内部通報制度とは?窓口の設置目的や設計方法、運用ポイントをご紹介します!

内部通報制度とは?窓口の設置目的や設計方法、運用ポイントをご紹介します!

こんにちは。digireka!HR編集部です。企業には様々な不正リスクが潜んでおり、企業の不祥事が公になれば業績悪化や社会的信用の損失につながります。そこで、社内の不正行為や違法行為を早期発見・未然防止するために、内部通報制度を導入する企業が増えています。

今回は、内部通報制度の概要や内部通報窓口の設置目的、運用のポイントをご紹介します。

内部通報制度とは

内部通報制度(公益通報制度)の概要

企業には様々な不正リスクが潜んでおり、企業価値の減損や事業の存続に関わる問題に発展する恐れがあります。内部通報制度とは、そうした企業内部の問題を知る従業員から、社内の不正リスクに関する情報を早期に入手し、情報提供者の保護を徹底しつつ、問題の早期発見と未然防止を図る仕組みのことです。公益通報制度とも呼ばれます。

通常、社内で問題が発生した際には、発見者が上司を通じてさらに上の者に通告します。しかし、公に言いづらい企業内の不正行為を発見した場合、発見者が内部告発を行ったり、不正が見過ごされたりする可能性やがあります。そのため、内部通報窓口の設置は企業内部での不正リスクを十分に把握するために非常に重要です。

内部通報によって得られた情報は、法令違反や規程違反、セクハラなどの個別の問題を処理するだけでなく、企業風土や内部統制の改善にもつながります。

内部告発と内部通報の違い

内部告発とは、企業内部の従業員が所属組織の不正行為を外部の監督機関や報道機関などへ知らせて周知を図る行為です。そのため、場合によっては大規模な業績悪化や社会的信用の大幅な低下につながります。

一方で、内部通報は外部に情報漏洩せずに企業組織内で行われるため、企業が不正行為の兆候を早期に発見して、大事になる前に迅速に対応することができます。

内部通報制度の導入背景

日本では、企業内部の違法行為について通報を行った通報者に対する解雇等の不利益取扱いの禁止する「公益通報者保護法」が2006年に施行されました。これにより、通報者が法的に保護されるようになり、企業や組織などの不正を内部から通報しやすい環境が整いました。これによって、大企業を中心に、既に多くの企業が内部通報制度を導入しています。

内部通報制度の目的

社内の不正行為の早期発見・対処

内部通報制度により、企業が不正行為や違法行為を早期に発見し、被害が拡大する前に対処できます。また、内部通報制度を整備し周知を徹底していれば、外部に不正行為を公表されて企業の社会的信用を失うことを防ぐという効果もあります。

社内の不正行為の予防

企業に内部通報制度があることを従業員が認識することで、不正行為や法令違反を行えば自分が通報されるという意識を持たせることができます。その結果、従業員が不正行為や違法行為を働きづらくなり、不祥事を未然に予防することにつながります。

社会的信用の獲得

内部通報制度があることにより、企業に対する信頼が生まれ、社会的信用を獲得できます。また、不正が起きにくい環境であることは、取引先からの信頼獲得にもつながります。

内部通報制度の設計方法

次に内部通報制度の制度設計で必要な要項を紹介します。選択肢のメリット・デメリットを考慮し、企業に合った制度を設計しましょう。

①受け付ける内容
– 通報
– 相談・提案
②通報対象者
– 社員
– 派遣従業員や取引先の従業員
– 社員の家族
– 退職者
③内部通報窓口の設置場所
– 社内のみ
– 社外のみ
– 社内外いずれも
④受付時の匿名性
⑤匿名性の確保
⑥受付手段

内部通報制度の運用ポイント

通報者の保護を徹底する

内部通報制度において最も重要なことは、通報者の匿名性を確保し、通報者が不利益な扱いを受けないように徹底することです。通報したことで通報者が特定されたり、不当な取扱いを受けたりすることになれば、内部通報制度は機能しません。そのため、通報者と調査実施に厳正な秘密保持を徹底し、通報者が安心して通報できる環境を整えましょう。このことは、公益通報者保護法第5条で公益通報を行った通報者の保護が明確に定められています。

独立した社外に内部通報窓口を設置する

内部通報窓口は経営陣から独立して設置する方が良いとされています。実際、『公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン 』によると、以下のように企業外部で一元的な窓口を設けることが勧められています。

通報窓口を設置する場合には、例えば、以下のような措置を講じ、経営上のリスクに係る情報を把握する機会の拡充に努めることが適当である。
法律事務所や民間の専門機関等に委託する(中小企業の場合には、何社かが共同して委託することも考えられる)等、事業者の外部に設置すること
・労働組合を通報窓口として指定すること
・グループ企業共通の一元的な窓口を設置すること
・事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の窓口を設置すること
(参考:公益通報ハンドブックp37)

内部通報窓口を経営陣から独立させるのは、経営陣や経営幹部が関与して行うような大規模な不正を通報できるようにするためです。そのため、社外の法律事務所や内部通報窓口を専門とする会社に窓口を設置することが適切でしょう。

通報後の公正な対応体制を確保する

内部通報があった場合は、通報内容について調査が必要かどうかを迅速かつ適切に検討し、調査が必要であれば速やかに対処しなければなりません。しかし、通報後の対応が曖昧な状態では、通報後の検討や調査が遅れたり、対応を誤って被害が拡大したりする恐れがあります。それによって通報者が企業の対応に失望し、内部告発に発展する危険もあります。

こうした事態を防ぎ適切な調査を実行するには、専門的な知識と経験が必要です。そのため、調査実行者や調査方法など、相談後の対応体制について事前に取り決める必要があるでしょう。また、弁護士など専門家の助言を受ける体制を整えておくことも大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は内部通報制度および内部通報窓口について詳しく説明しました。いくつかの注意点に気をつけながら内部通報制度を運用することで、社内の不正リスクを早期に発見し、対処することができます。社内の不正行為に危機意識を持つ企業の方は内部通報制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

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