従来の価値観に囚われない、多様性や個人の意思を尊重した企業の新たな形態として、ティール組織が注目を集めています。
本記事では、ティール組織の意味とメリット・デメリット、導入企業の事例まで詳しく解説していきます。
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ティール組織とは?
ティール組織とは上司によるマネジメントがなく、社員個人の意思決定で業務を行う組織のことです。
ティール組織は、フレデリック・ラルー氏の著書「Reinventing Organizations」の中で紹介された新たな組織概念であり、従来の価値観を覆す新たな価値観です。
例えば、従来では上司と部下の関係が密接につながり、報連相を基本にマネジメントを行っていくスタイルがメジャーなものとなっていました。しかし、ティール組織型の企業は、意思決定にかかわる権限や管理職間で行われるミーティングを撤廃し、個々の従業員の意見や方針を取り入れることで、革新的な変化を生み出します。
ティール組織の要素
セルフマネジメント
ティール組織は上司によるマネジメントがなく、全社員が意思決定の権限を持っているという特徴があります。そのため、組織全体の目標に向けて必要なことを自分で考え意思決定していく力であるセルフマネジメントが求められます。
ホールネス
ティール組織は個人の意思が尊重される環境であるため、多様な考え方を認め合うという風土があります。多様性を認める環境を作ることで、枠にとらわれない豊富なアイデアを発想し発信しやすくなるのです。
エボリューショナリーパーパス
一般的な企業の目標は市場競争で勝利することを目的としており、会社の目標は経営理念という形で代表が決定するものです。しかし、ティール組織の目標を決定するのは社長やCEOではなく、所属メンバー全員であるため、流動的に目的は変化していきます。
ティール組織の5段階のフェーズ
フレデリック・ラルー氏は、ティール組織の5つの形態を5つの色ごとのフェーズに分けています。それぞれRed Amber Orange Green Tealの5つの組織です。
Red (衝動型) | Amber(順応型) | Orange(達成型) | Green(多元型) | Teal(進化型) | |
特徴 | 恐怖を与える支配的なマネジメント | 順応型組織の明確な階級構造 | 出世が可能な機械的組織 | ボトムアップ型組織 | 自己成長により進化し続ける組織 |
例 | ギャング、マフィア | 軍隊 | ブラック企業、機械 | 家族、仲間 | 生命体 |
このように、ティール組織には5つの段階分けがなされています。
ティール組織導入のメリット・デメリット
ティール組織には、従来の企業形態とは異なるメリット、デメリットがあります。
ティール組織の導入メリット
これまで主流になってきた年功序列の企業においては、社員をマネジメントする上司のために業務に携わっている、という意識が強かったのではないでしょうか。しかし、ティール組織においては、社員一人一人が企業に対しての決定権を持っているため、個人の意識がそのまま企業全体への事業成績へ直結します。一人一人の成績が企業の成績として直結していることが可視化できる場合、社員のモチベーション向上も狙うことが出来ます。
ティール組織の導入デメリット
・セルフマネジメントが不可欠
ティール型組織は個人の意思決定で業務を遂行するため、上司によるマネジメントはありません。そのため、自己管理が苦手な人は業務を効率的に行えない可能性があり、かえって生産性が下がってしまうこともあり得ます。
・管理が難しくなる
個人で仕事をするため、誰が何の業務を行っているか把握するマネジメント係がいないため、問題が発生したときに迅速な対応が難しいというデメリットが存在します。また、個人の意思が尊重されるため、生産性の低いプロジェクトに独断で投資を行う可能性も孕んでおり、リスク管理の難しさもあります。
ティール組織の導入事例
Buurtzorg Services Japan 株式会社
ビュートゾルフはオランダの在宅介護支援に携わっている非営利団体です。
ティール組織としての特徴は、全社員がマネージャーとしての役割を持っています。そのため報酬の評価においては全社員が分担して他者評価を取り入れているようです。個人が企業に必要だと思ったことをその場で取り入れることが出来るため、スピーディーな成長が期待できる反面、リスクの管理をすることが難しいです。
株式会社ネットプロテクションズ
日本のティール組織事例としてはネットプロテクションズが挙げられます。ネットショップやカタログにてサービスを提供している会社です。
ティール組織としての特徴はマネージャー職を廃止したことが挙げられます。マネージャー職を廃止したことにより、全社員が対等に業務への意見を出し、企業内業務に携わる形を徹底しました。そのために社員間でのコミュニケーションをより円滑にする必要がありました。結果的にオフィスの形状をオープンな形にすることで意見の共有が活発なティール組織となりました。
ティール組織の注意点
ティール組織には失敗しやすい、大企業には向いていないという注意点があります。
ティール組織は失敗しやすい
日本に限らず、ティール組織として企業を維持することは容易ではなく、失敗しやすいです。社員を評価し報酬を与える人が明確に定められているわけでなく、評価方法も従来のヒエラルキー型とは異なるものであるため、管理評価方法を明らかにしておく必要があります。
また、社員間でのつながりが、従来のヒエラルキー型よりも重視されます。互いを信頼し、協力し合える関係の構築も必要になります。
ティール組織の維持には多くのメリットがあるのと対照に、多くのプロセスを踏む必要があり、一般の企業ではなかなか難しい組織運営方法といえるでしょう。
大企業には向いていない
ティール組織を大企業の中で培うことは、極めて容易なことではないでしょう。ティール組織の運営には、社員間での濃密なコミュニケーションによる強固な信頼関係を築く必要があります。そのため社員数が多くなればなるほど、社員間でのコミュニケーション量は比例して多くなるため、社員の負担がかなり大きくなってしまいます。つまり社員がコミュニケーションを取りうる範囲内での人数でのみ、ティール組織として企業を維持することが出来るでしょう。
ティール組織とホラクラシー組織の違いは?
ティール組織と聞くと、ホラクラシー組織との違いについて疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。ホラクラシー組織はティール組織との共通点が多くありますが、厳密には異なる組織運営法です。
ホラクラシー組織とは
ホラクラシー組織は、階級や上司、部下というヒエラルキーがまったく存在しない組織のことです。マネジメントや管理職などの役職の代わりに、「役割」が設けられ組織の運営を行っています。
関連記事:ヒエラルキー型組織とは?ホラクラシー型の組織との違いなどを説明します。
ティール組織との相違点
ティール組織との相違点としては、明確なビジネスモデルが存在しているかどうかにあります。ホラクラシー組織にはビジネスモデルが存在し、ビジネスモデルに沿って運用することを目指しています。一方ティール組織にはビジネスモデルが存在しません。またティール組織概念の一部分だけを取り入れて運用することもできるため、自由度が高いことが特徴です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は新たな企業価値観の一つであるティール組織について解説しました。ティール組織は様々なメリットがあり、個人の意思を尊重するというまさに多様性が尊重される現代に適している制度だと考えられます。しかし、現実的に導入が難しいケースも多くあるでしょう。そのため、導入には注意が必要です。ティール組織に興味がある方はぜひこの記事を参考にしてください!!
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