事評価制度の種類は以下4つあります。

・MBO
・OKR
・コンピテンシー評価
・360度評価(多面評価)

それぞれについて詳しく解説します。

MBO

MBOとは、個人またはチームごとに目標を設定してもらい、その目標への達成度合いで評価を決定する制度のことです。

ピーター・ドラッカー氏が著書の中で「Management By Objectives through Self Control(目標と自己統制による管理)」という言葉を用い、社員一人ひとりの主体性を育む必要を説いたことがきっかけとなり、組織マネジメントの概念として定着しました。

OKR

OKRとは、組織が掲げる達成目標と主要な成果をリンクさせ、組織と個人の方向性とタスクを明確にする目標管理制度の一種です。

OKRでは、企業と従業員の方向性統一や、生産性向上を目的として、「企業の目標」から「事業部の目標」、そして「チームの目標」へと細分化した上で、個人の目標を設定していきます。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、優秀な成果をあげる社員に共通する行動特性(コンピテンシー)を基準に行う人事評価のことです。

コンピテンシー評価は、「業務を効率的に構築できる」「人の話を傾聴できる」「人と親密なコミュニケーションが取れる」など、具体的な行動特性を評価基準としているため、評価基準が明確になり、社員の能力や適性を客観的かつ公正に評価しやすくなるというメリットがあります。

360度評価(多面評価)

360度評価(多面評価)とは、上司、同僚、部下など、対象者と関係性が異なる複数の評価者によって、対象者の人物像を多方面から評価する方法です。

多角的な視点での評価によって、今まで気付けなかった人物特性の把握が可能になり、評価の公平性や客観性の確保も期待できます。

人事評価制度の作り方

ここでは、人事評価制度の作り方を3つのステップに分けて解説します。

STEP① 評価項目を決定する

まず最初に、「何を評価するのか」という評価項目を明確にしましょう。評価項目は会社によって異なりますが、上記の業績評価や能力評価、情意評価が代表的な項目になります。

STEP② 評価方法を決定する

評価基準が決まったら次に評価方法を決定します。評価方法についても各会社で独自に決定します。目標管理制度やコンピテンシー評価、360度評価が代表例です。

STEP③ 評価反映を決定する

そして最後のステップでは、評価をどのように反映するのかを決めていきます。人事評価制度での評価が確実に反映されることを示すために、昇級基準や降格基準などを設定します。具体的には、昇級の流れや各等級に適した給与・賞与の一覧などの準備をするのが一般的です。

人事評価制度を作る際の注意点

人事評価制度を作る際の注意点は主に2つあります。

・運用可能な評価制度を設定する
・公平性と透明性を高くする

それぞれについて詳しく解説します。

運用可能な評価制度を設定する

人事評価制度は運用可能な範囲に設定しましょう。失敗例としてよくあるのが、壮大な制度を設計したはいいものの、現実的には運用が難しくなってしまうケースです。
制度を設定するときは、実際の運用フローを現場従業員と確認し、現実的に運用可能かどうか検討すると良いでしょう。

公平性と透明性を高くする

人事評価制度は公平性と透明性を高くしたものにする必要があります。
人事評価制度は、その従業員が何の業務に適しているのか、そしてどの程度の処遇が妥当であるのかを見極められます。そのため、従業員のモチベーションに大きく影響します。公平で透明性のある制度が運用できていないと、従業員のモチベーションが下がり、離職の原因にもつながる可能性もあります。

人事評価を作る際におすすめの参考書

人事評価制度を作る際は、書籍を参考にすることも役立ちます。
おすすめの1冊は、「小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方(あさ出版 )」です。ロングセラーの改訂新版で、人事評価制度作りと実施方法について分かりやすく解説されています。

人事評価改善等助成金について

人事評価改善等助成金の目的・内容や支給までの流れについて詳しく解説します。

人事評価改善等助成金とは

人事評価改善等助成金とは、人事評価制度と賃金制度の整備を通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る企業に対して支給される助成金のことで、人手不足の解消を目的として実施されている助成金制度です。

人事評価改善等助成金は、2段階で支給されます。1段階目の制度助成金(50万円)は、生産性向上のための人事評価制度と2%以上の賃金のアップを含む賃金制度の整備を実施した企業を対象に支給されます。

2段階目の目標達成助成金(80万円)は、制度整備助成金等を適切に運用し、1年経過後に人事評価制度等の適切な運用を経て、生産性の向上、労働者の賃金の2%以上のアップ、離職率の低下に関する目標のすべてを達成した場合に支給されます。

助成金支給までの流れ

助成金支給までの流れとしては、まず最初に人事評価制度等整備計画を作成し、本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。認定を受けた後に、人事評価等制度の整備計画に基づく人事評価制度の整備を企業にて実行します。

人事評価制度を実行し、2%以上の賃金のアップが達成されたとして、整備された人事評価制度に基づいて賃金が支払われた日から起算して2ヶ月が経過する前に支給申請書を提出し、50万円を受け取ります。

評価時離職率算定期間(※)の末日の翌日から起算して2ヶ月以内に、目標達成助成金の支給申請書を提出し、80万円を受け取ります。

※人事評価制度等に基づく賃金が最初に支払われた日の翌日から12ヶ月間

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、人事評価制度の目的や評価項目、制度の作り方などについて解説しました。評価基準や評価方法を明確にし、自社に合った人事評価制度を作成しましょう。

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